吉田修一さんの大ヒットシリーズ、鷹野一彦シリーズの第1弾『太陽は動かない』
藤原竜也さんと竹内涼真さんによる実写化と、ドラマと映画の2本立ての公開で話題になりました。
実写化は不可能と言われた、壮大なスケールで描かれるストーリー。
著者の吉田修一さんが、実際にあった大阪での幼い姉弟の餓死事件をもとに、この子たちにできなかったことをやらせてあげようと執筆を始めたスパイ小説です。
胸に小型の起爆装置を埋め込まれているという反人道的とも思える設定ですが、AN通信のエージェントが背負っている過去と覚悟につながる重要なファクターとも言えます。
映画とはまた違って、姿が見えないからこそのスリルを、ぜひ小説でも味わってみてください!
登場人物がとにかく多くて、おまけにスパイ小説ときてるだけに、誰が敵で誰が味方か全くわからない状況の繰り返しで、ややこしいことこの上ないストーリーです。
【主なキャスト(敬称略)】
藤原竜也:鷹野一彦
竹内涼真:田岡亮一
佐藤浩市:風間武
市原隼人:山下竜二
ピョン・ヨハン:デイビッド・キム
ハン・ヒョジュ:AYAKO
読む順番と見る順番
全ての物語がつながっていますし、登場人物も継続して登場します。必ず小説は順番に読んで、映像は順番に見てね!
小説『太陽は動かない』シリーズ
①『太陽は動かない』
②『森は知っている』
南蘭島で高校生活を送りながら、エージェントとしての訓練をうけている鷹野の青春時代を描いた物語。
③『ウォーターゲーム』
引退直前の鷹野の最大ミッション。アジアで繰り広げられる水の利権争いの先には予想外の結末が…。
映像『太陽は動かない』シリーズ
①ドラマ『太陽は動かない THE ECLIPSE』全6話
映画『太陽は動かない』へと続いていく、WOWOWオリジナルドラマ。
②映画『太陽は動かない』
原作小説の『太陽は動かない』と『森は知っている』を合わせて一つの映画に仕上げています。
小説『太陽は動かない』のあらすじ
ベトナムの大手国営石油会社の主催するパーティに潜入していた鷹野一彦。南シナ海で広大な油田が発見されたとの情報があるのに、そこに中国の巨大企業CNOXと香港トラスト銀行頭取のアンディ・黄が関わろうとしてくる形跡がない。
その秘密を探るための調査の過程で、天津スタジアムで行われるサッカーの日韓戦で、スタジアムを爆破する計画があることが明らかになった。
ウイグルの油田の共同開発について、新源石油(ウイグル)・興和(日本)・南星(韓国)の3社が合意寸前であり、それを阻止するために日基(日本)・サウンデ(韓国)がウイグルの反政府過激派組織をそそのかし、天津スタジアムを爆破する計画だ。
鷹野と田岡亮一は上海入りし、ウイグル過激派組織へのパイプを確保した後、天津に乗り込むことにした。
協力者の張雨に連れられ、ウイグル過激派組織のシャマルという女性と会えることになった。
鷹野はシャマルに爆破をやめさせるように交渉を試みたが、その交渉は決裂。シャマルはウイグルの歴史のために戦っており金のためには動かない女だった。
鷹野が単独で行動している間に、田岡が何者かに連れ去らされた。田岡は3日後に爆破される予定の天津スタジアムに運ばれていた。
鷹野は張雨とともに天津スタジアムに乗り込んだ。地下にあるゴミ収集場のゴミの中から田岡を助け出し、ゴミ収集車で脱出しようとしていると、シャマルが立ちはだかった。鷹野がシャマルを乗せてスタジアムから離れると、背後でスタジアムが爆発する爆音が響いた。
スタジアムの爆破事件から数か月後、京都に謎の美女AYAKOと韓国の諜報部員デイビッド・キムが現れた。彼らのねらいは京都大学でマイクロ波の研究をしている小田部憲三教授の娘・菜々に近づくこと。
その計画は着々と進行しており、菜々の両親にも気に入られたデイビッド・キムは、菜々との結婚も視野に入れた交際をしていた。
衆議院議員の五十嵐拓の元を、高校の後輩の広津陸が訪ねた。広津は高性能の太陽光パネルの改良に成功しており、できるなら一流企業や国家プロジェクトに高く買ってほしいのでその口利きをしてほしいと言った。
五十嵐は、現在は引退しておりかつて自民党の重鎮だった中尊寺信孝を訪ねました。中尊寺は、一番大事なのは情報だと言い、優秀なプロ集団を探してみるようにとヒントをくれました。
