小説『凶犬の眼』

柚月裕子さんの超人気『孤狼の血』シリーズの第2弾!

五十子会と尾谷組の抗争から2年、日岡の姿は広島県の山奥の僻地にありました。田舎の駐在として働きながらも、大上から受け継いだ血は日岡の中で沸々と煮えたぎっていました。

そんな日岡の前に現れたのは、史上最悪の暴力団抗争の指名手配犯の国光寛郎。

必ず日岡に手錠をかけさせることを約束した国光を黙認することにした日岡。

約束が果たされる日は来るのか?日岡と国光の運命は?

大上から受け継いだ血が、日岡の血となり流れ始める”仁義”の物語です。

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日岡のその後…あらすじは?

五十子会と尾谷組の抗争から2年後、日岡の姿は中国山地のど真ん中、中津郷の駐在所にありました。

大上の遺志を引き継いで、五十子会と尾谷組に首を突っ込みすぎた日岡は県警本部にとっては厄介者扱いで、見事に僻地へと飛ばされたわけです。

叔父の葬儀があり広島市まで出てきた日岡は、久しぶりに晶子に会いに「志乃」に顔を出しました。

一之瀬と銀次が2階の座敷でもてなしていた男は、いでたちは明らかに極道で、”吉岡”と名乗ったその顔はどこかで見たような気がしました。

日岡は必死で記憶をたどり、明石組4代目組長の武田が暗殺された事件の首謀者として全国に指名手配されている”国光寛郎”ではないかと思い至りました。

あとでこっそり尾行するつもりで店を出ると、男が追ってきて日岡に言います。確かに自分は国光寛郎だと。しかし自分にはまだやることが残っている、それが終わったら必ず日岡に手錠をはめてもらうことを約束するので時間をくれと…。

中津郷でゴルフ場開発が進められることになり、その工事責任者が駐在所の日岡を訪ねてきました。それは”吉岡”と名乗る国光寛郎でした。

国光の真意を測りかねている日岡は、県警本部には連絡せず、もう少し国光の様子をうかがうことにしました。

そんなある日、国光に仕える若いもんが日岡をもてなしたいと駐在所に迎えにきました。ゴルフ場工事現場のプレハブの中ですき焼きを食べ酒を飲んで国光と対峙した日岡は、国光はそこいらの食えないヤクザとは違うという印象を受けました。

日岡と国光が親し気に話をしているところを人に見られてはまずいので、人目に付かない場所で釣りをしながら話をしていると、川上の方から「助けて!」という叫び声が聞こえ、川に子どもが流されているのが見えました。

誰よりも先に国光が飛び込み、子どもを抱きかかえ向こう岸に泳いで渡りました。日岡もその後に続き、子どもに飲んだ水を吐かせて何とか危機を脱したところに祥子がやってきました。

祥子は地元の名家・畑中家の娘で、日岡は断り切れずに週に1度勉強を見てあげている高校生で、流された子どもは祥子のいとこでした。

お礼を言いたいと祥子が向いた先、向こう岸では国光達が釣り道具を片付けて帰るところでしたが、濡れたシャツからは背中の昇り龍の刺青が透けて見え、川に飛び込んだせいで国光の変装が取れ素顔をさらしていました。

しばらくして日岡は江田島の合宿研修に参加することになりました。研修所の昼食時にテレビを見ていると、大阪の心和会の浅生会長の自宅にロケット弾が撃ち込まれ、警察官が1人亡くなったと報じていました。

組長の武田を殺された明石組による報復に違いありません。国光が動くに違いない…日岡は胸騒ぎが止まりませんでした。

研修を終えて中津郷に戻った日岡は、すぐに国光に会いに行きましたがゴルフ場工事現場には国光はいませんでした。そして次は明石組系の若狭組組長が銃撃され、その後1週間で10件を超える発砲事件が相次ぎ、報復合戦は本格化していました。

