『ブレット・トレイン』の原作『マリアビートル』あらすじは?

伊坂幸太郎さんの傑作『マリアビートル』がブラッド・ピット主演で映画化されることになりました。

偶然やら必然やら…で乗り合わせた殺し屋たち。それぞれに思惑があり使命があり…どんどん増えていく死体。最後に笑うのは一体誰?

原作の『マリアビートル』は生田斗真さんで映画化もされた『グラスホッパー』の続編です。

怒涛の展開はまさに映画化にはふさわしいと思っていましたが、まさかアメリカで実写化されるとは!

それでも舞台は日本の新幹線。そもそも『ブレット・トレイン(bullet train)』とは「日本の新幹線」という意味の英語です。

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「マリアビートル」ってどういう意味?

テントウムシのことです。

テントウムシは一般的に英語で「レディバグ(ladybug)」と言われますが、「レディビートル(lady Beetle)」という言い方もあるみたいですね。

この「lady」とは聖母マリアのことを表していて、テントウムシは「聖母マリアのおつかい」としてヨーロッパではとても好意的に受け入れられている虫です。

赤い羽は聖母マリアの赤いローブを、7つの斑点は聖母マリアの7つの悲しみを表しているとも言われ、聖母マリアと切っても切れない関係にあるようです。

「マリアビートル」は、物語の中で「テントウムシ(天道虫)」と称されている七尾のことですね。

映画『ブレット・トレイン』ではレディバグという名前でブラッド・ピットが七尾に当たる役を演じており、七尾に支持を出す真莉亜がマリア・ビートルという名前になっています。

『マリアビートル』のあらすじは?

木村雄一は東京駅から盛岡行きの新幹線「はやて」に乗り込んだ。大事な一人息子、6歳の渉(わたる)をデパートの屋上から突き落として重体にさせた張本人に復讐をするためだ。

木村は元殺し屋だが、渉が生まれてから一度も拳銃を握ってはいなかった。

狙う相手が「はやて」に乗るという情報を得た。木村はさっさと仕事を済ませて降りるつもりで対象に近づいていった。

突然、目の前で火花が散ったかと思うと木村の体は麻痺し、次に気付いたときには両手足を拘束されていた。

自家製のスタンガンを使ったのは王子慧(おうじさとし)という中学生だ。恐怖で仲間を支配し先導していた王子と、木村は何度か対峙したことがあり、渉を狙ったのはその腹いせのようだ。

意識不明の渉の生命維持装置を止めると脅され、木村は拘束されたままなすすべがなかった。

蜜柑(みかん)檸檬(れもん)、2人の殺し屋は、裏社会のドン・峰岸良夫のひとり息子を連れて「はやて」に乗っていた。

蜜柑と檸檬は峰岸からの依頼通り、誘拐された息子を無事に助け出し、身代金も渡さず、敵を全滅させてきた。決して簡単な仕事ではなかった。

身代金を入れた大きなトランクを新幹線のデッキの荷物置き場に置いていたのだが、あったはずのトランクはなくなっていた。

さらに悪いことに、蜜柑と檸檬が座席に戻ってみると、峰岸の息子が死んでいた。これはヤバいなんてもんじゃない…。

トランクを盗んだのは七尾という殺し屋の男。今回は盗んだトランクを持って上野駅で降りるだけという簡単な仕事だ。依頼主からの仲介役で指示を出してくるのは真莉亜だ。

たったこれだけの仕事のはずが、七尾はとにかく運が悪い。絶対に起こるはずのないことが起きて予定通りに事が運ばないのが常だ。

七尾が上野で降りようとした時、ホームで乗り込もうと並んでいるお客の先頭にいたのはだった。狼とは過去に因縁があり、できれば会いたくない相手だった。

案の定、七尾は狼に気付かれてしまい上野で降り損なってしまった。狼と揉めている途中で、七尾は弾みで狼の首の骨を折って殺してしまった。この死体…どうしたものか。

そこへ通りかかった王子は、何やらよからぬことが起こっている気配にワクワクが止まらない。

七尾はデッキにあるダストボックスにトランクを隠し、空いている座席に狼の死体を座らせた。とりあえず一件落着かと思いきや、トランクは王子に見つかって持っていかれてしまった。

