雨穴のミステリー小説『変な絵』あらすじとネタバレ

『変な家』の雨穴さんが発表した新しいミステリー小説『変な絵』。

レンとユキちゃんの微笑ましい新婚生活を綴ったブログに投稿された5枚の絵には、許されない秘密が隠されていた。

6歳の少年が描いた自宅マンションの絵、レシートの裏に描かれた風景画。一見何の意図も感じられない絵に見えるが、そこには衝撃の事実が描かれていた。

絵は言葉以上にたくさんのことを伝えるのかもしれない…。9枚の絵が表している事実とは一体何だったのか。

張り巡らされた数々の伏線とその理由が明らかになる時、人間の愛情と執念の深さを感じる、とても怖くて切ないミステリーです。

絵の説明は言葉ではできないので、ぜひ↓の雨穴さんによる序章を見てくださいね!虜になること間違いなしですよ。

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『変な絵』のあらすじ

不可解なブログ

21歳の大学生・佐々木修平は、自宅アパートの一室で大学のオカルトサークルの後輩・栗原から教えてもらった『七篠レン 心の日記』というブログを読んでいた。

ブログはレンとレンの妻であるユキちゃんの微笑ましいおのろけ日記かと思われた。レンとユキちゃんは子どもを授かり、出産予定日の2009.9.10を心待ちにする様子が綴られていた。

逆子がなかなか直らなくて一緒に体操をしたり、イラストレーターだったユキちゃんが生まれてくる子どもの未来予想図を描いたりと幸せに満ちているように思われた。

ところが2009.10.11、レンの日記には赤ちゃんは無事に産まれたものの、ユキちゃんが出産中に亡くなったことが書かれていた。その後長らく日記の更新はなく、2012.11.28いきなり謎の言葉を残して日記は最後となった。

「3枚の絵の秘密」「あなたの苦しみ」「あなたの罪」という言葉とともに「あなたへの愛」を書き綴った日記。確かに不可解だ。

佐々木はユキちゃんが描いた絵には番号が振ってあることに気付き、それを軸にして絵を重ねてみた。うまくいかなかったため栗原に相談してみると、栗原からは番号のサイズを合わせることが大切だと教えられた。

数字を囲む〇の大きさを同じにして数字を軸にして合わせると、驚くべき絵が出来上がった。横たわる妊婦のお腹から赤ちゃんを引きずり出す老婆の姿。しかし、この絵が描かれたのは出産前…。

つまりユキは自分が死ぬこと、もしくは殺されることを予想していたということか?

優太とママ

もうすぐ6歳になる今野優太。3年前に父親である武司が亡くなり、今はママ・直美と2人で暮らしている。

ある日、保育園に迎えに行くと担任の春岡美穂から優太の描いた母の日のプレゼントの絵が気になると言われた。見るとマンションの6階の真ん中の部屋が灰色でぐちゃぐちゃに塗りつぶされていた。優太はどうして塗りつぶしたのか言いたくないと春岡に言ったらしい。

3日前から保育園からの帰り道に見知らぬ車に後をつけられている気がしていた。直美は優太の手をひいて大急ぎでマンションに入ったが、その日は車から降りた人物が後を追ってきた。直美と優太が6階までエレベーターで上がり部屋の前までたどり着くと、階段室から誰かが出てくる音がした。

すんでのところで部屋に滑り込んだが、追ってきた人物に部屋を知られてしまった。直美はその夜なかなか寝付けなかった。

翌朝目を覚ますと7時半を過ぎていた。しかも優太の姿がない。直美は慌てて保育園に電話をかけたが、保育園にも優太は行っていなかった。

春岡は優太の描いた絵が気になり、優太と仲良しの米沢美羽に話を聞くことにした。美羽によると、優太はまず大きな四角を描き、その四角の中の上の方に三角を描いたらしい。その後、白いクレヨンで三角を塗りつぶしてからマンションの絵を描いていた。

三角でピンときた直美はさくら霊園へと向かった。直美の予想通り、優太は「今野」と書かれたお墓の絵を描こうとしていたのだ。優太の本当のお母さんが眠るお墓を…。優太は「今野由紀」のお墓を探しにさくら霊園に来ていたのだった。

