父の残した銭湯「月乃湯」を継いだ関口かなえ。ある日突然、夫の悟が失踪してしまう。
堀という男が銭湯の手伝いに来てくれることになって営業は再開することになったけれど、モヤモヤした日々は続いている。
知らなかった悟の事実が次第にわかり、自分の中の閉じた記憶にも触れる事件が起こり…。
心の奥底に流れる感情、触れられたくない過去の記憶と共存しながら、人は出会いと別れをくり返していきます。
今から約20年前に連載されていた漫画が、ようやく満を持しての実写映画化です。
【主なキャスト(敬称略)】
真木よう子:関口かなえ
井浦新:堀隆之
リリー・フランキー:山崎道夫(探偵)
永山瑛太:関口悟(かなえの夫)
江口のりこ:菅野よう子(かなえの友人)
アンダーカレントってどういう意味?
「アンダーカレント」は英語で「 undercurrent 」
「current」は流れ(名詞)とか現在の、流れている(形容詞)という意味で、「undercurrent」は流れの下…つまり底流や暗流と訳され、表面には現れていない水の流れや感情を表します。
登場人物は一見しっかりしていて元気に見えるのですが、過去に負った心の傷や後悔が心の奥底にずっと流れ続けています。
漫画『アンダーカレント』のあらすじ
2年前に父・紘三が亡くなり、銭湯「月乃湯」は娘の関口かなえと婿養子の悟が細々と切り盛りしていた。
ところが悟は組合の旅行先で突然蒸発。
しばらく「月乃湯」を閉めていたが手伝ってくれる木嶋のおばさんとなんとか再開することにした。
組合の紹介で、堀隆之と名乗る男性が手伝ってくれることになった。
偶然友人の菅野(かんの)と会ったかなえが悟がいなくなったことを話すと、菅野は夫の知り合いの探偵・山崎道夫を紹介してくれた。
菅野がコインランドリーで高級ブランドのパンツを盗まれたときには近所のサブ爺(田島三郎)が犯人を捕まえると張り切っていたが、堀がこっそり少年を捕まえてパンツを返した。
しばらくして山崎から連絡があり、これまでに調べて分かったことを報告された。
悟は兵庫県出身で交通遺児だとかなえに話していたが、実は山形県の出身で両親は2年前まで健在だったらしい。
廃業するお風呂やさんから重油バーナーを譲ってもらえることになり、かなえは堀に運転を頼んで取りに行くことになった。
ところがお風呂屋さんは火事で全焼していた。主人の内海は姿を消しており放火の疑いもあるとのことだった。
やるせない気持ちでの帰り道、かなえは小さい頃から誰にゆっくり首を絞められて水の中に沈められる夢をよく見ることや、実は自分がそれを望んでいることを語った。
山崎から最終報告があり、悟の貯金は失踪直後に全額引き出されていて足取りがつかめないこと、女性の影は見当たらなかったこと、前の会社の親しい女性同僚が会社の金を横領してしまったときに、悟がその疑惑をかぶって仕事をやめたことなどを説明された。
「月乃湯」の常連客藤川美奈の8歳の娘のみゆがいなくなった。道路にかばんが落ちていて、携帯電話にもつながらなかった。
結局、みゆは見つかったが、かなえは25年前仲良しのさなえがさらわれて溺死体で発見された事件のことを思い出していた。
犯人に脅されてさなえが連れ去られたことを誰にも話せなかった自分を許せなくて、ずっと死にたいと思っていた。
かなえは堀に殺してと頼んだが、堀は優しくかなえの涙を拭いただけだった。
山崎から連絡があり、悟が見つかったと言われた。山崎は合わせる顔がないという悟を説得して会うセッティングをしてくれた。
悟は子どものころから大嘘つきで何の罪悪感もなく嘘がスラスラ出てくるのだと言った。しかし嘘を隠すためにさらに嘘をつき続けなくてはならないためいずれボロが出て気付く人が現れる。そしたら逃げるのくり返しの人生だと。
会社の子の横領をかばって辞めたことになっているけど、横領したのは自分だとも言った。
本当はかなえに全て話したいと思ったこともあったらしいが、結局逃げ出してしまった。かなえと悟は今度こそ本当にさよならをした。
そのころ堀がかなえの元を去ろうとしていた。
堀の正体は?
ここからは大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。
『アンダーカレント』の感想
なんだか重くて切なくて苦しい物語でした。人というのは全く意識しない心の奥底に流れている記憶や感情にこうも支配されるものなのですね。
かなえにはもちろん、妹を守れなかったと悔やんでいる堀や嘘をつき続ける悟にも心の奥底に澱のように存在し続けるものがあって、認めたくないし意識したくないのに時折その存在に苦しめられるんですよね。
途中、山崎がかなえに問う言葉
「人をわかるってどういうことですか?」
という質問は胸にずしんと残ります。私は家族や周りの親しい人たちのことが果たしてわかっているのかな。
でもその人に心の奥底にあるものが完全にわからなくても、そばにいて何かできることがあると信じたいとも思います。
最後のシーンで、かなえの元を去ろうとする堀が結局バスに乗り込まなかったのは、かなえのそばにいたいと思ってくれたんだったらいいなぁと思わずにはいられませんでした。
後悔のない人間なんていないと思うし、きっとこの「アンダーカレント」は多かれ少なかれ誰にでも存在しうるものなのだと思います。深くて不思議な物語でした。
映画『アンダーカレント』視聴方法は?
動画配信はまだ始まっていません
購入
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ついに電子書籍が発表されました。アンダーカレントという言葉の意味をかみしめてください。
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