映画『CUBE』日本版リメイクのあらすじと考察(ネタバレ)

この部屋に一度入ったら、最後…。

最後って何?どうなるの?その答えがこの映画に用意されているのかどうかもわからない「密室サスペンス」。

オリジナルは1997年世界に衝撃を与えたカナダの映画『CUBE』です。

立方体の部屋に閉じ込められた人々。部屋の6面にはそれぞれ1つずつ、隣の部屋へとつながる扉がありますが、隣の部屋は安全とは限りません。

何が怖ろしいかって、ワイヤーで切り刻まれたり、炎で焼かれたり…というトラップ。いやいや、一番怖ろしいのは困難に直面するたびに、次第に現れてくる人間の本性です。

このオリジナル映画の世界観を守りながら、日本の価値観や人間性などを落とし込んだ本作品。

オリジナル『CUBE』の監督ヴィンチェンゾ・ナタリ公認のリメイク版で、ナタリ自身もクリエイティブ協力として制作に参加しているとのこと。

あの恐怖がよみがえります。閉じ込められた人々に救いはあるのでしょうか?

この映画はミステリーでありながら、豪華キャストによる人間ドラマでもあります。

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閉じ込められたキャストは?

後藤裕一:菅田将暉

29才エンジニア。頭脳明晰で事態を冷静に判断し、なんとか脱出を図ろうと頑張りますが、過去のトラウマと向き合うことになります。

Twitter:ごとう(@3641_y)

甲斐麻子:杏

37才団体職員。冷静沈着で他のメンバーを観察しているのか見守っているのか…。

Twitter:asako kai(@asa5ika)

越智真司:岡田将生

31才コンビニ勤務のフリーター。自分が世間から虐げられているという意識が非常に強い。

Twitter:おっち(@0tchin1989)

宇野千陽:田代輝

13才中学生。学校でいじめを受けているため助けてくれない大人が大嫌い。

Twitter:ウノチハル@本垢(chiharuuno0)

井手寛:斎藤工

39才整備士。責任感が強くみんなを引っ張っていきます。瀕死の妻の元に戻るため必死。

Twitter:井手寛(@ide_hiro4)

安東和正:吉田鋼太郎

61才会社役員。手段を選ばないやり手のサラリーマン。やる気を出さない奴が嫌いです。

Twitter:Kazumasa Ando(@and0it_kazumasa)

https://twitter.com/cube_m0vie/status/1356362030798700547

そして映画の冒頭、体の真ん中をくり抜かれるトラップにかかるのが柄本時生さん!いきなりめっちゃ怖いです。

この柄本時生さんが演じる男は『小説CUBE コンティニュード』の亮太です。

https://twitter.com/cube_m0vie/status/1405661561633468417

映画のあらすじは?

目が覚めるとそこは謎の立方体=CUBEの中。

どういう理由で集められたのか、彼らにどんなつながりがあるのかも全く分からない男女が6人。

出口を探すために隣の部屋に移動しようとすると、そこには殺人的なトラップが次々と仕掛けられています。

火炎バーナー、ギロチンのような回転スライサー、音感知式のワイヤースラーサー、感情に呼応して発動する有毒ガス、熱感知レーザープラズマ、内部の人間を分断する鉄格子、過去のトラウマを映像化して投影する壁、感情に呼応して発動するフラクタルツリー

回避できないことは「死」を意味します。

扉には暗号と思われる数字。これを解かない限り次の部屋に進むことはできません。

CUBEから安全に脱出することを目標とする仲間のはずなのに、追い詰められるにつれて次第に人間性をむき出しにしていく人々。

本当に出口はあるのでしょうか?彼らは脱出することができるのでしょうか?