優太を連れて家に帰ると、チャイムが鳴った。ドアスコープをのぞくと、灰色のコートを着た男が立っていた。ストーカーがついに訪ねてきたのか。

直美は男を玄関に招き入れると、包丁を男の腹に突き刺した。血を流しながら倒れる男の顔は、どこかで見たことがあるような気がするが思い出せなかった。

直後に警察が踏み込んできて、直美は現行犯で逮捕された。

K山・美術教師殺人事件

さかのぼって1992.9.21。K山中で41歳の高校美術教師・三浦義春の遺体が発見された。刺し傷と暴行の痕があることから殺人事件として捜査されることになった。現場には義春の描いた絵が残されていた。

事件が迷宮入りしてしまっていた1995年、岩田俊介はどうしても記者になりたくてL日報に入社した。ところが配属された先は総務部。会社を辞めてフリーの記者になりたいと先輩の熊井勇に相談した。

両親を亡くし祖父と暮らしていた岩田は、高校時代に義春に世話になっていて、どうしても恩師が殺された真相を知りたくて記者になりたかったのだ。熊井は自分が取材してきた「K山・美術教師殺人事件」の秘蔵ファイルを岩井に見せることにした。

義春はK山に行く日の午前中、美術部で3年生の亀戸由紀の指導をしており、午後からK山に行くことを亀戸に伝えていた。

部活が終わると、義春は美大時代の友人・豊川信夫と合流し、駅前のスーパーであんパンとカツサンドとはなやぎ弁当を買ってK山へ向かった。

義春と豊川は4合目の広場ではなやぎ弁当を食べ、豊川はそこで下山、義春だけがキャンプをするため8合目へと向かった。翌朝9時、K山の整備士が折られた登山道の杭を確認するために8合目に登り、義春の遺体を発見した。

義春の胃の中からはなやぎ弁当の食材が検出されことから殺害時刻は17時ごろと推察された。刺し傷や殴打痕は200か所以上にのぼっていた。所持品でなくなっていたものは寝袋、あんぱん、カツサンド。

義春のポケットからはレシートの裏に描かれた8合目からの景色のラフなスケッチが出てきた。折れた杭が描かれているのでその日に描かれたものだ。

岩田は亀戸に話を聞きに行った。亀戸は義春の死後、義春の自宅に通って妻や子どもと食事をしたり家事を手伝ったりしていたらしい。豊川と遭遇することもあったらしいが、現在の連絡先は知らないと言った。

岩田は義春の行動を再現してみることにした。17時ごろK山の8合目に着いた岩田は、西日が逆光になって義春が描いたような山並みが見えないことに気が付いた。義春は朝まで生きていたことを伝えるため、朝日に照らされた山並みを描いたのではないか?

何時間か眠って目が覚めた岩田は、寝袋の上から縛られているようで身動きが取れなかった。女性に馬乗りにされ、無理やりはなやぎ弁当をペースト状にしたものを口にねじ込まれ、岩田は義春と同じ方法で殺害された。

岩田の殺害現場からは義春と同じように裏に8合目の景色が描かれたレシートが残されていた。

数日後、豊川が遺体で発見された。体内から大量の睡眠薬が検出され、部屋には「三浦義春と岩田俊介を殺した」と書かれた遺書が置かれていた。

事件の真相は?

ここからは大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。

義春と岩田を殺したのは?
義春の妻・三浦直美だった。

死亡時刻を偽装するためにはなやぎ弁当をペースト状にしたものを無理矢理食べさせ、その他の判定材料が出ないように全身200か所にものぼる刺し傷と殴打痕を残したのだった。

直美の生い立ち
直美は10歳の時に買ってもらった文鳥のちっぴを大切にしていた。

ところがその1年後、父が自殺。その後、精神を病んだ母は、父ではなく直美が死ねばよかったのにと言葉を荒げるようになった。

ある日、学校から帰るとちっぴのけたたましい鳴き声が聞こえた。母がちっぴを殺そうとしているのを見て、直美は我を忘れて母に飛び掛かった。ちっぴは助かったが、母は死んだ。

