小説『浅田家!』

写真家の浅田政志さんを嵐の二宮和也さんが演じることで話題沸騰中!

写真集「浅田家」にまつわる、心温まる家族の物語が映画になりました。

この小説は、原作という訳ではなく、映画『浅田家!』の監督であり脚本も手掛けた中野量太さんによる書き下ろしです。

さすが『湯を沸かすほどの熱い愛』を描いた中野監督だけあって、心が温かくなる家族の物語が紡がれています。

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小説のあらすじは?

政志は、専業主婦のお父さんと看護師のお母さんと3つ年上の兄・幸宏からなる浅田家の次男として生まれました。

お父さんはカメラが趣味で、政志は12歳の誕生日に、お父さんのカメラを譲り受けました。

高校を卒業すると写真の専門学校に入学し、初めはまじめに通っていた政志でしたが、ついには卒業が怪しくなってきます。

そこで先生が出した課題が「一生にあと一枚しか、写真を撮れないとしたら?

政志が出した答えは”家族”でした。しかも、これぞまさしく「浅田家!」という家族の写真を撮りたいと。

お父さんが包丁で足を切って、それを見て慌てた幸宏と政志が階段で転んで顎をぱっくりと割った、11年前の痛ーい出来事を、当時のそのままに再現して撮った写真は、卒業制作の学長賞を受賞しました。

無事に専門学校を卒業して働くのかと思ったら、政志は実家に帰ってきてパチンコと釣り三昧の毎日。何が撮りたいのかが分かるまでシャッターは押せない…。迷走状態。

見るに見かねた幸宏が探してきた仕事の面接をすっぽかして、防波堤でスーツのまま寝転がっているところにお父さんがやってきます。

他愛もない話のあと「父ちゃん、本当は何になりたかったん?」と聞くと「消防士さん」と。浅田家の家族写真の始まりです。

お母さんに何になりたかった?と聞くと「極道の妻」と。幸宏の子どもの頃の夢は「レーサー」。浅田家は写真の中で次々となりたかった自分に、やってみたかったことに挑戦していきます。

撮りためた写真を引っ提げて、政志は東京へ出ていくことにします。でもお金はありません。幼なじみで、元カノの若菜のところに「恩は10倍にして返す」と言って転がり込みます。

スタジオアシスタントとして働きながら、浅田家の写真を写真集として出版したいと、出版社に持ち込みますが、まるで相手にされません。

見るに見かねた若菜が格安のギャラリーを探してきて、個展を開くことにしました。

写真の前で楽しそうに笑っているおばさんが名刺を差し出し「近くに来ることがあったら寄ってね」と言って帰っていきました。そこには「赤々舎」という出版社の名前が書かれていました。

政志はびっくりするくらいぼろーいビルにある、ぼろーい事務所を訪ねて、写真集「浅田家」はようやく出来上がりました。

姫野の予想に反して、当初は全く売れなかった写真集が、なんと2009年第34回木村伊兵衛写真賞を受賞します。

それから政志は「家族写真を撮る」写真家として活動を始めました。日本全国どこへでも出向いて行って、その家族らしい写真を撮ることが政志の仕事でした。

東日本大震災は突然に起こりました。

震災から1か月後、政志はどうしても安否が気になって、かつて家族写真を撮ったことのある岩手県の高原家へと向かいました。家は跡形もなく流されていました。

非難所や役場を回っても高原一家は見つかりません。震災の爪痕にシャッターを切ることもできませんでした。自分の無力さを思い知り、東京に帰ろうと思ったそのとき、1人の青年が目に留まります。

眼鏡の青年が、泥だらけの写真をタオルで拭いていました。机の上とブルーシートに並べられた写真の横には「みなさんの写真をお返ししています」と書かれていました。

政志は「写真は水で洗えばいい」と教えてあげて、2人は黙々と写真を洗い続けました。隣町で小さな居酒屋をやっているという外川美智子さんもボランティアに加わって、写真の洗浄返却活動も徐々に効率よく進化していきました。

そんな中で無精髭をはやした一人の男性が突然「お前ら邪魔だ!まだの人間だっていんだ」と怒鳴り、洗浄前の写真が入った箱を蹴り上げて去っていきました。

美智子さんが交渉して、小学校の1階を借りて写真の洗浄返却作業ができることになりました。そこに大きな腕時計をした女の子が毎日写真を見に来ていました。その女の子は内海莉子ちゃんといって、家族の写真を探していましたが、どうしてもお父さんの写真だけが見つかりませんでした。

ある日、かつて政志や小野くんたちを「邪魔だ!」と怒鳴り上げた男性・渋川謙三が訪ねてきます。また何かクレームかと美智子さんが詰め寄ると「一昨日、娘が見つかった。家が全部流されてしまったから、遺影にする写真がないんだ…。」と絞り出すように言いました。

