衝撃の映画『娼年』の原作小説を漫画で読んでみた

女性にもセックスにも退屈し、ただぼんやりと日々を過ごしていたリョウは、御堂静香によって見出され娼夫としての才能を開花させていきました。

どの女性もリョウによって解き放たれ、自分らしく生きていくことに前向きになっていきます。

リョウを演じる松坂桃李さんはもちろんのこと、名だたる女優さん達の脱ぎっぷりも濡れ場も想像を超えてくる完成度です。

しかし、この物語は単なるセックスや性癖を描いたエロではなく、女性の心の奥底に息を潜めている欲望に耳を傾け寄り添う、リョウの優しさが感じられる物語です。

舞台化もされましたが、こちらもリョウを松坂桃李さん、アズマを猪塚健太さんが演じています。

【主なキャスト(敬称略)】
松坂桃李:森中領
真飛聖:御堂静香
冨手麻妙:咲良
猪塚健太:平戸東
桜井ユキ:白崎恵

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小説『娼年』のあらすじ

森中領20歳。大学生だが学校には行かず日々退屈しながらバーテンダーのバイトをしている。女性との初体験は14歳のときで、それからもセックスで困ることはなかった。

ただリョウにとってセックスは単なる手順の決まった運動のようなもので、のめり込むものでも楽しいものでもなかった。

リョウの中学校の同級生、今は売れっ子ホストの田島進也が美しい女性を連れてリョウの店にやってきた。女性がが帰った後、コースターの下には「Le Club Passion  御堂静香」と書かれた名刺が残されていた。

1週間後、再び御堂(みどう)静香がリョウの店を訪れ、リョウの退屈なセックスに値段をつけてあげると提案してきた。店が終わると、御堂静香の車でマンションに向かった。

母親ほども年の離れた美しい女性とセックスするのは初めてだ。自分にどんな点数が付けられるのだろう。緊張しながらも、リョウはどこか興奮していた。

キングサイズのベッドが置かれた部屋で、リョウの前に現れたのは耳の聞こえない咲良(さくら)という女性だった。採点とは、御堂静香の前で咲良とセックスをするということだった。

御堂静香はリョウのセックスの価値に5千円札を1枚置き、不合格だと言った。ところが咲良がその上にもう1枚5千円札を置いた。

ギリギリで「情熱の試験」に合格したリョウは「Le Club Passion」でコールボーイとして働くことになった。

最初のお客様はヒロミという30代の女性。相手の女性が何を感じ何を求めているかに想いを巡らせるだけで、あんなに退屈だったセックスが熱を帯びてくるのがわかった。ヒロミからは心と体が繋がる瞬間を教えてもらった。

2人目の客はマリコと名乗った。待ち合わせ場所でリョウは意表を突かれた。マリコは50代くらいのヨレヨレのおじさんを連れていた。駅から待ち合わせ場所に来る途中で5000円で買ったのだと言う。

ホテルに着くとマリコはリョウとのプレイを散々おじさんに見せつけた。しかし決まって最後のエクスタシーはおじさんと迎える。これがマリコの望む最高のセックスだった。

イツキという40代の女性はリョウに知的な会話を求めた。セックスは求めてこない。イツキは小学校2年生の時の経験を話し始めた。

毎日一緒に登下校していた幼なじみの男の子と話が盛り上がって「おしっこに行きたい」と言えなくなり、立ち上がった瞬間、爆発するかのようにおしっこをもらした。

イツキにとって、それが初めてエクスタシーを感じる瞬間だった。セックスを経験しても、それを越えるエクスタシーを感じたことはなかった。

リョウは放尿して放心状態になったイツキの頭を抱いてキスした。

泉川夫妻からは温泉旅館に呼び出された。夫は60代、妻・紀子は30代といったところか。妻を抱いてやれない自分に代わって、リョウが妻を抱くところを撮影したいという依頼だった。

リョウは衣類を引きちぎり乱暴なまでに紀子を犯した。事が終わると、夫は妻を車いすの膝の上に載せてとても満足したように抱き合った。

御堂静香のマンションへ行くと、「Le Club Passion」のナンバーワン娼夫の平戸東も来ていた。泉川夫妻の夫婦の愛の形について話すと、御堂静香とアズマは笑い始めた。