七尾はまたしても大宮でも降りることができなかった…。

大宮駅では、息子と身代金の入ったトランクの無事を確認に来た峰岸の手下を、なんとか丸め込んでピンチを脱したが、蜜柑と檸檬がヤバいことに変わりない。

蜜柑と檸檬は同業者である七尾の存在に気付いていた。そこで、七尾を息子を殺害しトランクを奪った「犯人」として仕立て上げようと考えた。

一方、トランクを探している蜜柑と檸檬の存在に気付いた七尾は、手を組むことを提案しようと考えた。しかし、交渉は決裂…。

トランクを奪った王子は、木村をトイレに閉じ込めて、4桁のダイヤルロックを1つずつ確認して開けさせた。中に現金が入っていることを確認すると、王子は現金には興味を示さず、トランクを通路の荷物置き場に戻した。

偶然にも七尾はそのトランクをすぐさま見つけた。

王子は木村に、父親つまり渉の祖父に電話をさせた。単に父親に心配させて不安と混乱をあおるのが目的だった。

そこへ、蜜柑と檸檬が通りかかった。王子はこれから面白いことが起こりそうだと、木村を連れて蜜柑と檸檬の後をついて行くことにした。

峰岸の息子の死に方からして、この新幹線に「スズメバチ」と呼ばれる正体不明の毒殺専門の殺し屋が乗っているかもしれないことがわかり、七尾は今度こそ仙台で降りようと決意した。

七尾は蜜柑と檸檬にトランクを譲ることと、新幹線にスズメバチが乗っていることを告げた。七尾に言われた通り狼の死体のポケットを探ると、ひとりの女の写真が出てきた。

その女こそ、狼が狙っていたスズメバチ。車内販売のワゴンを押して歩いている女だった。

七尾は偶然、車内販売の女と対決することになった。手には針を持っている。やはりスズメバチだ。七尾は死闘の末にスズメバチを殺し、死体を多目的室に放り込んだ。

王子と木村は檸檬に追いついた。しかし、王子のリュックの中にある木村の拳銃が見つかってしまった。木村は胸を撃たれ、トイレの中に放り込まれた。

王子がただの中学生じゃないことを檸檬は見破っていた。しかし王子に拳銃を向けた瞬間、檸檬はフラフラになって倒れてしまった。七尾が仕込んでいた睡眠薬が効いてきたのだった。

王子は木村を閉じ込めているトイレに檸檬を放り込み、引き金をひいて檸檬を始末した。

仙台駅では息子とトランクの無事を確認するため、峰岸の部下たちが待ち構えていた。檸檬は「変装させた」と嘘をついて七尾を息子の代わりに連れて行き、その辺の適当なトランクを持って部下たちに見せた。