写真を探すのを手伝ってあげたくても、娘さんの顔がわからないので手伝いようがなく、無力感にさいなまれていた時、「卒業アルバム!」と政志が思いつきました。

卒業した中学校のアルバムの中からバドミントン部の集合写真に娘を見つけた渋川は、娘の顔を優しくなで、嗚咽しました。

アルバムを抱えて帰っていく渋川の様子を見ていた莉子が「私のお父さんの写真も、みんなで探してほしい」と言います。特別扱いはできないから…と断ると、莉子は「じゃあ、私も家族写真を撮ってほしい。」と政志に言いました。

莉子が政志を内海家があった場所へ案内しますが、そこは土台だけが残っていて何もありませんでした。「ごめん、撮れない。」という政志に、莉子は手作りのアルバムを押し付けて泣きながら帰っていきました。

莉子の手作りアルバムを見ると、お母さんと莉子と妹の写真が20枚近く貼ってあり、最後のページは「内海家」とだけ書かれ、空白になっていました。

兄の幸宏から、お父さんの72歳の誕生日には帰ってくるようにと言われていたので、政志は一旦三重に帰ることにします。

誕生日ケーキのろうそくを吹き消したお父さんが、突然倒れ、救急車で運ばれます。脳梗塞とのことでした。

防波堤でぼーっとしていると、コツコツとヒールの音がしました。若菜でした。「津に帰ってるんやったら連絡してよ。」と怒る若菜。「もうはっきりしてもらいたいんやけど。私も浅田家の写真に入れてほしい。」視線を逸らす政志にたたみかけます。「私に恩を10倍で返す言うたやん。ギャラリーレンタル料と写真集36冊で20万円。私と結婚するか200万払うか、さあどっちか選んで!」政志は「200万払うなんて絶対嫌や。」と叫びました。

幸宏と政志は専修寺にお父さんの回復祈願に行きました。昔ここで、おそろいのAが編みこまれたセーターを着て年賀状の写真を撮ったという恥ずかしい思い出を話しているうちに、自分の一番大事なものを写真に残しておきたかったお父さんの思いに気付き、居ても立っても居られなくなり、慌てて東北へと戻っていきました。

莉子ちゃんに「撮りたいんだ、内海家の家族写真。」と伝え、「一番、内海家らしいっていう姿を撮りたい。家族でいちばん楽しかった思い出は何?」と、莉子ちゃんとお母さんと妹の真子ちゃんに聞きました。

【去年パパと遊んだ海】に行った政志と内海家の3人。政志は「時計を忘れたから貸して」と莉子のしている大きな腕時計を借りました。「去年のことを思い出して、海水浴を楽しんで」と言われても笑顔を作ることができない莉子に、政志が言います。

「何でお父さんの写真が見つからなかったか、やっとわかったよ。ウチも一緒やったから。」

カメラの横で、政志の胸に付けられた【お父さんの時計】がキラッと光りました。「ほら莉子、もっと笑って。」お父さんの声が聞こえた気がしました。

被災地ではシャッターを切ることができなかった政志でしたが、写真家に戻る…と、東北を後にすることにしました。そして、最後にどうしても寄っておきたいと訪れた町役場で「高原信一、佐和、桜、3人とも無事です」という張り紙を見つけました。

震災から8年後、新聞に「岩手県野津町の写真返却会」の記事を見つけた政志は、家族のディズニーランドの約束を蹴って野津町に車を走らせます。

そこには変わらず美智子さんがいました。美智子さんに行ってみようと言われて野津小学校に行ってみると、なんと小野くんは野津小学校の先生になっていました。

小説を読んだ感想

『浅田家!』映画化の話を聞いて、すぐに写真集「浅田家」を手に入れました。小説を読む前に見ておくと、映画が100倍おもしろくなること請け合いです!

真剣な顔でなりきっている浅田家の面々を見ると、ぷぷっと笑いがこみ上げるのはもちろんですが、温かくて優しい気持ちになります。そして大切な家族のことを思います。

物語前半は、なんだかポンコツな浅田政志さんと温かく見守る家族のエピソードが満載で、そこに家族写真がしっくりはまっていきます。

しっかり充電した政志は、ついに一人で歩き始め「家族写真を撮る」ことをライフワークとしていきます。

そこからは、いろんな家族の形が見えて、ちょっと涙なしで読むことができないくらいのドラマがあります。

写真って、撮った人の思いも一緒にそこに写りこむというか、シャッターを切った瞬間の気持ちも乗っかっちゃってるんですよね。

だから、写真家でありながら、被災地で一度もシャッターを切ることができなかった浅田さんは、ある意味では本当の写真家だったのではないかと思います。

その家族にしかない「家族らしさ」を切り取るためにシャッターを切っていく浅田さん。

これから先もずっとそうやって写真家を続けてほしいですね。

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浅田政志さんの半生を描いた感動の物語です。
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