森絵都の人気小説『カラフル』あらすじとネタバレ

生前の罪により輪廻のサイクルからはじき出され、二度と生まれ変わることができなくなった僕の魂が、どういう訳か”抽選”に当たり再挑戦のチャンスが与えられた!

自殺を図った少年、小林真の体に「ホームステイ」しながら、自分が生前犯した罪を自覚することが僕に与えられたミッションだ。

真は友達もおらず、外面だけ取り繕った仮面家族とはうまくいってないと思っていたけど…。なんだか事実は違うみたいだ…。

人生はいろんな色に満ちている。同じ色はずっとは続かない。生きるためのヒントをくれる素敵な物語。

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小説のあらすじは?

おめでとうございます、抽選に当たりました!

目の前に突然現れた天使が笑顔で告げた。僕は死んで魂が暗闇を浮遊している時のことだ。

天使が言うには、本来なら僕は生前の罪により輪廻のサイクルから外され2度と生まれ変わることができないのだが、抽選で再挑戦のチャンスが与えられたらしい。

僕は「辞退します」と答えたが、ボスの決定は絶対で逆らうことはできないと言う。天使の名前はプラプラ、僕担当のガイドだそうだ。

プラプラの説明によると、僕の魂は
・再挑戦により再び下界で修業しなければならない
・修業とは下界の誰かの体を借りて過ごすことである
・天使業界ではこの修行を「ホームステイ」という
・僕が前世で犯した罪の大きさを自覚した瞬間にホームステイは終了する

僕は3日前に服薬自殺をはかった小林真(まこと)の体を借りることになった。

目が覚めるとそこは病室だった。涙でぐしょぐしょのおばさんと目が合うと、おばさんは「真!?」と叫び金切り声をあげた。10分前に「ご臨終です」と告げられた息子が目を開けたのだ。病室はパニックになった。

半狂乱で喜びを爆発させているおじさんとおばさんは真の両親だ。真をにらみつけている学生服の男は、兄・満(みつる)らしい。

両親は真が生き返ったことを心底喜んで、1週間後に退院した時にはたくさんの花とごちそうで真を迎えてくれた。こんなにも愛されて、なぜ真は自殺したのか、不思議でならなかった。

「どうだい。ホームステイのほうは」と言って現れたプラプラに、こんなに居心地のいい家で小林真が自殺する理由がわからないと言うと、プラプラは衝撃なことを口にした。

プラプラの持つガイドブックによると、真の自殺前数日間は人生最悪だったらしい。真は塾の帰り、中学校の後輩で初恋の相手でもある桑原ひろかが中年の男と腕を組んでラブホテルに入っていくのを目撃した。真がショックで身動きできずにいると、今度は同じラブホテルから母親がフラメンコ講師と肩を寄せ合って出てきた。

真が家に帰ると、父親の会社の社長と重役が悪徳商法で検挙されたというニュースが流れた。心配していると、なんと父は部長に昇進したと酔っぱらって小躍りしながら帰ってきたのだった。

兄の満はというと、真が背が低いことを気にしてこっそり買ったシークレットブーツを見つけて、さんざんからかっていた。

不倫する母親に自己中な父親、そして無神経で意地悪な兄…それが真実の姿。真のショックは大きかった。さらに、真は半年後に高校受験を控える中学3年生だと聞かされた。

仮面家族の団欒ごっこに付き合う気などさらさらなく、真は次第に家族の誰とも口をきかなくなった。家にいることにも飽きてきたので、そろそろ学校に行こうと思ってプラプラに学校のことを聞いてみた。

真はクラスメイトとはほとんど口をきくことがなかったらしい。唯一気軽に話しかけてくるのは桑原ひろかだけだった。

真が教室に入るとクラスの全員が一斉に真を振り返り、なんとも言えない変な顔をした。出席をとるとき「もうすっかり元気です」と言うと、教室中がどよめいた。

佐野唱子というクラスメイトにはいきなり「セミナーにでも行って自分を変えてきた?」と言われた。真が「なにもしてない」と言うと、唱子は「信じない!あたしはだまされない!」とわめき散らした。

放課後は真が所属していた美術部に顔を出した。絵を描いていると背後から「真くん、久しぶり」という声がした。ひろかだった。子どもっぽいのに妙に色気のある中2。

佐野唱子は同じ美術部だったけど、絵を描いている時だけは邪魔してこなかった。家にも帰りたくなくて、真は美術室にこもってひたすら絵を描き続けた。

その結果2学期の中間テストの結果は散々で、先生からは私立の単願にでもしないと行ける高校がないと言われた。真は「行けるところならどこでもいい」とあっさり受け入れ、家に帰って母親にも私立と単願で受験すると伝えた。