その後6年間、直美は教護院で過ごした。高校を卒業すると、助産師になるために看護学校に通い始めた。

アルバイトをしていた喫茶店に通ってきていた美大生・三浦義春と知り合い、義春の友人で同じ美大生の豊川信夫と3人でよく過ごすようになった。

卒業後、義春は高校の美術教師、直美は助産師として働き始め、2人は結婚して武司という息子を授かった。武司は男の子にしては引っ込み思案で大人しかった。

義春は武司のそんな様子が気に入らなくて、無理矢理アウトドアに引っ張りまわし、挙句の果てには体罰まで加えるようになっていった。武司を守るため、直美は義春を殺すことにした。

義春の死後直美を訪ねてきた豊川は、実は自分も義春を殺そうと思って8合目に潜んでいて、直美が義春を殺すところを目撃したと語った。警察にばらさない代わりに、豊川は毎週直美の家にやってきて直美を抱くようになった。

ある日、亀戸由紀が訪ねてきて、岩田という記者が豊川と連絡を取りたがっていると言った。亀戸から詳しい話を聴いた直美は、岩田と豊川を殺すことにした。

ブログの謎の真相は?
大人になった武司は偶然、亀戸由紀と再会した。交際を経て結婚することになった武司と由紀は、直美と3人で暮らすことになった。

由紀は妊娠すると直美が助産師として働く産婦人科に通い出した。このとき由紀は35歳を超えた高齢出産と高血圧という問題を抱えていた。

由紀のお腹が大きくなるにつれて、武司の赤ちゃんを自分で育てたいという邪心が直美の中でどんどん膨らんでいった。由紀のカルテには嘘の正常値の血圧を書き込み、サプリメントと称してカプセルに入った塩を由紀に飲ませた。

出産のいきみが原因で由紀は脳出血を起こして亡くなった。生まれた孫の優太に直美は自分を「ママ」と呼ばせて育てた。

ある日、武司は3枚の絵の謎と由紀が直美の殺意に気付いていたことを知り自殺してしまった。謎のメッセージの「あなた」とは母親の直美のことだった。

今野直美が刺した男は誰?
20年前に直美を取材した熊井という記者だった。

20年前の直美の名前は「三浦直美」。義春が死んだ後は旧姓の「今野直美」と名乗り、東京に引っ越して武司と2人で生活していた。。

岩田の死後、再び義春の殺害事件について調べ始めた熊井は、直美を徹底的に調べ上げ、子どもの頃に母親を殺害したこと、義春とは子育てのことで揉めていたことをつかんだ。

食道がんが再発した熊井は、知り合いの刑事・倉田恵三に自分が囮になるので直美を逮捕してほしいと頼んだ。ストーカーのふりをして直美に恐怖心を植え付け、倉田に待機してもらった上で直美と対峙したのだった。

直美は逮捕され、熊井は一命を取りとめた。

入院中同室になった大学生が今野武司が運営していたブログのことを教えてくれた。直美にはもう一つの罪があるかもしれない。熊井は残された優太の面倒を見るため、直美の罪を暴くため、まだ死ぬわけにはいかないと決意した。

『変な絵』の感想と考察

待ってました!雨穴さんの新しいミステリー。『変な家』の次は『変な絵』だなんて、題名からしてワクワクが止まりませんでした。

今回のミステリーは絵に隠された秘密を解き明かしていくという、ありそうでなかった展開です。

母親になる女性が描いた絵は微笑ましい絵ではなく殺害予告を示唆するものだったり、レシートの裏に描かれた景色は折り目を補助線として見ずに描かれたものだったり、絵は言葉以上にたくさんのことを語るんですね。

愛情を注ぐことは決して悪いことではないのに、その注ぎ方を間違えてしまうとこんなにも怖ろしいことが起こる…、人間の性って底知れない暗さを抱えてるというこの物語のテーマと絵の不気味さが相まって、鳥肌が立つくらい衝撃を受けました。

全ての事件が一本の線で繋がるという悲しい結末は実にお見事としか言いようがないですね。最後にしれっと栗原かと思われる大学生がでてくるのも面白かったです。

う~ん、雨穴さんの『変な…』、シリーズ化されないかなぁ。これ、一読の価値ありですよ!

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