そしてこのCUBEは何のために作られたものなのでしょう。

物語を読み解くキーワード

素数

1より大きい自然数で、1と自分自身でしか割り切れない数

例えば「8」は1と8以外に2と4でも割れるので素数ではない。2,3,5,7,11…などは素数です。

デカルト座標

x軸、y軸、z軸が直角に交わるいわゆる「直交座標」のことで、3次元空間での位置を表します。

下図のようにの位置は(3,2,2)と表されます。

フラクタル構造

一部が全体と自己相似の構造を持っていて、同じ形が再現されていく構造のこと。

中でも”正方形を縦横3等分して9つに分け、真ん中をくりぬく”という作業をくり返した図形は「シェルピンスキーのカーペット」と呼ばれており、部屋の壁や天井、床に配されていて最初に目に入るフラクタル図形です。

他にも「マンデルブロ集合」というフラクタル図形が壁面にデザインされていたり

通路にある光るバーコードは、線分を三つに分けて真ん中を取り除くという作業をくり返した「カントール集合」というフラクタル図形になっていたり

最後のトラップは枝の3分岐が繰り返される「フラクタルツリー」と呼ばれるものです。

人間が行動と反省を繰り返し形成されていくさまのメタファーでもあるフラクタルをふんだんに使ったデザインも映像の中でお楽しみください!

前日譚『小説CUBEコンティニュード』

映画で描かれる物語には前日の物語が存在しました。

ええ?という驚愕の展開が映画へと続いていきます。映画を見る前にはぜひ読んでみてください。

映画が100倍おもしろくなります!

甲斐麻子は何者?

始まりの登場シーンでもなにやら違和感がありましたが、最後の場面で「え?」となることでしょう。

『小説CUBEコンティニュード』にも登場する甲斐麻子。ゲームに参加していても、数々の殺人トラップに対して動じることもなければ、積極的に脱出しようという勢いもない…。淡々とみんなの行動を見つめているだけの存在。

少年が出口を見つけて出ていくときに一緒に出て行かないので、さらに「え?」が深まり、次の場面で確信へと変わっていきます。

確実に甲斐麻子は”CUBE設計者”側の人間です。いや!人間でもないな。AIなのでしょう。学習したことは淡々とこなせる、だけど感情の動きはほとんどない。

ということは”CUBE“は”人間観察装置”とでもいうべき存在でしょうか。一体誰が何のために?その答えは想像するしかありませんが、脱出に失敗するとかなりむごい”死”が待っていることにどんな意味があるのか…全く想像の域を超えています。

オリジナル『CUBE』を見よう!

この映画を鑑賞する前に、オリジナルのカナダ映画『CUBE』をぜひ見てみましょう!

日本のリメイク版とオリジナル版とでは結末が異なります

当然と言えば当然。なんせオリジナル『CUBE』が発表されたのは1997年、今から24年前です。CGやVFXの技術は雲泥の差だし、なにより国が違うので当然考え方や常識や社会情勢なども違ってくるわけです。

今なお全世界に根強いファンを持つ名作と言われている『CUBE』。一見の価値ありです!

映画の見どころは?

殺人トラップによって切り刻まれる人間、とにかくグロくて残酷。その映像だけでも怖さMaxなのですが、結局一番怖いのは人間の本性という残酷さです。

中でも清水康彦監督がオリジナルから膨らませて描いたのは「世代間の衝突

大勢の年寄りが数少ない若者に乗っかっているという日本の縮図が、人間ドラマだけでなく社会的な問題をも描いています。

パワハラや家庭崩壊、育児放棄、閉塞感といった社会の縮図がCUBEに閉じ込められた人たちの中に存在していて、全員の気持ちが同じ方向に向いている訳ではありません。

だからといって決して相いれない訳ではありません。人間同士には少しでも相手を受け入れようとする温かい関係が生まれてくるものなのです。

最後まで生き残ってCUBEを出ていこうとする人物に「前と何も変わらないかもしれない。それでも進む?」と聞くと「僕が…、変わらないと」という答えが返ってきます。結局自分と向き合うことが未来へと繋がっていくというメッセージのように感じます。

終始不思議なたたずまいで冷静沈着な甲斐麻子が最初に発する「あなたたち、何者ですか?」という質問。「誰ですか?」ではなく「何者ですか?」という質問は、映画の登場人物だけでなく見ているこちら側にも「一体自分って何者なんだろう?」という疑問を投げかけてきます。

SFでありホラーでありヒューマンドラマであり。全てを描き切りオリジナル版『CUBE 』の監督ヴィンチェンゾ・ナタリをも納得させた珠玉の作品をぜひ大画面で!

主題歌 星野源『Cube』

この映画の根底にあるテーマ「人間の生きざま」を紡いだ歌です。

”過去をみな 紡ぎ縄に変えて 出口に繋ぐまで”という歌詞に象徴されるように、最後まであきらめず闘い続ける人間の姿と希望を歌っています。