
「保護司」とは、「前科者」の更生と社会復帰のために伴走する無給の国家公務員のことです。
そんな「保護司」の目を通して描かれた漫画『前科者』がドラマとなり、さらに完全オリジナルストーリーで映画になります。
「前科者」に寄り添い更生を信じて奔走する佳代が、その目の先に見つめるのは「希望」です。
立場は違ってもそれぞれに壮絶な過去を持ち心に闇を抱える登場人物たちが、それでも前を向いて必死で生きている姿は、何か大切なものを教えてくれます。
人はひとりでは生きていけないから…。サスペンスと共に描かれるのは壮大なヒューマンドラマです。
映画を彩る珠玉のキャスト
阿川佳代:有村架純
保護司3年目を迎え、相変わらず「前科者」のために泣いて笑って奔走しながら、落ち込むことも多いけれどやりがいを感じる毎日です。
ドラマ版で少しだけ回想シーンが流れましたが、佳代が保護司を目指すきっかけとなる事件の真相が明らかになります。
工藤誠:森田剛
職場でのいじめが原因で同僚を殺してしまいましたが、本当は気弱で優しい男です。片耳に補聴器をしているのは先輩からの暴力で難聴になってしまったからです。
過去にトラウマを抱える難しい役に「勝負したい」と6年ぶりに映画出演!森田剛さんの意気込みが感じられる難役です。
滝本真司:磯村勇人
失踪した工藤を追う若手刑事。実は佳代と中学時代の同級生で、佳代が巻き込まれた事件に大きく関わっています。
ひとつの事件を通して、一方は警察官に、もう一方は保護司に…。二人が進んだ道は異なりますが、人を救いたい…悲しむ人を出したくない…という心の根底にあるものは同じです。
謎の男・実:若葉竜也
実が誠の前に現れたことで、誠の人生があらぬ方向へと動かされていきます。
遠山史雄:リリー・フランキー
幼い頃に誠の元から消えた義父。誠の人生を狂わせた張本人。
佐藤みどり:石橋静香
かつては佳代の保護観察対象者でしたが、困った人を助ける便利屋を起業し、今では佳代の友達であり最良の理解者です。
北村有起哉さん演じる佳代の監督・指導をする保護観察官・高松直治、宇野祥平さん演じる佳代が働くコンビニの店長・松山は、映画でも時に優しく時に厳しく佳代のことを支えてくれます。
映画のあらすじは?
保護司になって3年の阿川佳代。この度担当するのは殺人事件で服役し仮出所してくる工藤誠です。
誠は、幼い頃、義父の暴力が原因で家族はバラバラになってしまいました。
生活していた養護施設は18歳になると自動的に追い出され、住む場所も仕事も安定しない日々を送っていましたが、24歳のときやっと製パン工場の仕事に就くことができました。
しかしそこは誠の安住の地ではありませんでした。1人の先輩から目の敵のようにいじめのターゲットにされ、殴る蹴るの暴行を受け続けました。
4年間耐え続けたある日、誠は先輩から「お袋さんといっしょに殺されちまえばよかったんだ」と言われ、我を失いました。気が付くと休憩室にあった包丁で、先輩の胸を一突きしていました。
誠は「前科者」になりました。
誠は根は非常に真面目で大人しい男です。自動車修理工場での勤務態度も良好で、社長が社員として迎え入れてもいいというほどでした。
更生は順調に進んでいて、半年間の保護観察期間も残りわずかとなったある日のこと。誠は通っているラーメン屋に行きました。
そこで誠は謎の男、実と出会いました…。
巷では世間をにぎわす凶悪事件が起こっていました。現職の警察官が拳銃を奪われた上に、腹を撃たれました。幸い命に別状はありませんでしたが、犯人は銃を持ったまま逃走中でした。
区役所福祉課職員の田辺やすこと児童養護施設職員の浅井健太郎が、続けざまに奪われた銃の犠牲になりました。
浅井の爪にあった組織片のDNA鑑定を行ったところ、工藤誠のものと一致したという結果が出ました。田辺やすこ、浅井健太郎との関係や、なぜ金田巡査部長の拳銃が奪われたのかが明らかになり、誠は容疑者として追われることとなりました。
誠の保護司との面接は残りあと1回。その面接に誠は現れませんでした。作業服やスマホを置いて工場からも姿を消しました。
警視庁刑事課強行犯捜査係の鈴木充と滝本真司は、誠の保護司である佳代を訪ねてきました。佳代は驚きました。誠を追っている真司は佳代の中学校時代の同級生でした。
誠を信じてあげられるのは自分しかいない…佳代は、何度もくじけかけましたが、みどりにも支えられて何とか踏ん張っていました。
佳代は、25年前誠の母親を誠の目の前で殺した義父・遠山史雄を弁護した宮口エマ弁護士を見つけ出し、遠山史雄の居場所を教えてもらい、会いに行くことにしました。
真司から誠の次のターゲットは最も憎んでいる義父に違いないと聞いていましたが、誠のことを知るためには義父から話を聞くしかないと思っていました。
遠山の家はすでに多くの警察官に包囲されていました。そこへ、誠が運転する車がやってきました…。
事件の真相とは?
ここから先は大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね!
映画の見どころは?
佳代が保護司として凶悪犯罪に立ち向かうサスペンスではありますが、物語の根底にあるテーマはドラマから不変…。「生きる」とはどういうことかを問う壮大なヒューマンドラマです。
犯罪を犯した工藤だけでなく、犯罪者に寄り添う保護司の佳代にも、犯罪者を追う刑事の滝本にも壮絶な過去が存在します。
過去が現在の自分を作っているというと当たり前のようなことですが、そのことが自分の価値感を作り上げてしまったり、トラウマを生んでしまったりします。
犯罪を犯したりすることはもちろん、人には話したくないような壮絶な過去を持ちながら、懸命に生きようとする人たちの織りなす人間模様。
これ以上悲しむ人を作りたくない、罪を犯す人とその犠牲になる人を作りたくない…心の奥底にある思いはみんな同じなのに、すれ違い続けるある意味悲しい物語でもあります。
それでも人は人と支え合い寄り添い合って、何度でも生き直すことができるのだと思える温かいメッセージも伝わってきます。
髪をひとつくくりにして眼鏡をかけて、女優のオーラを全消しして、泣いて笑って怒って走る、有村架純さんの体当たり演技には心動かされますよ。
渾身の力で森田剛さんにビンタするシーンは圧倒されて号泣もんでした。
原作漫画との違いは?
映画オリジナルのストーリーなので、工藤誠のエピソードや佳代が保護司になるきっかけを作った事件は原作に存在しません。
それでも「きれいごとで人と繋がっていたい」「大事なのはふつうの生活」という佳代のポリシーは原作漫画のままです。
「佳代ちゃんはダメダメだから安心できる」というみどりとの友達みたいな関係が佳代を支えているのも原作漫画と同じで、緊迫した空気の中でなんだかそこだけはほっこりできます。
原作漫画のエピソードは、いろんなタイプの前科者が出てきて、恋愛モードあり、訳あり少女ありと多彩です。
映画を見た後は、ぜひ原作漫画もどうぞ!
映画『前科者』視聴方法は?
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【2023年4月10日時点の情報となります。 配信が終了している可能性がございますので、オフィシャルサイトにて必ず最新の情報をご確認ください。】
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