映画『ある閉ざされた雪の山荘で』原作小説のあらすじとネタバレ

乗鞍高原のペンションに集められたのはとある劇団のオーディションに合格した男女7人。

演出家の東郷によると、雪で閉ざされた山荘でこれから起こる出来事に脚本家・演出家として対応し、一つの推理劇を作り上げてほしいとのことだ。

夜を明かすと1人、また1人と姿を消していく。これは本当に劇なのか?まさか、実際に殺人事件が起こっているのではないか?疑心暗鬼になっていく劇団員たち。

二重三重に張り巡らされた伏線回収は実にお見事!今をときめく豪華キャストにどうぞミスリードされてください!

久我和幸:重岡大毅
中西貴子:中条あやみ
田所義雄:岡山天音
元村由梨江:西野七瀬
笠原温子:堀田真由
雨宮恭介:戸塚純貴
浅倉雅美:森川葵
本多雄一:間宮祥太朗

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小説『ある閉ざされた雪の山荘で』のあらすじ

乗鞍高原のペンション「四季」に男女7人が到着した。迎えたのはオーナーの小田伸一。集められたのはとある演劇オーディションに合格した7人の若者たち。小田は名前を確認するとペンションの設備を一通り説明していなくなってしまった。

訳がわからない7人のもとに劇団「水滸(すいこ)」の演出家である東郷陣平から手紙が届いた。手紙によると、これから起こる出来事におのおのが脚本家・演出家となって推理劇を作り上げてほしいということだ。ペンションは雪深く閉ざされていて外部とは接触できないという設定だ。つまり、宿泊期限の3日後までに次回作を自分たちで作り上げていくということのようだ。

久我和幸は7人の中で唯一「水滸」の団員ではなかったが、1年前の公演で見た元村由梨江の美しさに惹かれ今回のオーディションを受けた。

久我は雨宮京介笠原温子はどう見てもリーダータイプで、本多雄一中西貴子はかなりの実力派だと見ていた。田所義雄は由梨江に気があるのが見え見えでちょっと鬱陶しい存在だ。浅倉雅美は素晴らしい演技をしていたと記憶しているが、なぜかオーディションに落ちたようでこの場にはいなかった。

7人は何事もなく1日目の夜を迎えようとしていた。久我は遊戯室でピアノに興じていた貴子と温子と話したあと自分の部屋に帰っていった。由梨江は温子と一緒に2人部屋に宿泊することになったので、田所に夜這いをされる心配もなさそうだ。

貴子が部屋に戻った後も温子は1人でピアノの練習をしていた。ヘッドフォンをしていた温子は扉から誰かが入ってきたことに気付かなかった。侵入者はコードで温子の首をギリギリと締め上げると力尽きた温子の体を引きずって遊戯室を出て行った。

翌朝、温子の姿が見えないことに6人が気付き貴子は遊戯室に飛んで行った。遊戯室の床には「コードが首に巻かれた温子の死体がピアノの横にある」というメモが置かれていた。温子は死んだことになっていた。

犯人の痕跡を探すために6人は2人一組となって山荘を調べることにした。久我と貴子が非常口から外に出ると表には古い井戸があった。窓も扉も中から施錠してあり、扉の外には「地面は雪で覆われていて足跡はない」という貼り紙があった。犯人は6人の中にいるということだ。

犯人探しが始まった。温子が東郷と男女の関係にあったのではないかということがわかった。これは動機になりうるのか?

オーディションに落ちた浅倉雅美が最近不慮の事故に遭ったと田所から聞いていた久我が、雅美の名前を口にすると明らかに空気が凍りついた。何か関係があるのか?

久我は本多に、今夜また殺人が起こるかもしれないのでアリバイ作りのために同じ部屋で寝ようと提案した。同じ部屋で寝ることを久我は由梨江に話し証人になってもらうことにした。

3日目の朝、由梨江が起きてこないことを不審に思った田所が部屋を訪ねると、由梨江の部屋には、死体には鈍器による打撃痕と首には扼殺の痕が残っていると書かれたメモが落ちていた。由梨江が殺されたらしい。

再び山荘内の捜索が行われた。本多が山荘の裏で血のついた一輪挿しを見つけた。由梨江の部屋のゴミ箱から「これを鈍器とする」と書かれた紙が見つかり、井戸の蓋から温子が着ていた赤いセーターの毛糸が見つかると一同は騒然となった。もしかしたら、推理劇を装いながら本当の殺人が行われているのか?

