暴力団・東鞘会系神津組に所属する兼高昭吾。殺した人間の数は両手の指では足らない極悪非道を貫くキラー。
兼高は、実は警視庁の潜入捜査官で本名を出月梧郎という。出月の任務は東鞘会の中枢に潜り込み、幹部を抹殺し組織がにぎっている秘密を手に入れること。
着々と東鞘会7代目会長の十朱義孝に近づいていく出月だが、身分がばれると一瞬で消される運命にある。
決死の綱渡りが続く出月の運命は…?そして、東鞘会がにぎる秘密とは?
深町秋生さんの衝撃作『地獄の犬たち ヘルドッグス(Hell dogs)』は想像のはるか上をいくハラハラドキドキのクライムサスペンス!漫画でも読むことができます!
【主なキャスト(敬称略)】
岡田准一:兼高昭吾
坂口健太郎:室岡秀喜
MIYAVI:十朱義孝
大竹しのぶ:衣笠典子
主な登場人物の相関関係
5代目東鞘(とうしょう)会会長の氏家必勝が刑務所で獄死すると、神津組初代組長だった神津太一が6代目東鞘会会長に就任した。
神津の就任を不服とした氏家必勝の息子・氏家勝一は、東鞘会から離脱すると和鞘(わしょう)連合を結成し、神津太一を殺害。東鞘会と和鞘連合は全面戦争となった。
東鞘会は組員に軍事訓練を受けさせ、あらゆる手段を使って和鞘連合を壊滅に至らしめ、戦いに敗れた氏家勝一は海外に逃亡した。
東鞘会7代目会長には神津組2代目組長だった十朱義孝が就き、神津組3代目組長を土岐勉が継ぐこととなった。
十朱を支える神津組組長土岐勉、熊沢組組長熊沢伸雄、鞘盛(しょうせい)産業社長大前田忠治の3人を東鞘会の「三羽ガラス」と呼ぶ。
神津組若頭補佐の兼高昭吾(かねたかしょうご)こと本名・出月梧郎(いでづきごろう)は警視庁が送り込んだ潜入捜査官。指揮官である阿内将(あないまさる)との連絡には兼高が通うリラクゼーションサロンのセラピストである衣笠典子が請け負っている。
小説『ヘルドッグス』のあらすじ
兼高昭吾と室岡秀樹は沖縄に来ていた。沖縄に逃げている和鞘連合の残党、喜納修三を始末するためだ。兼高と室岡は喜納とその護衛の2人を死闘の末に叩きのめし、沖縄の裏社会の力を借りて死体を処理した。
これまで兼高は決して少なくない人数の人を殺してきたが、なかなか慣れない。人を殺した後は胃液が逆流し嘔吐をくり返す。精神安定剤と睡眠薬が手放せなかった。
自分が殺したはのは生きる価値のない悪党ばかりだと自らに言い聞かせ、なんとか精神を保っていた。それもこれも東鞘会の中枢に近づくため…。兼高は警視庁の潜入捜査官だった。
連絡が取れるのは指揮官である警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊隊長の阿内将ただ一人。兼高はアメリカにサーバーがある秘匿性の高い会員制サイトにログインして喜納殺害の経緯を阿内に報告した。
兼高と室岡が東京の組事務所に戻ると組長の土岐勉は大いに喜んでいたが、組のNo2・若頭である三國俊也はおもしろくない様子だった。金儲けと交渉で成り上がった経済ヤクザの三國は、腕っぷしだけでのし上がってきた武闘派の兼高や室岡には激しい対抗心を燃やしていた。
土岐や三國らとともに焼肉やクラブで祝杯をあげた後、兼高は「池之端リラクゼーションサロン」に向かった。そこは兼高が唯一本来の自分を取り戻せる場所だった。
そこでセラピストとして働く衣笠典子は兼高と阿内を繋ぐ連絡員だ。
典子はヤクザの親分たちからも愛される腕のいい指圧師だ。一人息子をヤクザに惨殺された典子は、自分が得た情報を全て阿内に報告する情報提供者となっていた。
土岐から呼び出された兼高は、室岡とともに東鞘会会長の十朱義孝の護衛につくように言われた。海外を転々と逃げ回っている氏家勝一が、どうやらヒットマンを雇って反撃ののろしを上げようとしているのだった。
やっと東鞘会会長の十朱に近づくことができる…。
30年近く前、自宅の隣の小さなスーパーで発砲事件があり、第一発見者となったのが出月梧郎少年だった。犠牲となったアルバイトの高校生のお姉さんは梧郎の初恋の相手だった。
