映画『朽ちないサクラ』原作小説のあらすじとネタバレ

警察の怠慢のせいでストーカー被害者が殺されるという痛ましい事件が起きた。スクープ記事を書いたのは泉の親友の千佳が勤務する新聞社だった。

親友に裏切られた?と不信感がぬぐえない泉。しかし1週間後、千佳は遺体として発見された。

泉は同期の磯川とともに独自に調査を始めた。次第に真相に近付いていく2人。さらに増えていく遺体。

やがて事件の真相にたどり着いた時、そこにうごめいていたものは醜く黒い闇だった…。警察組織に切り込んだ柚月裕子さんの傑作ミステリー。

【主なキャスト(敬称略)】
杉咲花:森口泉
萩原利久:磯川俊一
豊原功補:梶山浩介
安田顕:富樫孝之

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『朽ちないサクラ』のあらすじ

県警広報課事務員として勤務する森口泉29歳。朝から苦情の電話を受け続けて精神的にヘトヘトだ。

2週間前、ストーカー被害を訴えていた21歳の長岡愛梨さんが安西秀人に殺された。両親は何か月も前から県警を訪れて相談していたが県警は対応していなかった。

挙げ句の果てに両親が出した被害届の受理を1週間先延ばしにし、その間に北海道に慰安旅行に行っていたことが地元の新聞にすっぱ抜かれた。警察の対応の悪さに県民が怒りを覚えるのは当然だった。しかし、どこから慰安旅行のネタが漏れたのか?

泉は内心不安だった。新聞記者の友人・津村千佳に同期の磯川俊一からもらったお土産をお裾分けしたときに、うっかり慰安旅行のことを話してしまったのだ。

千佳は絶対記事にしないと約束してくれたが、その2日後、千佳の勤める新聞社がスクープ記事を書いた。

泉は千佳を問い詰めたが、千佳は絶対に自分ではないと言い張った。そして、裏切り者の烙印を消すために、記事を書いた真犯人を見つけ出すと言った。

1週間後、津村千佳が遺体で発見された。

課長の富樫隆之に泉は呼び出された。そこで泉は千佳は殺されたのだということを知った。さらには携帯電話から千佳と泉のつながりが明らかになり事情を聞かせてほしいと言われた。

自分が慰安旅行の情報を漏らしたことを富樫に知られるのは怖かったが、千佳を殺した犯人を許せない気持ちで、千佳が報道部デスクの兵藤洋と不倫関係にあったことも含めて全てを富樫に話した。

渦中にある平井署に勤務する磯川俊一はある違和感を感じていた。いつも被害者に親身になって対応している辺見学巡査長が長岡愛梨さんの両親の訴えにだけ耳を傾けようとしていなかったことに気付いていたのだ。

それと同時に、泉に旅行のお土産を渡したことが原因で慰安旅行に行っていたことがマスコミにばれたのではないかということも気になっていた。泉に迷惑をかけたかもしれないと気に病んだ磯川は泉を食事に誘った。

泉は自分がお土産を渡した千佳が殺されたことや県警の事情聴取を受けたことを磯川に話した。そして千佳が殺された理由をどうしても知りたいので、独自に調査する協力を磯川に仰いだ。磯川は快諾した。

泉は捜査一課長の梶山浩介による事情聴取では包み隠さず知っていることは全て話した。そして梶山から千佳が亡くなる前の1週間は仕事を休んで何かを調べていたこと、亡くなる直前には小先市に向かっていたことを教えてもらった。

磯川は慰安旅行の件がマスコミに漏れた原因と小先市に何か関係があるのかもしれないと思い、職場の食堂で雑談交じりにいろんな人に話しかけた。

すると総務課の2人の女性が、前年度末で契約の更新が切れて退職した臨時職員の百瀬美咲が小先市出身だったことを教えてくれた。美咲が契約が更新できず退職を余儀なくされたのは課長の杉林正一郎との不倫からの痴情のもつれだったこともわかった。

杉林は美咲との関係を切るために職権を使って美咲の契約を切ったのだった。

杉林に恨みを抱いた美咲が復讐するために新聞社に慰安旅行の件をリークしたのではないか、そしてその事実をつかんだ千佳は美咲に会うために小先市に向かったのではないか。そう考えた泉と磯川は、美咲に会いに行くことにした。