本当の殺人が行われているのだとしたら、犯人のターゲットと目的は?なぜ7人を山荘に集めたのか?

温子と由梨江が殺されたことで、再び浅倉雅美の名前が浮上した。演技力では確実に雅美の方が上回っていたのにオーディションに落された雅美は温子と由梨江を恨んでいたのではないか?

結局納得のいく答えは見つけ出せず、3日目の夜を迎えた。

4日目の朝、5人が目を覚ました。3件目の殺人は行われなかったようだ。朝食を食べくつろいでいると、突然睡魔が襲ってきた。

皆が眠っている中で起き上がった犯人は雨宮の首を締め上げた。そして雨宮の体を引きずって出ていくと、床にメモを置いた。

ステレオの爆音で目覚めると、4人は雨宮がいないことと落ちているメモに気が付いた。とにかく早く解散したいという皆の前で、久我は犯人に向かって「終わりなんですね」と尋ねた。

事件の真相と結末は?

ここから先は大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。

殺人事件は起こっていた?
久我は眠気で倒れる前に田所と貴子の上にマッチ棒を置いていた。ステレオの爆音で目が覚めた時、2人の上にまだマッチ棒は乗ったままだったので、雨宮を殺したのは本多だと断定した。

さらに久我はラウンジに盗聴器を見つけていた。盗聴器で山荘でのやり取りを聞いていたのは雅美だった。

雅美は遊戯室と温子と由梨江が宿泊していた部屋の間にある空間に隠れて、山荘で行われた一部始終を見て聞いていたのだ。廊下にある鏡だと思っていたものは雅美が観察するためのマジックミラーだった。

犯人の動機は?
雅美は自分がオーディションに落ちて温子と由梨江が合格したことに納得していなかった。しかも温子と由梨江と雨宮が慰めにきたことに神経を逆なでされていた。

3人が楽し気に帰りのドライブのことを語っているのを見て、さらに怒りがこみ上げた雅美は雨宮の車のタイヤにアイスピックを突き刺した。ただ楽しいドライブが壊れればいいという軽い気持ちだった。

ところがしばらくして号泣する温子から雅美に電話があり、雨宮と由梨江が車ごと崖から落ちてしまったと告げられた。

良心の呵責に耐え切れず、雅美は自宅近くの滑降禁止の場所へ行き自殺を図った。運よく救助隊に発見され一命はとりとめたが半身不随の体となってしまった。

その後、雨宮と由梨江が崖から落ちたというのは嘘だとわかると、雅美の殺意は本物へと変わっていった。

見舞いに来てくれる本多に本当のことを話した雅美は、叔父である小田のペンションを利用して推理劇をしていると見せかけて3人を殺すという計画を立てた。そして自らがその目撃者となることを望んだ。

この先は本当のネタバレとなります。見ずに映画を見た方が絶対に面白いよ!!!

事件の真実
本多は雅美の願いを聞き入れて温子と由梨江と雨宮を殺すことも考えたが、きっと計画が遂行された後雅美は死ぬ気に違いないと読んだ。

本多は温子と由梨江と雨宮に本当のことを話し、殺される芝居をしてほしいと頼んだ。それを見せないことには雅美の中にある怨念は消えないと思ったし、さすがに途中で計画を中断すると言うに違いないと期待したからだ。

結局、犯行は3人ともに行われることになってしまった。騙してすまなかったと謝る本多に雅美は、芝居だと気づいていたと告白した。

映画の見どころと原作との違い

雨宮「京介」が映画では「恭介」になっているという小さすぎる変更はさておき、原作と違って映画では山荘にこもること自体がオーディションという設定のようです。

山荘の間取りも原作とは全く異なっているので、ここで起こる事件が全然違うものなのかもしれませんね。

ただこの映画の一番の見どころは二重にも三重にも張り巡らされた伏線の回収にあります。まさかの大どんでん返しの応酬とでも言えばいいのか、とにかく見ごたえ抜群の結末にたどり着くことは間違いありません!

俳優さんが俳優の卵である役者の役をするというのも、ある意味二重構造。実力派の豪華キャストによる劇中劇(?)、こんなおもしろい設定を見ないわけにはいかないでしょ。

映画の公開がめちゃくちゃ楽しみです。

原作の小説もおもしろすぎてあっという間に読めてしまいますよ。伏線回収の鮮やかさも見事なので、ぜひ原作も読んでみてください。

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