鷹野と田岡は香港で衆議院議員の能登正次を追っていた。能登は中国のCNOXと日本の電機メーカーMETの幹部と会っていた。
帰国後、能登の地元である茨城県の霞ケ浦に太陽光パネルを貼った浮島を浮かべる計画があることが分かった。突然潜伏先の廃屋で拘束された鷹野はある男の元に連れて行かれた。
着いたところはMETの取締役・河上満太郎の自宅。河上は計画の全貌を話すので、計画が順調に進むように何もしないでほしいと鷹野に頼んだ。
大規模太陽光発電のプロジェクトがMET65%、CNOX35%の資本で共同事業として進められているとのこと。鷹野はCNOXがベトナムの油田開発を諦めてまでのめり込むようなプロジェクトではない、裏には何かがあると読んでいた。
鷹野が上海のCNOX支社に潜入した盗み出した情報から、敦煌近くの星星峡にある巨大な施設の衛星写真が見つかり、鷹野と張雨はヘリで現地を見てみることにした。
そこにあったのは3キロ四方に広がるパネル。宇宙からのマイクロ波を受信するためのレクテナ基地だった。CNOXがMETと提携しようとしているのはあくまでもフェイクであり、METの新型蓄電池の技術がほしかっただけだということが分かった。
突然鷹野と張雨が乗るヘリは、2機のへりに追跡され機関銃で攻撃された。鷹野と張雨はパラシュートで脱出したが、地上で拘束されてしまった。
鷹野と張雨はCNOXの裏組織集団に囚われていたが、ダンプカー4台が突っ込んできて、鷹野と張雨を救い出していった。そこにはシャマルの姿があった。
マイクロ波の研究の第一人者、小田部憲三教授の娘にデイビッド・キムが近づいていることがわかり、田岡は風間の命令で小田部教授がいる種子島へと向かった。小田部教授はすでにCNOX側に寝返っていた。
CNOXに太陽光パネルを売って大金を設けるべきだと主張する五十嵐の秘書・丹田は、五十嵐に内緒でAYAKOに連絡を取り、AYAKOを太陽光パネルの開発者・広津陸のところへ連れて行った。
AYAKOがランチをごちそうすると言って広津を連れて行ったのは、サンフランシスコだった。AYAKOは広津の太陽光パネルをアメリカで競売にかけると言った。
ランチを食べていると、AYAKOと広津は男たちに取り囲まれ拘束された。男たりはアンディ・黄の指示でAYAKOと広津を再び日本へと連れて帰った。その後、AYAKOと広津はコンテナ船ごと海に沈められることになり、鷹野と田岡はAYAKOと広津の救出に向かった。
小型船でコンテナ船に突っ込み、拘束されたAYAKOと広津を解放することはできたものの、船はどんどん沈んでいく。海に投げ出された4人が漂流していると、サーチライトを付けたヘリがやってきた。そこに乗っていたのはデイビッド・キムだった。
五十嵐はCNOXが中国共産党幹部に賄賂を送っていた詳細な証拠を鷹野からもらい、それを中国共産党員に渡した。また、METは河上の説得で、太陽光発電のプロジェクト発表を延期し、CNOXとの提携を白紙に戻すべく動いていた。
CNOXから賄賂を受け取っていた中国共産党幹部が失脚し、宇宙太陽光発電は中国国家化工集団に引き継がれ、METとの業務提携で基本合意に達した。METは、京都大学で開発されたマイクロ波送信技術と新型高性能太陽パネルを提供し、実用化を目指している。
映画『太陽は動かない』のあらすじ
映画『太陽は動かない』は小説『太陽は動かない』を原作としていますが、回想シーンとして小説『森は知っている』も同時に映像化されています。AN通信のエージェントになる前の高校時代の鷹野の青春と友情が描かれています。
現代パート
AN通信エージェント・山下竜二を救出するためにブルガリアへ向かった鷹野一彦と田岡亮一。闇組織から山下を救い出すものの、執拗な追跡と妨害に遭い、リミットまでに本部へ連絡を入れられなかった山下は胸の起爆装置が作動し爆死してしまう。
山下の遺志を継いで動き始めた鷹野と田岡は、CNOXのアンディ・黄の目的を探るためにウィーンで開かれるパーティに潜入した。
CNOXは日本の電機メーカーMETと組んで太陽光エネルギーの実用化を目指しているが、CNOXはどうやらMETの蓄電池技術だけを横取りするつもりらしい。