日岡は国光が戻ってきていないか毎晩現場事務所を見に来ていました。そして10日経ったある日、事務所に電気が点いていることを確認し、訪ねていきました。

中には帰ったばかりだと言う国光と若い衆3人がいました。日岡が関西の抗争に関わっていたのか聞くと、国光はそれを否定し、北柴親分の身の安全を確かなものにするために関西極道会の重鎮・目蒲と日本三大組織の一つ関東成道会会長の磯村と会って手打ちの画策をしていたと言いました。

そして、約束通り日岡に手錠をはめてもらう日も近いと…。

国光ら4人がゴルフ場建設現場の事務員を人質に取って立てこもり事件を起こしたのはそれから1か月後のことでした。

日岡は県警からの緊急指令で立てこもり事件のことを知り、現場に急行しようとしましたが駐在所に残るように言われました。なぜ犯人が国光らだと特定されているのか、なぜ地元の自分に連絡が来なかったのかをいぶかりながら、警察無線とテレビに釘付けになっていました。

日岡がすぐに現場に来るように言われたのは翌朝のことです。国光が人質の女性と中津郷駐在の日岡を交換してもいいと申し出てきたとのことでした。

日岡は大上のジッポの感触を確かめ、国光のもとにむかって歩き始めました。人質の女性と日岡の交換が済むと、国光は盗聴器が仕掛けられていないか日岡の体を調べ上げ、服を脱がせて着替えさせました。

盗聴器を壊すまでは、国光も日岡も調子を合わせて大芝居を打ちましたが、それが済むと4人は日岡を丁寧にもてなしました。

国光は現場の捜査本部に電話をかけると、明日の午後3時までに現金3億円と装甲車を用意するように、それができなければ日岡の命はないと告げました。

時間稼ぎをしている間に、日岡は経緯を尋ねました。すると、昨日の昼頃、関西の暴対課の刑事が数人、工事現場をのぞきに来たと言うのです。そこで急遽、事務員を人質にとって立てこもったということでした。

国光によると、明日の午前中に目蒲と磯村による手打ちが行われるとのこと。それさえ無事に終われば国光はもうシャバには用はないと言いました。

翌朝、テレビではこれから手打ちが行われる明石組本部の中継が始まりました。それを見ながら国光が日岡に言いました。

わしと兄弟分にならへんか。

腹をくくった日岡はそれを了解し、2人は盃を交わしました。

11時になり手打ちが終了した様子がテレビで流されると、国光たちは慌ただしく次の準備をし始めました。

国光は日岡に目を閉じるように言いました。すると頬に激痛が走りました。国光は匕首を手にしています。国光ともみ合って匕首で切られたことにしておけと、国光は言いました。

日岡は4人を制圧したことを捜査本部に連絡し、4人を連れて外へ出ました。国光の首には日岡が銃口を押し付けています。

4人は捜査員に押し倒されるように制圧されました。手錠をはめられそうになった国光が「手錠は、この駐在にはめさしたれや」と凄みをきかせ、日岡が代わって国光に手錠をはめました。国光は約束を守ったのでした。

後に国光が潜伏していることを警察に密告したのは、日岡に振りもいてもらえない祥子だということもわかりました。

国光らが逮捕され、明石組と心和会の抗争は手打ちが成立し、全ては丸く収まったと誰もが思っていましたが、手打ちから半年後、北柴組長が何者かによって暗殺されました。青酸カリによる毒殺でした。

警察は北柴組長の死は自殺として片付けました。しかし、日岡も国光もそんなことを信じるはずがありません。国光逮捕の手柄により県警捜査四課に異動した日岡は独自のルートを使って真相を調べ始めました。

その情報によると、北柴が飲んだ珈琲に添えられていたスプーンに、国光が服役中の今はナンバーツーの位置にある杉本の指紋がついていたとのことでした。身内の仕業だったことを国光が許すはずもありません。

それから2年後、乗り捨てられた車のトランクから杉本の惨殺死体が発見されました。遺体には凄絶なリンチの跡も残されていたとのことでした。

日岡が「志乃」で呑んでいると、国光が最も信頼を置く部下である若頭の立花が現れました。立花から事の顛末と国光の様子を聞き、やはり国光は男だったと…、死ぬまでヤクザを貫くと語った兄弟を思い、日岡は大上が遺したノートと金を受け取る決意を固めました。

