山崎ナオコーラの短編小説『手』のあらすじは?

サワコはおじさん好き。見るのも観察するのもちょっと付き合ってみるのも好き。だけどセックスはしない。

元同僚の森とは、付き合っている訳ではないのに体を重ねる。

「日活ロマンポルノ」50周年記念プロジェクトのひとつとして制作されることになった映画『手』。

なんだかちょっと生きにくい男女の物語。

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小説のあらすじは?

配信会社で新聞のラテ欄をを作る仕事をしている寅井サワコ、25歳。残業しているとがやってきた。日付が変わる前に2人で年の数だけ豆を食べた。

サワコは森のことが好きだ。森は3月で会社を辞めると言う。

夜中の12時、電車に乗って家に帰りながらケータイに保存している画像を見た。サワコはおじさんが好きで「ハッピーおじさんコレクション」というホームページを作っている。

おじさんの姿をこっそりケータイで撮ってはブログにアップしていっている。

上司の大河内は58歳、髪は薄い。典型的なおじさんだ。サワコは大河内とはセックスはしないがデートはする。

10代後半の頃からそうやって何人ものおじさんと付き合ってきた。

サワコの父はサワコのことを可愛がり、もしもサワコが死んだりしたらサワコの手だけをたんすの引き出しにしまって時々かわいがると言っていた。

ところが7歳下の妹・リカが生まれると、父はリカを溺愛しサワコとの関係は急速に冷えていった。

森の送別会の日、サワコは森とキスをした。翌月にはセックスをする間柄になった。だけど森には彼女がいるみたいだ。

大河内にも妻がいる。妻とはほとんど口をきかないらしい。大河内とのデートも森とのセックスも問題なく続いている。

ある夜「ハッピーおじさんコレクション」をのぞいてみると閲覧者が莫大に増えていてた。大きな掲示板にURLが貼り付けられ、揶揄の対象となったようだ。

潮時かもしれない。サワコは「ハッピーおじさんコレクション」のホームページを削除した。

大河内とは京都旅行をした。もちろんセックスはしない。大河内とのデートはこれが最後だ。

サワコの父が、耳が聞こえないというので病院に連れて行った。ただの中耳炎だった。一日父と一緒にいて、やっぱり父親という存在が苦手なのだと再認識した。

森とは最後のセックスをして別れた。最後にギュッと手を握った。

小説の感想

ファザコンの話だよね?

これぞファザコン!というエピソードも表現も一切出てこないけど、サワコは何十歳も年の離れたおじさんと何人も付き合っていたり「ハッピーおじさんコレクション」というHPを作っていたり、説教されたり知らないことを教えてもらったりするのが好き。

おじさん達とはセックスはしない。つまり恋愛の対象としては全く見ていない。

実の父のことは嫌い。それはなんかわかる気がする。本当は愛されて愛されて仕方がなかったのに、無条件に妹を可愛がり自分をないがしろにされたら、もう甘える方法さえも忘れてしまうから。

それに万が一また邪険になんかされようものなら、きっと心が砕け散ってしまうから、二度と甘えたいなんて思わない。

だから絶対に自分には優しさしかくれない赤の他人のおじさんにしか甘えることができないのかな。れっきとしたファザコンじゃん!

物語の中には「手」の描写が数々出てきます。サワコにとって「手」が社会とつながる唯一の場所なのかな。

少し生きづらさを抱えた、男と女の物語です。

『手』に収録されている短編小説

笑うお姫さま

妻子ある王がひとりの女性に夢中になってしまった。だがその女は笑わない。いつしか王は女を笑わせることだけが生きがいになってしまって、国を滅ぼしてしまった。

わけもなく走りたくなる

私は昔、狩りをしていた。狩りをしなくてもよくなった世界に生きるようになっても、私は時々わけもなく走りたくなる。

お父さん大好き

妻は1か月前に出ていった。大学生のユカリという娘と二人暮らし。ユカリとは血が繋がっていなくて征夫(いくお)さんと呼ばれている。

ユカリに呼ばれて「大きな月」を見た夜、ユカリは征夫の背中に「お父さん大好き」とささやいた。

『手』を購読する方法

電子書籍にはなっていないので紙の単行本を読むしかありませんが、現在Amazonで中古本が扱われているだけです。図書館で借りて読むしかなさそうです。
2022年7月5日時点の情報となります。 オフィシャルサイトにて必ず最新の情報をご確認ください。