ところが美咲は千佳が遺体で発見された2日後に亡くなっていた。自殺ということで処理されていたが、納得がいかなかった。見せてもらった美咲の手帳にはスクープ記事が出る前日に「ボン・ヂア」という店で誰かと会う約束と電話番号が記されていた。

「ボン・ヂア」はスクープ記事を書いた新聞社がよく使っている店だ。書いてあった電話番号は報道デスクの兵藤洋の直通番号であることもわかった。

泉と磯川は「ボン・ヂア」に行き、兵藤と美咲が確かに会っていたことを確かめた。

泉は富樫にこれまでの調査で分かったことを全て伝えた。そして富樫からはストーカー殺人事件の犯人・安西秀人がテラス・ポースというカルト教団の信者だったことを教えてもらった。

テラス・ポースは過去に日本中を震撼させる大事件を起こしていた。現在はソノフと名前を変えて活動しており、今でも公安の監視対象となっている。

磯川は辺見を酒の席に誘い、もしかしたらソノフからの圧力があったのではないかと聞いてみた。辺見は「知らない方がいいこともある」と言い残して出ていき、それからしばらくして警察を退職した。

一方で兵藤は美咲と会って慰安旅行の情報を仕入れていたことを認めたが、千佳や美咲が亡くなった件には関係ないことがわかった。

富樫がソノフ信者のリストを入手してきた。梶山は車所有者が小先市に向かった形跡がないか調べたが空振りに終わった。レンタカーを調べると浅羽弘毅という信者が捜査線上に浮上してきた。

浅羽には美咲が亡くなった日のアリバイがないこともわかった。ところが浅羽に任意同行を求めようとした矢先、浅羽は事故で死亡してしまった。

浅羽のパソコンからは「C・T行動記録」というファイルが見つかり、それは津村千佳の行動を記録したものだった。また浅羽の服からは千佳の毛髪が、靴からは千佳の遺体発見現場、美咲の遺体発見現場の土と同じ成分が発見された。

安西がソノフ信者だということが世間に知られると教団は再び解散の窮地に追い込まれるため、浅羽が千佳と美咲を殺したのではないかということになり、被疑者死亡のまま書類送検されることになった。事件は一件落着かと思われた。

事件の真相は?

ここから先はおおきにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。

事件の真相は?
泉は事件解決の報告をするために千佳の実家を訪れた。

母親から千佳が亡くなるまでの1週間どんな風に過ごしていたのかを知りたいと懇願された泉は、梶山に浅羽が付けていた千佳の行動記録を見せてほしいと頼んだ。

その記録を見て泉は違和感を覚えた。泉が千佳と会ってお土産を渡した日の行動が記されていたのだ。スクープが出る前の行動を監視しているなんて辻褄が合わない。浅羽が事故死したこともタイミングがよすぎる。誰かが浅羽に罪をなすりつけようとしているとしか思えない。

泉が千佳と会ったことを知るのは富樫、梶山、磯川の3人だけのはずだ。そして今回の事件で得をしたのは公安警察だけだということに気付いた。

安西と浅羽は実は公安のスパイだった。安西を泳がせるために辺見には公安から圧力がかけられ、真実に近づきそうになった千佳と美咲は浅羽に殺され、ついには浅羽も消された。

公安がその存在価値を高めるために作り上げたシナリオだった。元公安だった富樫が裏で糸を引いていたことは間違いないと思われた。しかし泉はそれを証明するすべを持たなかった。

泉は警察事務を辞めて警察官になる決意をした。

映画の見どころと原作との違い

「サクラ」というのは極右や極左、カルトから日本を守るという大義のもとに活動する公安警察の暗号名。

確かに国家の安全を守る公安の仕事は必要なものですし、その職務を全うすることはやりがいのある大切な仕事です。しかし国家の安全のために個人は犠牲になってもいいのか?という壮大なテーマを描いた物語です。

結局、富樫が本当に黒幕だったのかどうかということは物語では語られないのですが、公安出身の富樫はあくまでも公安だったというのが「朽ちないサクラ」という意味だったのでしょうね。

親友を信じてあげられなかった後悔と無念。事件が解決したように見えて実はうまく丸め込まれてしまった事実。全てに怒りというかやるせなさを感じる物語です。

映像で見てしまうともっとモヤモヤした感じで見終わってしまうかもしれませんね。

それでも、このままではいけないと立ち上がる泉の姿には勇気をもらえるというか、感動するに違いありません。その泉を杉咲花さんが演じるのもとてもしっくりきて楽しみです。

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