 

横道重信が国光のいる旭川刑務所に不良押送されてきました。同じ房の受刑者ともめ事を繰り返し不良押送されることが目的でしたが、こんなにもすぐに望みの旭川刑務所に押送されるとは思ってもみませんでした。

目的の男・国光と同じ工場に配属された横道は、彫刻刀を研ぐ許可をもらうと丸刀・平刀・キリをタオルにくるみ研磨機に向かいました。そして刀を研いで作業場に戻る途中で国光に近づくと、いきなり国光の胸にキリを突き立てました。

「親分の仇や!」と叫び、横道は平刀で首の動脈を掻っ切りました。横道は元明石組構成員で、武田組長の仇をとるため国光の命を狙っていたのでした。

親の仇をとるのは極道なら当たり前。横道を見る国光の目はにやりと歪みました。

小説を読んだ感想

血なまぐさい暴力がメインの前作『孤狼の血』とは打って変わって、この『凶犬の眼』は男意気を感じさせる静かな物語です。

もちろん史上最悪の暴力団抗争というのが背景にあって、暴力や銃撃シーンは避けられないのですが、それ以上に日岡と国光の魂のぶつかり合い、惹かれ合いに釘付けになります。

国光は極道にしておくにはもったいないくらい、頭は切れるし道理をわきまえる男の中の男という感じで、日岡はどんどん国光という男に心酔してき、ついには兄弟の契りを交わします。

自分の損得になど一切関せず、仁義を立てることを最優先とする国光の生き様は、警察組織に不信感を抱く日岡にとって何より共感できるものだったのでしょう。

大上というアウトローな先輩から、正義というものがいかにあやふやで役に立たないものかを叩き込まれ、国光から仁義というものを教えられた日岡は、警察官として大上の血を受け継いでいく覚悟を固めます。

『孤狼の血』で爆発した血が『凶犬の眼』で流れ始めるような、やっと日岡が地に足を付けて歩き始めたような感じがして、読んでいるこちらとしてもストンとすべてが腑に落ちるような感覚…。柚月裕子さん、さすがとしか言いようがありません。

『孤狼の血』を読んだ方にはぜひとも味わっていただきたい!

そしてシリーズ第3弾の『暴虎の牙』もぜひ!

『凶犬の眼』映画化はある?

『孤狼の血 LEVEL2』のヒットを受けて、シリーズ3作目の制作決定が東映から正式に発表されましたね!

そもそも『孤狼の血』は続編を撮ることを前提として映画化されたという経緯があります。

2作目は当然原作に基づいて『凶犬の眼』になるものだと思っていたら、オリジナルストーリーによる『孤狼の血 LEVEL2』という前作をしのぐ血で血を洗うストーリーでした。

白石和彌監督は「『孤狼の血』で最後に五十子正平を殺してしまったので、『孤狼の血 LEVEL2』は『凶犬の眼』につなげるために作った」と語っておられます。

ということは『孤狼の血 LEVEL2』に続く3作目はいよいよ『凶犬の眼』に他ならないでしょう。

『凶犬の眼』のテーマはまさしく”仁義

『孤狼の血 LEVEL2』では上林が殺された親分・五十子正平の仇を討つという歪んだ”仁義”が描かれるので、『凶犬の眼』で本物の”仁義”を描くための布石にもなっているような気がします。

映画化された暁には、国光寛郎を誰が演じるのかが最大の注目になりそうですね。

原作では日岡と国光を引き合わせるのは一ノ瀬守孝なのですが、日岡が刑務所にぶち込んでしまったので、きっと映画では少し違う形で出会うのでしょう。

映画のタイトルも『孤狼の血』になるのか『凶犬の眼』になるのか…、こちらの方も楽しみです。

原作小説を読んだ原作ファンの方も絶対に期待を裏切りませんから、映画『孤狼の血』『孤狼の血 LEVEL2』を見てワクワク感膨らませてください!

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