中学3年生の冬、突然両親が交通事故で亡くなり天涯孤独の身となった田汲朝。引き取ったのは叔母の高代槙生だった。
いつも不機嫌で普通の生活が苦手な小説家である槙生は、朝の母親である姉の実里のことが大嫌いだった。これでも朝は子犬のように愛情を求めて槙生に懐いてくる。
全く違った環境と価値観の中で生きてきた槙生と朝は、互いにまるで違った国の人みたいに感じていた。そんな2人のありふれた日々を描いた物語。
生きていくことがほんの少し楽になる、素敵な言葉であふれた珠玉の漫画です。
【主なキャスト(敬称略)】
新垣結衣:高代槙生
早瀬憩:田汲朝
夏帆:醍醐奈々
瀬戸康史:笠町信吾
漫画『違国日記』のあらすじ
中学校3年生の冬、突然交通事故で両親を亡くした田汲朝。ひとり遺された朝を親戚中が引き取ることを拒む中、朝の母親・実里の妹である高代槙生が引き取ることになった。
小説家の槙生は姉の実里が嫌いだった。そのため朝とも長い間会うこともなかった。いつも不機嫌で整理整頓ができなくて人見知りの槙生と、正しい母に厳格に育てられてきた朝、全く相容れない異なる国で生きてきた2人の共同生活が始まった。
勢いで引き取ってしまったものの、経済的なことや生活面など槙生の心配は絶えない。槙生の親友の醍醐奈々や元カレの笠町信吾もちょいちょい顔を出しては2人の生活に
朝の卒業式の日。友達の楢えみりの母親が朝の両親が事故で亡くなったことを先生に話したせいで、全員が知っていた。普通の顔して普通に卒業式に出たかったのに…。朝は怒って卒業式に出ずに帰った。
えみりとは険悪な感じになったけれど、朝が何でも話せるのはやっぱりえみりしかいない。
朝とえみりは同じ高校に入学した。朝は実里が生きていたらきっと反対されたに違いない軽音部に入ることにした。
朝の家の荷物を整理しに行って、槙生は20歳になった朝に渡すつもりで書いていた実里の日記を見つけた。いつ渡すべきか渡さないべきか…笠町に相談しているのを朝は偶然聞いてしまい、槙生がいない夜に日記を探し出して読んだ。
日記に綴られていたのは愛にあふれた言葉…というより、説教に近い正しいことを説いた言葉。読めば読むほど朝は本当に母から愛されていたのか恐怖に近い感情を抱いた。
それから2日間、朝は無断で学校を欠席した。槙生は笠町と弁護士の塔野和成と一緒に朝を探した。その夜、朝は初めて両親が亡くなったことを実感し涙を流した。
自分には何もない何になりたいのかわからないと、迷い悩み自問自答し、ときには周りの人間を盛大に巻き込みながら成長していく朝。
時が経って…大学を卒業して社会人となった朝は、槙生との生活「違国日記」を書き始めた。
映画の見どころと原作との違い
この物語には冒頭の朝の両親が亡くなるという事故以外に大きな出来事は出てきません。淡々と進んでいく普通の毎日。一番の見どころは、登場人物たちが語る「言葉」ですね。
槙生は小説家だけあって語る言葉や言い回しが少し難しいのですが、妙に腑に落ちる言葉を投げかけてくれます。朝が悶々と迷い悩んでいる姿も「わかるわかる」と感じることがいっぱいあって、「このマンガがすごい!」で上位に食い込むのにも大いに納得です。
まず『違国日記』というタイトルが実に絶妙で秀逸!槙生と朝は、実里という一人の女性の存在によって新しく関係を結ぶことになりますが、まるで違う国で生きてきた人間のように価値観の違いを感じながら生活を共にしていきます。
登場人物全員、言葉にできないいびつな何かを持ってる感じがするけど、それって自分にも当てはまるような安心感というか既視感を感じてしまうことでしょう。ある人に対する見え方も感じ方も人それぞれだという、当たり前のことにも気付かされます。
登場人物は実に多彩。厳格すぎる朝の母に存在感のない父、恋愛関係は解消しながらも支え合う槙生と笠町、好きになるのは女性というえみり、性別を超えて生きてる作家の樹乃さん、真面目で融通が利かない弁護士の塔野くん、他にもいっぱい…!
朝が言葉や感情を尊重してくれる槙生に次第に心を寄せていき、朝のことを「愛していない」と明言した槙生が子犬のように愛情を欲して懐いてくる朝に寄り添っていく姿に、人と人の温かいつながりを感じる物語です。
槙生が朝の高校の卒業式に寄せた詩がまたいいんです。漫画も映画もきっと読んでよかった見てよかったってなりますよ。
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