梧郎少年は事件をきっかけに刑事になりたいと思うようになり、中学高校と剣道を究め、念願の警視庁に入った。
警視庁に入ったからといって刑事になるには狭き門をくぐり抜けなければならない。心折れそうになる中で声をかけたのが阿内将だった。任務遂行の暁には刑事にしてやると約束の上で…。
兼高の使命は東鞘会会長・十朱義孝に近づき息の根を止め、東鞘会を壊滅させることだ。十朱は警視庁の信用を失墜させる重大な秘密を握っているのだった。
兼高と室岡は無事にテストにも合格し、鞘盛産業の本並一泰、熊沢組の海老原勇喜とともに十朱の護衛に就任し、十朱の会長室にも出入りできるようになった。
一刻も早く任務を片付けて堅気の身に戻りたいと気持ちは焦っていたが、阿内からは信用を勝ち取るまでは手を出すなと言われた。
銀座の高級クラブ「天童」で、十朱が関西最大の暴力団・華岡組の幹部を招いて話をする場が設けられた。
十朱らをもてなすホステスの中に初めて見る顔があった。源氏名を留華といった。留華が十朱のために作った水割りを、兼高が留華に「飲め」と言うと、留華はグラスを叩き割ると兼高を攻撃してきた。
十朱の毒殺に失敗した留華は、東鞘会の”処理場”と呼ばれる場所に連れて行かれた。全裸にされ凄惨な拷問がくり返されたが、女は一向に口を割らなかった。
十朱が女の陰部に手を入れると、そこからGPS発信機が出てきた。罠だと気づくのが遅かった…。応援を呼んだが、あっという間にサブマシンガンを持った敵に囲まれ、熊沢伸雄は女ごと銃弾を浴びて命を落とした。
十朱の毒殺を見破った兼高は高く評価され、十朱の直参となることとなった。三羽ガラスも残りはあと二羽。阿内は「土岐はお前が殺れ」と兼高に命じた。
兼高は十朱、土岐、大前田ら最高幹部に呼び出された。十朱は東鞘会には警察が手出しできないほどの大きな秘密を握っていると言った。それゆえ国外逃亡している氏家勝一を陰から支援して東鞘会の壊滅を謀っているのだと。
そして一人の男が画面に映し出された。阿内将だった。
兼高は阿内の娘の北里梨帆と妻の真由子を拉致した。トイレの個室から阿内との連絡に使っているサイトに「家族に注意しろ」とメッセージを送ったが阿内の動きはなかった。
神津組が経営するラブホテルの一室に梨帆と真由子を放り込んだ。その姿を写真に撮り阿内に送りつけ、阿内はまんまと身柄を拘束され同じラブホテルへと運ばれてきた。
阿内が口を割るということは、すなわち兼高の身が危ないということだ。それでも土岐らの前で拷問の手を緩めるわけにはいかない。
阿内はもちろんのこと、阿内の目の前で妻や娘も拷問され、ついに阿内は口を割った。阿内の口から語られた場所は、三國が経営するタイパブ「ディージャイ」の女たちが暮らす寮だった。
阿内は兼高の忠告を読んだうえでわざと拉致され、東鞘会に偽の情報を掴ませたのだった。おまけに「娘には手を出さないでくれ」と泣きすがりながら、兼高の耳元で「胸に白いハンカチを突っ込んでおけ」とささやいた。
土岐は三國に神津組4代目を譲る件で話があると電話して、三國の事務所へと向かった。土岐の周りの殺気立った若衆たちを見て、三國は自分が嵌められたことを悟った。
土岐らは三國を伴って「ディージャイ」の女たちの暮らす寮へと向かった。目的の部屋の前に到着すると、道路を挟んだ向かいのマンションの屋上からサブマシンガンを構えた男たちが攻撃してきた。
三國は最後の最後で土岐をかばって凶弾に倒れた。兼高は向かいのマンションからの銃撃を避けるように、土岐らとともに目的の部屋へと入っていったが、そこにも多数の敵がいた。
奥の寝室からは武装した氏家勝一が現れた。兼高の胸ポケットの白ハンカチを見て、氏家がターゲットを変えたのを見て、土岐は兼高が潜入捜査官であることを一瞬で悟った。
土岐は兼高へ突っ込んできたが、兼高は一瞬早く土岐を叩きのめした。氏家が「これで東鞘会は俺のものだ」と吠えたが、兼高は土岐のステッキに仕込まれたドスで氏家の腹を切り裂いた。