進化戦は仙台駅を出発したが、完全に嘘だとばれて、峰岸が直々に盛岡駅に確認しに出向いてくると言う。万事休すだ。

蜜柑を見つけた王子が、「怪しいトイレがある」と檸檬と木村を放り込んだトイレに蜜柑を導いた。

王子の襟元に檸檬が残したサインを見つけた蜜柑は、王子と対峙した。「助けて」と叫んだ王子の声に、七尾は反射的に蜜柑の首をねじり折って殺してしまった。

七尾は王子をたまたま通りかかった塾講師の鈴木という男に任せて、自分は一ノ関駅で降りることにした。しかしなんせ悪運と仲良しの男だ…。一ノ関駅でも降り損なった。

空いている席に鈴木・王子・放心状態の七尾が座っていると、王子が持っていた木村の携帯電話が鳴った。王子がその電話に出ると、王子の目の前に突然老夫婦が現れた。

老夫婦は木村の両親だった。新幹線の中から木村がかけた電話から悪の臭いを感じ取った父親の木村茂は、水沢江刺駅から乗り込んできたのだった。

木村茂に拳銃を突き付けられたが、渉の生殺与奪の権を握っている王子は余裕をかましていた。

ところが扉の上の電光掲示板に「渉君は無事」というメッセージが流れた。

木村茂から渉の様子を見に行って怪しい奴がいたら始末しろと命を受けた繁(しげる)槿(あさがお)とともに任務を全うしていた。おまけに渉の意識も戻ったらしい。

七尾はというと何故かどこかから逃げ出してきた蛇に巻きつかれていた。

終点の盛岡駅に着き、なんとか蛇をはずした七尾はやっとホームに降り立った。そこで真莉亜と遭遇した。

ホームには峰岸と大勢の部下たちがいた。

七尾と真莉亜が立ち去ろうとすると、後ろで人が倒れる音がした。見ると峰岸が倒れており針が刺さっていた。スズメバチは2人いたのか…。もう1人は車掌だったのか…。

新幹線の中で瀕死の状態で発見された木村は一命を取り留めていた。後日、仙台湾では身元の分からない遺体が発見された。

『マリアビートル』を読んだ感想

さすが伊坂幸太郎さん!息もつかせぬ怒涛の展開にキャラ設定、伏線の回収などすべてが最高レベルのおもしろさでした。

こんなにも偶然、殺し屋たちが同じ新幹線に乗り合わせることなんてある?と思ったけど、それも実は偶然ではなく必然だったなんてお見事すぎます。

あ、木村は完全に巻き込まれてますけどね。

あくまでも真莉亜と七尾の予想という形を取ってますが、殺し屋の目的は次の通り
①スズメバチの命を狙っていた狼(『グラスホッパー』からの因縁)
②峰岸親子を始末するために社内販売と車掌に化けていたスズメバチ
③蜜柑と檸檬を息子から離すために七尾にトランクを奪わせたスズメバチ

そしてさらに木村の父親は凄腕の伝説の殺し屋だったというオチもまた秀逸でしたね。仙台湾に浮かんでいた遺体はおそらく木村茂が始末した王子でしょう。

世の中の人間みんなを見下して、恐怖で思考を停止させ支配しようとしたのが中学生だなんて、キャラ立ちすぎてるでしょ。

次々と人が死んでいくのに一切の悲壮感を漂わせずに、むしろ爽快なくらいのスピード感の中に、七尾という信じられないくらいの悪運の持ち主がお笑い担当してくれて、緊張と緩和の仕込み方が最高でした。

そりゃ映画にもなるよね。畳みかけるように不運が襲ってくる殺し屋をブラット・ピットがアクションとコメディで見せてくれるなんて楽しみすぎる!

『マリアビートル』のシリーズ本

『マリアビートル』は3冊のシリーズ本の2番目の作品です。

『グラスホッパー』

シリーズ1作目。『マリアビートル』にも出てくる塾講師の鈴木、槿(あさがお)の過去や、話だけ出てくる鯨(くじら)、蝉(せみ)による物語。

生田斗真さん主演で映画化もされています。

『AX(アックス)』

シリーズ第3弾。『マリアビートル』から6年後。

兜というコードネームの殺し屋、仕事はできるのに妻には頭が上がらない恐妻家。何も知らない妻と息子の克己のためにも殺し屋稼業から足を洗いたいと願っているがなかなか実現しない。

映画『ブレット・トレイン』

原作では東北新幹線による東京→盛岡の移動ですが、映画では東海道新幹線による東京→京都への移動。

舞台は「新幹線」ですが、あくまでも仮想日本の話です。

原作では意識不明の息子の復讐を企てる「木村」が主人公ですが、映画では不運な殺し屋「天道虫(七尾)」が数々の災難に巻き込まれる様がアクションを柱にとてもコミカルに描かれます。

新幹線に乗ってるテレビ番組のマスコットキャラクター・ももモンの存在も謎だわぁ。これは絶対見なくては!

監督やキャストへのインタビューはもちろんのこと、どのように映画が作られたのか誕生秘話満載のメイキング本が出版されました!

BULLET TRAIN
THE ART AND MAKING OF THE FILM

4180円と少々お高めですが、アクション映画好きにはたまらない仕上がりになっています。

『マリアビートル』を電子書籍で!

怒涛の展開はさすが伊坂ワールドです!映画と原作小説、できれば両方とも楽しんでいただきたい!
2022年8月25日時点の情報となります。 オフィシャルサイトにて必ず最新の情報をご確認ください。

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