父親からは、満が医学部受験を考えているので、頑張って公立に行ってほしいと言われた。適当に返事をして部屋に帰ると母親が追いかけてきた。

「一人で抱え込まないで話して」と言うので「フラメンコの先生は元気?」と言ってやった。崩れ落ち泣き始めた母親を横目に、真は出かけて行った。

プラプラにひろかの居場所を教えてもらって、真は卑猥なネオン街にある喫茶店に向かった。すると中から、ひろかと4,50代の中年男性が出てきた。

後をつけ、まさにラブホテルに入ろうとした時、真はひろかの手首をつかんで駆け出した。24時間営業のドーナツ屋に入ってとりあえず事情を聞くことにした。

ひろかはさっきの男性のことを「愛人だよ」とこともなげに言った。今身に付けたいおしゃれな服やバッグを買うために、おじさんとエッチをしてお金をもらうことに何の罪悪感も抱いていなかった。

結局ひろかはおじさんの元へ戻っていった。ひろかを奪い返すこともできず、雨に濡れながら頭痛と悪寒を感じる体を引きずって近くの公園まで歩いた。家にも帰りたくないのでここで野宿するつもりだった。

激痛で目が覚めた。数人の黒い影が真を囲んでいる。傘で殴られ蹴りを入れられ、財布と真のこづかいをはたいて買った28,000円のスニーカーを取られた。怒り心頭して絶叫したがさらにボコボコにされたところで「警察が来るぞ!」という声が聞こえた。

声の主は満だった。帰って来ない真を心配して母が探してくるように頼んだのだった。風邪による高熱と打撲とで真は5日間寝込んだ。

5日目。真の天敵・佐野唱子が見舞いにやってきた。ひろかのことが好きなのかと言うので「だったらなに」と答えると、真が変わったのが恋のせいなら唱子は真を諦めようと思うと言った。

唱子は、以前の真は「いつも世界の一番深いところを見つめ、この世の悲しみを一人で引き受け苦しんでるような男の子だった」と言った。怒りがこみ上げた真は、その幻想を覚ましてやろうと、唱子に無理矢理キスをしようとした。

唱子が絶叫したタイミングで母親が入ってきて、唱子は部屋を飛び出していった。佐野唱子は真のことが好きだったのか?もう訳がわからない。

母が「読みたくなかったら捨てて」と言いながら真に手紙を渡したのはその夜のことだった。手紙の内容はこうだった。

真は小さいころからマイペースで絵がとても上手だった。非凡な息子を目の前にして母親は自分にも何かできることがあるかもしれないと、絵画や香道、ソムリエにコーヒーとあらゆる習い事に手を出したが、結局それは挫折の繰り返しでもあった。

もうこれで最後と通い始めたのがフラメンコ教室で、初めて楽しいと思えたために教室や先生にのめり込んでしまった。そして、自分のことに一生懸命で真が普通の思春期の男の子のように悩んでいたことに気付いてやれなかったことに対する後悔がつづられていた。

父親のことを「いい人」だと言うことにも心底腹が立って、母親とはまともに話をする気にもなれなかった。

風邪が治って学校に行き始めると、早乙女くんが話しかけてきた。28,000円のスニーカーを盗られたことを一緒に怒ってくれて格安の靴屋を教えてくれた。

それ以来仲良くなり互いの髪型をチェックしたり一緒に勉強したりするようになった。友達がいるというのは嬉しいものだ。ただ大好きな絵を描かなくなって、少し生活がモノクロに感じられてきた。

父が釣りに行こうとしつこく誘うので、全然乗り気じゃない真は、しかたなくスケッチブック片手について行くことにした。

お弁当を食べながら父は「近ごろ元気のない母さんを見てるのが辛い」と言った。真は「仮面夫婦」と棘のある言葉を口にしたが、父にはなにも響いていないようだった。

それどころか父は、習い事もパートも生き生きと笑顔で取り組んでいる母に精神的に助けられたと言った。特に「失業中には…」と言われ、真はびっくりした。

父によると、以前勤めていた製菓会社をやめたのは上司のミスの責任を負わされたからだった。不況の中、自分の希望する「企画」の再就職など簡単に見つかるはずもなかったけれど、母が応援してくれていたお陰で焦らず探しつづけ、今の会社に再就職できたのだそうだ。

社長が悪徳商法に手を出したとき、父は社長にやめるように忠告して2年間閑職に追いやられていた。社長が逮捕されて、やっとまともな仕事ができると、若い社員たちと大いに盛り上がった、悪いことはいつか終わる…と父は言った。

