北野武監督映画『首』クセモノ豪華キャスト、主演は西島秀俊!

非情な戦国時代の映画を撮りたいと、10年以上もの長い間構想を練り続けてきた北野武さんの野望がついに現実に!

登場人物は織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康という誰もが知る歴史上の偉人ばかり。ところがこの偉人達、腹の探り合いと互いの牽制に明け暮れるクセモノばかり。

本能寺の変は実は豊臣秀吉が光秀をうまい具合に誘導して起こした陰謀だったという斬新なストーリーは「汚い世界を描きたかった」というたけしさん渾身の作品です!

出世のために「首」にこだわった者と、「首」などよりも目の前の事実に向き合った者と…。最後に笑うのは一体どちらなのか?「首」の価値とは何なのか?

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クセモノを演じる豪華キャスト

主役の西島秀俊さんが演じるのは明智光秀!そして北野武さんは本能寺の変の黒幕(?)豊臣秀吉

キム兄が曽呂利新左衛門とかはまり役すぎておもしろすぎる。

その他のキャストも主役級の豪華キャストで驚きです。こんなすごい映画が危うくお蔵入りするところだったなんて、信じられない。

登場人物全員がクセモノで腹黒くて、全然「偉人」なんかじゃありません!

羽柴秀吉:北野武
織田信長:加瀬亮
黒田官兵衛:浅野忠信
羽柴秀長:大森南朋
難波茂助:中村獅童

曽呂利新左衛門:木村祐
荒木村重:遠藤憲一
斎藤利三:勝村政信
般若の佐兵衛:寺島進
服部半蔵:桐谷健太
安国寺恵瓊:六平直政
間宮無聊:大竹まこと
為三:津田寛治
清水宗治:荒川良々
森蘭丸:寛一郎
弥助:副島淳
徳川家康:小林薫
千利休:岸部一徳
(敬称は略させていただきました)

映画のあらすじは?

映画に先立って、北野武さん初の長編歴史小説『首』が刊行されました。

初めから映画化することを目指して書かれた物語で、脚本と小説はほぼ同時進行で書き進められていたようです。

映画の方もほぼ小説『首』の通りに描かれるのではないかと思われます。

時は荒木村重織田信長に反旗を翻した有岡城の戦い直後。曽呂利新左衛門は荒木村重を偶然捕まえます。

織田信長が血眼になって探している荒木村重の「首」。さてどのように使おうかと考え、曾呂利は村重を千利休に預けました。

千利休は村重の身柄を明智光秀に引き渡し、光秀は村重を匿うことにしました。実は光秀と村重は体を重ね合わせる仲。

そのころ信長の暴挙はとどまるところを知らず、反感を持つ者も少なくありませんでした。

それでも信長は信頼のおける優秀な家臣に家督を譲ると豪語していたので、家臣たちは信長に認められるために必死でした。ところが…。

信長が嫡男の信忠に家督を譲るつもりでいるという書状が現れ、事態は急変します。

豊臣秀吉はこれを利用して光秀に信長を討つように唆します。信長と光秀という2人の邪魔ものが目の前から消えるという千載一遇のチャンスが秀吉の元に転がりこんでくるのでした。

歴史的にも有名な「本能寺の変」には、もしかしたらこんな駆け引きがあったののかもしれない…。まさに戦国版アウトレイジ

武士にとって手柄の証は敵将の「首」にかかっています。

その「首」に執着しすぎた者がいる一方で、ほとんど「首」には関心を示さなかった者も…。彼らの運命やいかに?

映画の見どころは?

北野武さん曰く「今回の『首』が自分の最後の作品になってもいい」というくらい、思い入れと覚悟の渾身作。一時は「お蔵入り」が危ぶまれたこの作品。こんな大作お蔵入りになるだなんてありえない!上映されることになって本当によかった。

武さんによる創作ですが、もしかしたら本当にそうだったんじゃないかと思うくらいおもしろい物語です。

戦いというのはいつの世も”情報”が要。いつ自分の足元がひっくり返るかわからない戦国時代では”情報が命”と言っても過言ではなかったと思います。

敵だろうが味方だろうが、とにかく腹の探り合い裏のかきあいとドロドロの私欲まみれの攻防が繰り広げられるので、面白くない訳がない!

こんな風に書いてしまうと、いかに過去の偉人たちが知力と胆力を使って戦国時代を生き抜いてきたかという「英雄談」のように思われるかもしれませんが、この映画はもっともっとゲスい部分が描かれています。

衆道(しゅどう)もその一つです。衆道というのは女人禁制の場で発生する同性愛行為のことですが、戦国時代の主従関係において愛だとか合意だとかそんなものは存在するはずがありません。セクハラとパワハラをMaxに掛け合わせたものですね。

大河ドラマで描かれる「美しい歴史」とは真逆の、本当の歴史を描きたかったという北野武監督の渾身の一作。

タイトルが『首』だけあって、じつにたくさんの「首」が映像にも登場します。のっけから首のない侍の死体あり、斬首刑や次々に討ち取られていく影武者たちなど、グロい映像が苦手な人にはちょっと耐えられないくらいリアルな描写が続きます。

それも軽んじられた命に対する武さんの抗議の気持ちの表れであるのかもしれません。

大河ドラマで描かれるのは美しい英雄としての戦国武将ばかり。それはそれで私たち現代人に訴えかけるものがあるので大好きなのですが、この映画が伝えたいのはもっと人間らしい部分です。

人間であるからにはもっと自制心がなくて自分勝手でふざけたりするダメな部分があるはず。それを見事に描き切った作品です。

第76回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門に選出されたのもうなずけます。北野武監督おめでとうございます。