泉川夫妻にとって病気や死はプレイの小道具でしかなく、毎回手の込んだストーリーを作っては、年老いた夫の前で若い男に妻を抱かせているらしい。

リョウと一緒に「Le Club Passion」の事務所を出たアズマは、リョウがVIP専用の娼夫に昇格したお祝いをしたいと、リョウがアルバイトをするバーについてきた。

酔ってリョウの部屋に泊まることになったアズマは、服を脱いで自分の肌を見せた。

アズマの体は痛みと快感の配線がこんがらがっているらしい。体に傷を付けられることに快感を感じるアズマの体は傷だらけだった。

それからアズマはリョウの体を隅々まで愛撫し始めた。セックスでは快楽を得ることができないアズマが、お客さまにサービスするためだけに習得したテクニックだった。

リョウがお礼に自分も何かしてあげたと言うと、アズマは左手の小指を折ってほしいと懇願した。

リョウの初めての「特別なお客さま」はナミコというバイオリニストだった。明日は45歳の誕生日だと言う。

10年前にドイツ人の夫に先立たれたが、夫は何歳になってもナミコが女性として満たされれて生きていくことを望んでいた。

ある夜、リョウのバイト先のバーにシンヤと白崎恵が現れた。メグミはリョウと同じ大学で、学校に来ないリョウのことを常に気にかけてくれていた。

メグミはリョウが「娼夫」として働いていることをシンヤから聞いたといって怒っていた。リョウがやっていることは「汚い」と。

シンヤからもたしなめられたが、リョウはやっとやりがいを感じ始めた仕事を辞めるつもりはないと断言した。

メグミの言葉が引き金になったかのように、リョウはさらに娼夫の仕事へとのめり込んでいった。

別に金が欲しい訳じゃない。女性の奥底に息づく欲望の豊かさのとりこになり、相手の女性に至福の時を過ごしてもらうことに集中した。大学の前期試験も無視した。

あるときのお客さまは和服姿の老女だった。老女はリョウの話を聞きながら、リョウの手を握ってエクスタシーを感じるというすごい技を持っていた。

老女はリョウと話ながら何度となく絶頂を迎えたようだった。

やがてリョウはアズマと1,2位を争う人気娼夫となった。頑張ったご褒美がほしいと、リョウは御堂静香に詰め寄った。熱いキスを交わしたものの、御堂静香はリョウを激しく拒否した。

リョウはもう一度、咲良とのセックスを見て採点してほしいと懇願した。咲良の体に溺れながら御堂静香の目の奥にエクスタシーを感じたリョウは、「愛」というものの存在を確かに感じていた。

御堂静香は自分も元娼婦だったと語った。客のひとりと恋をして娘の咲良が生まれたが、生まれつき耳の聞こえない咲良を女手一つで育てていくためには再び娼婦に戻るしかなかった。

商売のやり方を学ぶと、御堂静香は女性向けのクラブを始めることにした。しかし娼婦を引退した後で付き合った彼氏からHIVを移されてしまった。

御堂静香はリョウとは絶対にセックスをすることはないと言った。その代わり咲良とリョウに「Le Club Passion」の経営を任せたいと語った。

新規の客から指名があってリョウがホテルに出向いていくと、そこにいたのはメグミだった。メグミは本当にやりがいのある仕事なのか、この目で確かめに来たと言った。メグミは本気だった。リョウは覚悟を決めてメグミにプロの娼夫としての仕事をした。

リョウの住む世界は自分とは違うことを悟ったメグミだったが、同時にリョウに対する好意にも確信を持ってしまった。…そしてメグミは暴挙に出た。

2日後、未成年者に売春をさせたとして御堂静香は逮捕された。事前に全ての書類を廃棄しており、リョウたち娼夫に警察の手が及ぶことはなかった。

御堂静香からの手紙には、全てのノウハウは咲良の頭の中に入っているので、また「Le Club Passion」を再建してほしいということと、衝撃のことが書かれていた。

