藤田紘一郎『恋する寄生虫』も読んでみた!その内容は?

2021年冬公開予定、林遣都さんと小松菜奈さんのW主演で話題の映画『恋する寄生虫』は【虫】がもたらすラブストーリーです。

原作は三秋縋さんの『恋する寄生虫』ですが、同じ題名の本がもう1冊存在します。

それが現東京医科歯科大学名誉教授・藤田紘一郎さんにより1998年に発行された『恋する寄生虫』です。

三秋縋さんが、参考文献として読んでおられて、小説の題名に使わせてほしいとお願いしたという本書。

気になったので読んでみました。

 

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著者 藤田紘一郎さんはどんな人?

現在、東京医科歯科大学の名誉教授。寄生虫学・感染免疫学。熱帯医学が専門です。

花粉症の原因は、日本が清潔国家になって寄生虫などを撲滅しすぎたため、と独自の理論を展開していたり、ご自分の腸管内に15年間サナダムシを飼っていたりと、なかなか面白い方です。

本書の中でも、「糞便検査」が大好きで、糞便を顕微鏡で見ていて虫卵や原虫を見つけたら嬉しくなって興奮するとありました。

その道の第一人者になる方というのは、やはりちょっと変わってる…いや、こだわりが強すぎるんですね。

一番笑ったのは、なんと「にっぽん研究者伝 カイチュウ先生」という漫画になっていることです。読もうかなぁ。どうしようかなぁ。笑

35ページ×12巻、Renta!で1巻100ptで無期限レンタル(=購入)できます。

気になる内容は?

さぞかし難しい本なのだろうと、かなり気合を入れて読み始めましたが、これがなかなか面白かった!

20年以上前に発行された本なので、医学的・科学的に、どこまで現在の事実に合っているのはわかりませんが、寄生虫の生態などは今でも同じなのではないかと思います。

ムシたちの可愛い性

表紙の抱き合った形の虫。実在する寄生虫です。住血吸虫の雄が雌を抱いた姿で血管内を移動していて、出会えないと成長が遅くなるのでそうです。

肺吸虫という寄生虫は、肺に虫嚢という袋を作り、その中に2匹セットで仲良く滞在しているのがほとんどだとか。

ゾウリムシにでさえ接合可能な性別が存在していて、カギとカギ穴のように合わさったとき、2匹はぴったりとくっつきます。そして、細胞内のものが自由に混じり合い核を交換すると、再び膜を作って分かれていくのだそうです。

虫たちのほとんどは雌雄同体で、1匹でも子孫を残すことができます。なのにどうして相方を探すのでしょうか。

それは、強い子孫を残すため。同じ遺伝子のものばかりが増えてくると、ある環境が変わってそれに耐性がない場合全滅してしまいます。他の個体と有性生殖して、とにかく子のバリエーションを増やすことが、全滅回避へのリスクマネジメントなのです!

ヒトの性

日本が清潔志向へと突き進むにつれて、感染症や寄生虫によるリスクが減っていきましたが、唯一例外がありました。

性行為感染症です。

カップルで治療を行わないと意味がないのは簡単に想像できるでしょう。でも、これがなかなか難しい。

婦人科や泌尿器科にかかることに抵抗を感じる人が多いし、自覚症状がほとんどないままに進行していく感染症などは気付くこともできません。

中には、女性にだけ症状が現れて、男性には症状が出ないものもあるので、男性の運び屋は減らないという病気もあるそうです。

クラミジアは、女性の場合、自覚症状がなくても体の中では炎症が進行していて、将来的に不妊症や流産・早産の原因になったり、生まれてきた子どもに感染して重篤な症状を引き起こしたりする決して侮れない病気です。

これらの話は、読んでいて恐ろしく、性教育には「性病」の教育も必要なのでは、と思わずにはいられませんでした。

心の「性」と体の「性」

日本の場合、肉眼で確認した外性器の形態で性別がきまり、出生の届け出がなされます。これが「性器の形態による性」です。

性腺の構造(卵巣・睾丸)によっても性別は決まります。これが「性腺の構造による性」。

通常はこれらの性が一致していることが多いのですが、なんと一致していないことがあるというのです。

つまり、性器は男の形状をしているのに性腺構造は卵巣だったり、その逆だったり。さらには睾丸と卵巣の両方を持っている人までいるそうなのです。

もともと胎児では生殖原基に男女の区別はなく、自動的に女性の体を体を作ることになっています。それが、Y染色体がもつSRY遺伝子の働きによって男性の体が作られます。この分化の過程で何らかの障害が生じると、上記のようなことが起こるのだそうです。

1891年には染色体が発見されて、性別がXとYの染色体によって決まる(男性はXY、女性はXX)ことは、中学校の理科でも学習しましたよね。これを「染色体による性」といいます。

この方法だと男性と女性を決められると思ったら、XOやXXYという染色体を持つ人までいると言います。ややこしや。

さらにさらに、人間は体の性だけでなく「脳の性(心の性)」まで存在するので、話はもっとややこしや!

では、「男の脳」と「女の脳」はどのように決まるのかというと、胎児期にアンドロゲンという男性ホルモンを大量に浴びれば「男の脳」に、浴びなければ「女の脳」になるのだそうです。

これがいわゆる「性同一性障害」というものなのですが、胎児期に脳にプログラムされたもので、本人に一切原因はないということがわかっています。

ちょっと寄生虫とは関係のない話でしたが、めちゃくちゃ刺激的でおもしろい話でした!

 

他にも寄生虫の話はもちろん、男性同性愛者の話やダイオキシンを始めとする環境ホルモンの話など、発行から20年以上たった今読んでも「へ~!」と思う内容がいっぱいでした。

結局、何が言いたいかというと…

ムシたちの性を通して、教授が言いたいことは何なのでしょう。

性、そして生殖というのは、生き物が子孫を残していくためには不可欠なものです。その必死さをムシたちに学んでほしいと!

人間の性は「心」を抜きにしては考えられない非常に複雑なものです。社会のストレスなどで疲弊してしまって、「恋」するパワーをなくしてしまうのは悲しいことです。

性病などの怖ろしさも知ったうえで、ムシたちと同じように必死に恋をしてほしいというメッセージが込められているのだと思います。

読んでみたいという方に

電子書籍で読めるのかあちこち探してみましたが、古い本でもあるので電子化されていないのかな…見つけることはできませんでした。

唯一、amazonで中古品を購入することができるみたいです。安っ!

ちなみに私は、図書館から借りてきて読みました。

興味を持たれた方は、手に取ってみてくださいね。

三秋縋さんの『恋する寄生虫』もぜひ読んでみてね!

 

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