警察は和鞘連合の氏家と神津組の三國が結託してクーデターを起こしたと発表した。土岐や三國だけでなく東鞘会の勇猛な戦闘員の多くも命を落とし、同時に氏家も始末した。全ては阿内の一か八かの作戦であった。
室岡が話があると兼高を神津組の経営する焼肉屋に呼び出した。土岐が死んでからめっきり元気がなくなく様子がおかしかった。
室岡は茶封筒を取り出すと、兼高に「ここから逃げろ」と言った。茶封筒の中に入っていたのは典子と阿内が会っている写真だった。
兼高を目の敵にしていた三國が独自に調べていたもので、三國のデスクの中から室岡が発見したのだった。「逃げろ」と言う室岡に、兼高は金属製の箸を振り下ろした。
腕っぷしの強い室岡とやり合うのは簡単なことでなかったが、室岡の様子がおかしいと感じていた兼高は防刃ベストを身に付けていた。
料理長から包丁を奪うと、兼高は一気に室岡を斬りつけた。
室岡を始末した兼高にもう時間は残されていなかった。証拠は処分したが、十朱の目は欺けないことを悟った兼高は「これから秘密を奪い取る」と阿内にメッセージを送った。
一連の事件の結末は?(ネタバレ)
ここから先は大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。
映画の見どころと原作との違い
原作小説では兼高はあくまでも警察官という立場で潜入捜査をしており、良心と任務との狭間で苦しむ姿が見どころの一つでもあるのですが、映画では完全に闇落ちした元警察官ということになっています。
それでも兼高の中には救えなかった命に対する贖罪の意識が強く根付いているんですね。
完全にネジが吹っ飛んだ狂気の中にあって、わずかな良心が垣間見える瞬間に、胸のゾクゾクが止まりません!
複雑に入り組んだヤクザの勢力争いをできるだけ簡単にして、原作にはいない人物も含め登場人物のキャラを極限まで濃く練り上げた、最高のエンターテインメントに仕上がっています。
原作とは異なる最後の戦いも手に汗握る鳥肌もんですよ!
細部にこだわりぬいてリアルを追求する原田眞人監督、渾身の映画です。原作ファンの期待も裏切らないので、原作を読んだ方もぜひ映像もお楽しみください!
原作小説『ヘルドッグス』の感想
いわゆる「潜入捜査もの」の物語、そもそもが私の一番好きなジャンルです。ドキドキしながらもワクワクしたり切なさに泣きそうになったりして、一気に最後まで読み進めることができました。
最初から兼高が”潜入捜査官”だということが分かった上で物語が進んでいくので、ばれるんじゃないか…もしかしたらもう誰か知ってるんじゃないかと、ハラハラドキドキが止まりません。
それだけでも充分読み応えある内容ですが、ある使命感を持ってスパイとなる主人公が、任務と潜入先での情との間で葛藤し苦悩する姿を、胸がえぐられるような気持ちで見守ることになります。
最後は新たな戦いを誓った出月梧郎…。これまでの戦いとは比べ物にならないくらいの試練が待ち受けている気がします。
その続きはシリーズ第3弾の『天国の修羅たち』で。
ヤクザものなのである程度覚悟していましたが、ヤクザ同士の衝突に拷問…とにかく命のやりとりの手段の描写が恐ろしくえげつないです。
それでも命のやり取り以上に、心のやり取りに持っていかれること間違いなしですよ!
『ヘルドッグス』のシリーズ続編
『煉獄の獅子たち』
シリーズ第2弾『ヘルドッグス-地獄の犬たち-』に至る前の東鞘会の分裂による全面戦争を描いた物語。
警察を裏切った十朱を始末するために、阿内と木羽は次々に刺客を放つも失敗。遂に第2の潜入捜査官を投入することとなった。
『天国の修羅たち』
シリーズ第3弾『ヘルドッグス-地獄の犬たち-』のその後を描いた物語。
出月梧郎は自分が兼高昭吾として東鞘会に潜入していた事実を綴った「兼高ファイル」が公になると、警視庁は火消しに躍起になり、出月は警視庁からもヤクザからの命を狙われる身となった。
映画『ヘルドッグス』視聴方法は?
動画配信サービスはまだ始まっていません
購入
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