帰りの車の中で父は、真が生き返ったときそれまでの人生が全て清算されたと言い、満がそのことをきっかけに医学部に行くことを決めたと教えてくれた。満はさらに、自分は来年奨学金の試験を受けてから大学受験をするので、真を私立に行かせてやってくれとお願いしたらしい。

家族に対して真は大いに誤解していたみたいだ。実際の小林家はいろんな色に満ち溢れていた。この話は本物の小林真が聞くべきだった…と思うと涙が出てきた。

美術の専科を備えている私立高校を両親と満が勧めてくれたけど、真は早乙女くんと同じ公立高校に行くと言った。友達で高校を決めてしまうのはどうかとも思ったが、早乙女くんは真にとって初めての友達だ。早乙女くんと一緒なら”普通”の高校生活を送れるかもしれないと言うと、家族はわかってくれた。

ホストファミリーとの関係が好転すればするほど、真の心は複雑だった。プラプラを呼び出して「この家の人たちに本物の真を返してやりたい」と言うと、プラプラは「方法はなくはない」と言った。

本当ならホームステイの期限は1年間と決まっているので、生き返ってから1年後、真には本当の”死”が訪れるはずだ。プラプラは「24時間以内に君が前世で犯した罪を思い出したら、君の魂を輪廻転生のサイクルに戻し、真の体には真の魂を戻せるようにボスに頼んでやる」と言った。

そして「ヒントはいたるところにある」と言って消えた。

”僕”の犯した罪とは?

ここから先はネタバレします。読みたくない方は【+ボタン】を開かないでね。

僕の犯した罪とは?
家や学校であちこち目を凝らして見ても何も思い出さない。タイムリミットは近いのに、ヒントのかけらもつかめていない。

美術室に行くと、雨音と雷鳴が鳴り響く中、真っ暗な美術室に誰かがいるのが見えた。佐野唱子だった。

唱子は、中学校に入ってから周りとテンポが合わないといじめられるようになったが、同じようにいじめられても絶対に泣かない真を”仲間”だと思っていたと言った。

真が絵を描く姿を見て、自分だけの世界を持っていると強くなれると信じて、唱子も美術部に入ったのだと、絵を描くことで心に安らぎが生まれて明日も学校にこようと思えたのだと語った。

唱子は真のことを目指していたので、ある日突然”普通”の男の子になった真を見て寂しく感じたけど、根っこのところは変わってないと言った。「なんで?」と聞くと、唱子は「描く絵が変わらなかった」と言った。

その瞬間、真の目に映る全てのものが鮮やかな光彩を放ち始めた。

屋上に上がるとプラプラが現れた。僕は自分の犯した罪がわかった。僕は僕を殺したんだ。

「僕は自殺した小林真の魂だ」と言うと、プラプラは「ピンポーン」と叫んだ。

その瞬間まぶしい光が差し、真は忘れていた14年間の記憶を取り戻した。

中学に入ってからいじめられるようになり、絵を描くことで自分の殻に閉じこもるようになっていった。中3になると鬱気味になり嘔吐までするようになり、このままではいけないと、できるだけ明るい色の絵を描こうと、海の底から海上目指して走る馬の絵を描き始めた。

その矢先、唯一の救いだったひろか、母親、父親が真を打ちのめす出来事が起き、安易に大量の睡眠薬を口にしてしまったのだった。

「たくさんの人があなたを待っています」とプラプラは言い「あばよ、小林真。しぶとく生きろ」と消えていった。真は、真の世界に戻るための新しい一歩を踏み出した。

小説を読んだ感想

なんとなく予想できなくもない結末でしたが、読後感は爽やか!ものすごく心の中に響く素敵な物語でした。

人生には、生活にはいろんな色があふれています。それは明るい色ばかりではなくて、暗い色や寒々しい色だったりすることもあります。

それでも真のお父さんが言うように「悪いことはいつか終わる」んだと、明るい色や温かい色に満ちた日も訪れるのだと信じられる気がしました。

どんなに近しい存在の家族や大切な人とでも、ちゃんと話をしなければ気持ちって伝わらないものなんですよね。

能天気に見えるひろかも唱子も、死にたくなるような色に塗りつぶされた日々があったなんて、きっと真には想像もできなかったんでしょうし、家族の想いにも気づくことができなかったでしょう。

相手を想う気持ちは「言わなくてもわかる」ではなく、口に出して言うことで相手の人生に色を与えるということを教えてくれる素敵な物語です。

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