リョウが10歳のときに急性心筋梗塞で亡くなった母は、実は御堂静香と同じ娼婦だった。病気のリョウを家に一人残して、急な仕事で出かけて行った先での不幸だった。

御堂静香と咲良、リョウと母親、不思議な縁で繋がっていたのだった。

映画『娼年』のあらすじ

リョウの最初のお客となる女性・ヒロミ(下段右)。リョウが「女性をもっと知りたい」と娼夫としてのやりがいを感じ始めるきっかけとなった女性です。

とても知的で普通の女性・イツキ(上段右)。彼女のエクスタシーはセックスの中にはありませんでした。世間の常識や趣味からはずれていると思われる欲望にも、リョウは全力で寄り添っていきます。

出産を機に夫とセックスレスとなった主婦(下段左)。

30歳以上年の離れた夫婦が、夫の目の前で妻を犯す姿を撮影させてほしいと依頼してきます。夫の泉川氏は糖尿病の合併症で下半身が不自由で、妻の紀子(上段左)を抱いてやれないと語ります。老いや死も欲望の道具になりうると知り、リョウにとって忘れられないお客となります。

リョウと手をつなぎ、リョウの話を聞きながらエクスタシーを感じることができる、70歳の未亡人(下段中)。

リョウに想いを寄せる大学の同級生・白崎恵(上段中)。リョウが娼夫をしていることを知り、「汚い」と言いながら、自分の目と体でリョウの仕事を確かめに来ます。

間もなくして、Le Club Passion は摘発され御堂静香は警察に逮捕されます。そして御堂静香は刑務所に収監され、Le Club Passion は空中分解してしまいました。

映画の見どころと原作との違い

原作のうちヒロミ、イツキ、泉川夫妻、未亡人が実写化、名前のない主婦は『逝去』に出てくるチサトをモチーフにしています。

往年の名女優・江波杏子さんはリョウと手をつないでいるだけでエクスタシーを感じる70歳の未亡人を快演。

泉川夫妻の夫役の西岡徳馬さんは、シーン後半で「ええっ?」という行動に出ます。このようなシーンは原作にはありませんが、監督からの熱い説得に西岡徳馬さんが全力で応えたものです。

衝撃的なシーンの連続ですが、一見の価値ある映画です。

本当に松坂桃李さんなの?と言いたくなるくらい、際限なく続く濡れ場。松坂桃李さん自身も「7、8年分の濡れ場はやった」というくらい、衝撃的なシーンが繰り返されます。

しかし、この映画は単にエロいだけの映画だけではありません。生々しいだけの映像では、それだけでお腹いっぱいになってしまってメッセージが伝わらないと、とても美しく作りこまれています。

娼夫という仕事を始める前は、何事にもやる気がなくなんとなく毎日を過ごしていただけのリョウが、やりがいを見つけていく姿。

一人一人の女性の心の声に耳を傾け、その欲望に寄り添おうとする優しい目には癒しすら感じるかもしれません。

娼夫という仕事は決して許される仕事ではありません。それを正当化する意図は全くありませんが、そのことによって救われる女性がいることが描かれています。

決して人には見せたくない心の中の一番柔らかい部分に、心で寄り添うことで彼女たちの心を解き放ってあげている優しい優しい物語。

性は千差万別で、人それぞれ求めているものが違います。自分を認めてもらうことで、また前を向いて歩きだせることもあるのかもしれませんね。

映画『娼年』視聴方法は?

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【価格は2024年6月13日現在】

『娼年』の続編『逝年』『爽年』

映画では描かれていませんが、Le Club Passion が摘発されることになった警察への通報はメグミの仕業です。

しかし、1年後に Le Club Passion を再開し、ここにメグミも大きく関わってきます。

またリョウは、御堂静香に亡き母の姿を重ね合わせ惹かれていき、一度はきっぱりと断られますが、2人の関係にも新しい展開があります。

この話は続編の『逝年』で読むことができます。

そしてさらにリョウと咲良、アズマの7年後が『爽年』で描かれます。30歳を目前にした彼らが選択する未来とはどんなものなのでしょう。

『娼年』を電子書籍で!

コミック版は3巻完結です。
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