小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』あらすじと感想

この一度見たら忘れられないインパクトありすぎるタイトル『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』

一体どういうこと?と言いたくなる衝撃的なタイトルとは裏腹に、中身はいたって真面目にマイノリティに向き合ってます。

安藤純はゲイの高校生、そしてクラスメイトの三浦紗枝はBL大好きな腐女子。

紗枝がBL本を買うところを純が目撃してしまうところから、ゲイと腐女子の愛と青春の物語が始まります。

自分の「好き」と向き合うのはどういうことなのか、読んだ後誰かと語りたくなる珠玉の作品です。

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小説のあらすじは?

新宿の本屋のレジで、たまたま遭遇したクラスメイトの女子は僕を見て固まった。

彼女の名前は三浦紗枝。彼女が手に持っていたものはBL本で、正真正銘のBL好き”腐女子”だった。

僕は安藤純、高校2年生。これから恋人と待ち合わせをしている。恋人はマコトという妻子ある男性で、待ち合わせた後は歌舞伎町にあるラブホテルで愛し合う。三浦さんの好きな”ホモ”だ。

家に帰るとパソコンのメッセンジャーで「ミスター・ファーレンハイト」と会話をするのが日課。ミスター・ファーレンハイトももちろんホモだ。そしてHIVキャリアである。

マコトさんと初めてつながった日に、HIVのことが怖くて情報をあさっていて「ミスター・ファーレンハイト」のブログに出会った。ハンドルネームから予想される通りQUEENのファンで、音楽と闘病日記のブログだった。

翌日、三浦さんは僕をBLのイベントに誘った。1人1個しか買えない限定品のために。自分の”好き”をさらけ出した三浦さんの頼みを断る理由がなかった。

イベントには大学生の佐倉奈緒さんとその恋人の近藤隼人さんと一緒に行き、その後水族館でダブルデートをした。

幼なじみで親友の高岡亮平がゴールデンウィークにグループデートをしようと誘ってきた。メンバーは小野雄介とその彼女と今宮さんと三浦さんと亮平、僕。

観覧車の中で三浦さんに告白され、僕は三浦さんを抱きしめてキスをした。三浦さんのことは好き。でも僕の体の男の部分は全く反応してくれなかった。

付き合い始めて一緒に映画に行ったり、一緒にテスト勉強したりした。女性を抱きたい。普通でありたい。僕は三浦さんと愛し合いたい。でも僕の股間はピクリともしない…。

僕は普通になりたい。結婚して子どもが欲しい。母さんを安心させたい。でも三浦さんと付き合いながらマコトさんとも会っている。

メッセンジャーでミスター・ファーレンハイトにだけは全てを打ち明けた。ミスター・ファーレンハイトは愛する人がAIDSで亡くなったと言った。

ミスター・ファーレンハイトの恋人は年の離れた従兄弟だった。QUEENを教えてくれたのも彼だった。ミスター・ファーレンハイトから告白し、押して押して押しまくって抱いてもらったのだそうだ。

