映画『余命10年』小坂流加さんに捧げる物語、あらすじと感想

難病のために「余命10年」を宣告された20歳の茉莉。

和人と出会って毎日がキラキラと輝き始めた茉莉の日々。別れがつらくなるのでもう大切なものは作らないはずだったのに。

「君と出会って、この世界が愛おしくなった。」という印象的なコピーが表しているように、この映画が描いているのは「死」ではなく「生きる」こと。

号泣必至の感動の小説が映画になります。命を吹き込むのは小松菜奈さんと坂口健太郎さんという、これ以上ない理想的なキャスティング!

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注目のキャストは?

高林茉莉(まつり):小松菜奈

和人と出会ってキラキラした新しい日々を過ごす一方で、楽しかった1日の最後には必ず泣けてくる…。

映画版の茉莉は作家を目指す女の子で、原作者の小坂流加さんをオマージュしてします。

真部和人(かずと):坂口健太郎

和人はどうにもできない実家の事情からの生きづらさを抱えています。真っすぐで不器用で拾ってきた子犬みたいな危うさを持った青年。

茉莉と出会ってだんだんと前を向いて歩み始めるのですが、やっぱりそこは和人!肝心な時に押しが弱くて不器用で…。

茉莉の病名は?

茉莉の病名は「肺動脈性肺高血圧症」という難病で、原因も治療法も確立されていない病気です。発症率は100万人に2人程度と言われています。

肺血管拡張薬の開発により、日本では5年生存率が格段に改善していると言われていますが、今でも進行性の難病であることには変わりありません。

映画の中で「10年以上生きた人はほとんどいない」と茉莉が語っている通り、死と向き合う覚悟のいる怖ろしい病気です。

映画のあらすじは?

高林茉莉は20歳で自分が不治の病であることと余命を告げられました。

周りの友だちは好きなことをして好きな場所に出かけて、恋愛をして結婚をしていきますが、茉莉にはそれが叶いません。

別れがつらくなるだけなのでこれ以上大切なものは作らないと決めていました。

中学校の同窓会の案内が届き、茉莉は生まれ育った三島市に行くことにしました。同級生だった真部和人富田タケルたちと再会し、楽しい時間を過ごしました。

和人は会社経営をしている実家から逃げ出し、生きづらさを抱えていました。突拍子もなく自殺未遂のような行動をとってしまい、茉莉からは叱られて励まされる始末。

茉莉、和人、タケルに茉莉の親友・藤崎沙苗も加わって4人でいろんなところへ遊びに行きました。

みんなと一緒に過ごす日々は新しくてキラキラしていました。和人が茉莉のことを好きなことも、茉莉は気付いていました。その日々を愛おしいと思えば思うほど、だんだんと近づいてくる「死」というものが怖くなってきます。

これ以上大切なものは増やしたくないと思って、必死で我慢していた茉莉ですが、和人への想いは止められませんでした。2人は付き合うようになりました。

茉莉は、自分の病気が治らないこと、この病気で10年以上生きた人はほとんどいないことを和人に話していませんでした。

「これ以上和くんといたら死ぬのが怖くなる」

茉莉は全てを話して和人に別れを告げました。そして、どうしてもやりたかった小説を書き始めました。

映画の見どころは?

この物語を語る上で決して忘れてはいけないのは、原作者の小坂流加さんのこと。茉莉と同じ難病だった小坂流加さんは『余命10年』が書店に並ぶところを自分の目で見ることなく39歳で亡くなりました。

茉莉の声は小坂流加さんの声でもあるんですね。同窓会が開かれる「三島市」も小坂流加さんの育った場所なんです。

号泣必至で悲しく切ない物語なのですが、それでも最後には温かい気持ちに包まれるのは、この物語が「生きる」ことを描いているからです。

途中はハンカチがぐっしょぐしょになるくらい泣きますが、最後の和人の顔を見た時には、なんだか晴れやかなというか清々しささえ感じると思いますよ。

拾ってきた子犬みたいに怯えて何もできなかった和人が、だんだん顔を上げて歩いて行くようになって、未来を見据えている目の中にはちゃんと茉莉が生きていることが感じられる素敵なシーンでした。

茉莉の中に小坂流加さんが息づくことで、儚さの中に強さも感じられる物語。

1年を通して撮影された、藤井道人監督のこだわりの映像美にもきっと引き込まれますよ!

かなり大好きな、忘れられない作品になりそうです。

原作小説との違いは?

原作との一番大きな違いは、茉莉が作家を目指していて、原作者の小坂流加さんの人生も描いているところです。

高林家には小坂流加さんが大好きだった植物や小物たちが置かれ、姉の桔梗は決して茉莉を病人として甘やかさなかった…というところまで、小坂家に踏み込んで描いているんです。

それゆえに、とても切なくて辛くて…悲しい涙が流れるシーンもいっぱいあるんですが、最後まで夢を諦めない茉莉の姿が流加さんと重なって、強ささえ感じる素敵な女性として描かれていました。

一方、和人は原作よりももっと情けない男として描かれています。生きてても死んでる魚みたいな目をして、完全に人生の迷子になっていました。

原作の和人は最後、実家を継ぐべくなんとかレールの上に戻っていきますが、映画の和人はあくまでも自分の道を進んでいきます。

そこには茉莉だけではなく友達やバイト先の大将という素敵な人たちも関わってきてくるのですが、ひとりぼっちだった和人が、笑うことができるようになって、だんだん強くなっていきます。

そこにはもう茉莉はいないんだけど、和人は決して一人じゃないという温かさにあふれていました。

いろんな意味で「生きる」ことを実感させてくれる、強くて美しい物語でした。

写真集

写真集『余命10年』2200円
茉莉と和人が共有した時間の流れを表現するために、映画の撮影は1年かけて行われました。

春夏秋冬…四季折々の景色とその中に息づく2人の美しい姿に心奪われますが、この景色から茉莉が消えてしまうのだと思いながら見ると…涙があふれてきます。

小松菜奈さんが自身で選んだ写真の他に、茉莉と和人の直筆の手紙も収録されています。

主題歌 RADWIMPS『うるうびと』

脚本を読んだ野田洋次郎さんがインスピレーションで作った曲を聴きながら藤井道人監督は撮影に臨まれたとのこと。

劇中の楽曲もRADWIMPSです。

茉莉と和人の日々を彩る美しい音楽は『余命10年~Original Soundtrack~』に全30曲収録されています。

通常版 2240円/ハイレゾ 3870円 レンタルで新作映画観るなら【music.jp】