CNOXの陰謀の証拠をMETに売ることを決めたAN通信は、鷹野と田岡にCNOXからデータを盗むというミッションを課した。
香港のCNOX本社から盗み出したデータから、中国のタクラマカン砂漠に秘密があることを知り、急遽現地に向かう鷹野と田岡。
ところが黄の裏組織に襲撃され、鷹野は囚われの身となってしまった。
胸の起爆装置が作動する中、鷹野は田岡によって救出され、命からがらロシアへと逃亡。
鷹野はロシアからMET取締役の河上宅への荷物を装って日本に帰国し、CNOXとの計画を白紙に戻すよう説得した。
一方、韓国のスパイ デイビッド・キムは、マイクロ波技術研究の第一人者・ソフィア大学教授の小田部教授の娘に近づき、小田部教授を懐柔しようとしていた。
また、インドではラジーヴという少年が太陽光パネルの新原料を開発したという情報がもたらされ、さらに諜報戦が激しさを増してきた。
デイビッド・キムと謎の女AYAKOが小田部教授をロシアに売り渡そうとしているという情報をつかんだ鷹野と田岡は、教授奪取のためロシア行きの列車に潜入。
黄の裏組織はすでに娘を拘束しており、さらに教授も連れ去った。
教授と娘が連れて行かれた先は黒海に浮かぶコンテナ船。何とか潜入した田岡も捕らえられ、教授父娘もろともコンテナ船は沈められることになった。
AYAKOの妨害に遭いながらもなんとか田岡たちを追跡し、単身助けに向かった鷹野。まさに沈んで行こうとしている船から田岡と教授父娘を助け出し、駆け付けたデイビッド・キムのヘリによって救出された。
AN通信は小田部教授の技術をMETに高値で売却し、METは革新的なエネルギー事業を立ち上げることになりった。
黄は逮捕されCNOXは解体された。
そして、AYAKOはインドでラジーヴのために新しい研究所を設立した。
過去パート
高校生の鷹野一彦は柳勇次とともに南蘭島でAN通信のエージェントになるための訓練を受けていた。18歳になると島を出て正式にエージェントとなる。
映画の見どころと原作との違い
敵の攻撃だけでなく、自分に埋め込まれた起爆装置の制限時間とも戦わなくてはならない前代未聞のサスペンスムービー。
ドラマ版の最後で、AN通信のエージェント・山下竜二がアンディ・黄の一味に捕らえられブルガリアに拉致されます。鷹野と田岡に、山下を救えを言う指令が下り、2人が助けに行くところから映画は始まりますが、この攻防アクションがどえらい迫力!!
トム・クルーズのミッションインポッシブル?と思うくらいのアクションがずっと続くので、最初から最後までハラハラドキドキしっぱなしです。
列車を貸し切りで走らせたり、高速道路を封鎖したり、大爆発を起こさせたりというのは、ブリガリアだからこそ実現できた演出とのこと。羽住監督がほれ込んだブルガリアの荒廃した街並みなどの魅力もふんだんに取り込まれているのは、実に映画ならではですね。
撮影の半年前からトレーニングを積んでいたという藤原竜也さんと竹内涼真さんの出来上がった肉体美も、スタントマンなしで撮影されたアクションシーンも、見どころ満載です!
市原隼人さん演じる山下竜二は原作には登場しないオリジナルキャラですが、ドラマから引き続きAN通信を知るのになくてはならないキャラクターです。
他にも太陽光パネルの新原料を開発したのがインドの少年だったり、コンテナ船に閉じ込められるのが小田部教授と娘と田岡だったりと少し変更が加えられていますが、過去のパートと相まって鷹野が田岡を救うために決してあきらめない姿に感動する構成になっています。
『森は知っている』と一緒に映像化されたのにはこういう意図があったのねと大納得することでしょう。
最後にヘリコプターで助けに来たキムが鷹野に手紙を渡すのですが、これもまた一つの感動を一緒に届けてくれます!
映画『太陽は動かない』視聴方法は?
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【2024年5月15日時点の情報となります。 配信が終了している可能性がございますので、オフィシャルサイトにて必ず最新の情報をご確認ください。】
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