その彼がAIDSを発症した時、ミスター・ファーレンハイトもHIVに感染していることがわかった。両親は激怒し、彼が死んだときには葬儀にも行かせてもらえなかった。

ミスター・ファーレンハイトは僕に、自分が死んだらお墓に彼からもらった「QUEENⅡ」のCDを供えてほしいと頼んだ。

佐倉さん近藤さんとのダブルデートでお台場にある温泉施設に行った。マコトさんが家族で来る予定なのを知っていたから。

そこへミスター・ファーレンハイトからメールが送られてきた。それは自動送信された「遺書」だった。

どうしていいかわからない。1人になりたい。…いや、僕はマコトさんに助けを求めた。マコトさんは僕にキスをした。でもそれを三浦さんに見られてしまった。

三浦さんには全部本当のことを話した。しかしそれを、あろうことか小野に聞かれてしまった。噂が広まるのはあっという間で、学校に僕の居場所はなくなった。

体育の授業の前に着替えるとき、小野が僕に「出て行け。気持ち悪い。」と言った。僕は3階の窓から外に向かって身を投じた。

この世とおさらばするつもりだったのに、僕は助かってしまった。三浦さんは僕のために泣いてくれた。

他人からは逃げられる…、でも自分から逃げることはできない。僕はいつか戦わなくてはいけない。もう学校には行けないと思っていたけれど、終業式に出ることにした。

美術展で入賞した三浦さんは、みんなの前で校長先生から賞状を受けとった。そして、壇上のマイクを奪い取ると叫んだ。「わたしは、ホモが大好きでーーーす!」

三浦さんは自分が腐女子になったいきさつから、それがばれて女子全員から無視されたこと、初めて好きになった相手がホモだったことを涙ながらに語った。

僕は三浦さんにつき合ってもらってミスター・ファーレンハイトの家に行くことにした。ミスター・ファーレンハイトの部屋に入って愕然とした…。

亡くなったミスター・ファーレンハイトは15歳の中学生だった…。

「QueenⅡ」のCDを受け取って、僕と三浦さんはミスター・ファーレンハイトの恋人が眠る墓地へと向かった。

CDを墓前にお供えして、僕は夏休み中に大阪に引っ越すことを告げた。三浦さんは「別れよう」と言った。

引越の2日前、僕はマコトさんと会った。別れ話を告げるとマコトさんは納得してくれた。

大阪の高校に転校した初日、僕はどんな自己紹介をしようか考え抜いて「おもろい方」の自己紹介をすることにした。

物語を読んだ感想

この物語は章のタイトルがQueenの楽曲名になっています。読みながらずーっとメロディが頭の中で流れてくるというたまらない構成です。

フレディ・マーキュリーも自分のあり方に苦しんだゲイでしたね。そんなことは関係なく私はフレディ・マーキュリーとQUEENの音楽が大好きです。

この物語は男同士の「同性愛」をテーマにしていて、純は窓から飛び降りることになるほど友達とのやりとりは辛辣だったし、ミスター・ファーレンハイトは自死を選んでしまったし…と、胸が苦しくなるような場面もいっぱいあるんだけど、とにかく登場人物がみんな健気でした。

インパクトありすぎるタイトルからは想像できなくらい、最後まで自分の”好き”と向き合おうとする真摯な姿が愛おしくて、珠玉の言葉にあふれていました。

三浦さんが安藤のことを「彼はいつも自分の前に透明な壁を作って、私たちを守っている」というセリフは衝撃すぎて目が覚める思いがしました。そうか、自分を守っているんじゃなくて周りの人を守っているんだ…と。

好きなものは「好き」っていう気持ちに正直に生きていいものだと思っていました。いや、今でも思っています。もちろんそれが法に触れたり犯罪に類するものなら絶対にダメだけど。

例えば私はネコが大好きなんだけど、極端な話「ネコを好きだったら罰します」ってなったら口では「好きじゃない」と言いながら心は絶対変えられない。男を好きなのもそれと同じなんだと思います。理屈じゃない。

(余談ですが…女好きも絶対に治せないから、浮気するたびに涙を流して土下座して謝罪する男のことも一切信用してない!)

身近なところで考えてみて、もしも息子がゲイだったら…。そりゃ孫が抱けないのはちょっと寂しい気がするけど、お互いに尊重し合える相手と心穏やかに生活できて心身ともに健康でいられるならそれが一番だと思うんですよ。マジで。

マコトさんのようにゲイであることを隠して家族を守ることを選ぶのも正解だし、三浦さんのように「好き」にひたすら真っすぐ進むのも正解だし、純のように生活の場を変えるのも正解。

本人が自分を嫌いにならずに、少しでも幸せでいられる道は人それぞれなんですよね。

読んだ後にいろんな人と話したくなる物語です。映画がどんな風に描かれてどんな結末を迎えるのかかなり気になる作品ですね。1人でも多くの人に読んでもらいたいし、映画を見てもらいたいと思える物語です!

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