映画『隣人X 疑惑の彼女』原作小説のあらすじとネタバレ

惑星Xからの避難を余儀なくされ地球にたどり着いた「惑星難民X」。人間をスキャンして人間として地球上で生活している。アメリカが難民として受け入れると発表して以来、日本でも受け入れを容認する動きが活発化してきた。

大企業の派遣社員として働く土留紗央、コンビニと宝くじ売り場の2つのバイトを掛け持ちする柏木良子、ベトナムからの留学生グエン・チー・リエン。生きづらさを抱えた3人の女性の生活はゆるく交錯していく。

果たして「惑星難民X」がいることは彼女たちの人生にとって大切なことなのか?そもそも「惑星難民X」は本当にいるのか?それを暴くことに意味はあるのか?

さまざまな疑問を投げかけてくる第14回小説現代長編新人賞受賞作。

【主なキャスト(敬称略)】
上野樹里:柏木良子
林遣都:笹憲太郎

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『隣人X』のあらすじ

世間は連日「惑星難民X」についての話題で持ち切りだった。

内乱が生じ宇宙への避難を余儀なくされた惑星Xの難民が、多く地球に到来しているという。「惑星難民X」は本来無色透明で、対象物をスキャンして取り込むことができるのだという。つまり完全に人間の形として存在できるということだ。

アメリカが「惑星難民X」を受け入れると発表して以来、この話題がニュースに上らない日はなく、ついに日本でも「惑星難民X」を受け入れる法案が可決された。

就活に失敗し大企業の派遣社員として働いている土留紗央(つちどめさお)。社員証をなくしてしまった…。警察にも問い合わせたけれど見つからない。

昨夜は憧れの先輩・智子から声をかけられ、普段は参加しない飲み会に参加したのだ。智子は留学するとかで間もなく退職すると言っていたので話をしたかったのだ。

飲み会からの帰り道、さすがに飲み過ぎたようでバッグの中身を道路にぶちまけてしまった。通りかかった親切な男がいっしょに拾ってくれて冷たいペットボトルの水まで買ってくれた。

たまたま帰る方向が同じだったので紗央と男は同じ電車に乗り、好きな作家の話をした。紗央の降りる駅に到着し、これでお別れだと思ったら、男は電車を降りてきて紗央をお茶に誘った。

紗央と男性はカラオケルームに行って歌ったりお酒を飲んだりしていたが、そのうち男が荒れ始めた。ついにはナイフを取り出したので紗央はなりふり構わず必死で逃げた。

あの時社員証を落としたのだとしたら、男が乗り込んでくることも考えられる。どうすればいいのか頭を抱えていると、最寄りの交番から社員証が見つかったと連絡があった。

早朝のコンビニで働く柏木良子(りょうこ)、45歳。早朝、仕事に向かっている途中、社員証を拾った。過去に学生証を落としたときの記憶がよみがえる。

大学3年生のとき交通事故を起こし、示談金や車の修理代を稼ぐためにキャバクラでバイトした。古閑(こが)という若手実業家に気に入られ、デートのようなものをしたことがあった。

店が終わってから古閑と食事をしたりお酒を飲んだりした後、良子は古閑から暴力を受けた。ボロボロになって帰宅したあと、警察から連絡があり学生証を落としていたことを告げられた。

良子は拾った社員証の写真の女性に見覚えがあった。もしかしたら来店するかもしれないと期待して待っていたが来なかったので、バイト上がりに交番へ届けた。

良子は大学を卒業して就職してからというもの体の関係の男には切れ目がなかった。自分でも自己嫌悪に陥るけれど、そんな生活から抜け出すことができなかった。早朝のコンビニと午後からの宝くじ売り場という掛け持ちパターンで心の安定が得られるようになったのは3年前だ。

今、良子は笹憲太郎という33歳の週刊誌の記者と付き合っている。笹は良子の両親に会ってみたいと言ってくれていた。

グエン・チー・リエンはベトナムからの留学生。ワンルームアパートを4人でシェアして、学校に通いながらコンビニと居酒屋で働いていた。早朝のコンビニバイトが終わってから学校に行く。

リエンが留学する決意をしたのは又従兄のロンのアドバイスがあったからだ。ロンは日本で理工系大学院を出て日本で就職した後、現在はハノイの日系企業で働いている。ロンは「とにかく勉強しろ」と繰り返しリエンに言っていた。

拓真とは居酒屋のバイトで知り合った。拓真の腕には蓮の花の刺青があった。ベトナム語でリエンは「蓮」を意味する。その話をした夜、リエンは拓真と結ばれた。

拓真は音楽の夢を追っていて、ライブができることになったと嬉しそうにリエンに話してくれた。リエンは自分が彼女面をしてライブに行っていいのかどうか迷った。ところが拓真はライブの後の打ち上げで、リエンを何のためらいもなく「彼女」と紹介した。

メンバーの会話には全くついていけなかったが、ベースの彼女・マリナがゆっくり話しかけてくれてたのだけが救いだった。拓真と電車を降りた駅で、リエンは拓真の前で激しく泣いてしまった。拓真は優しくリエンを抱きしめた。

笹が良子の両親に会うことに乗り気だったので、良子は1年半ぶりに実家に帰省することにした。

実家に向かう新幹線の中で、笹が書いた記事の中に古閑の写真を見つけた。良子の心はざわついた。

駅に着くと母の麻美が迎えに来てくれていた。家に着くと父の紀彦がエプロンをして料理をしていた。一見和やかに食事がすすんでいるようだったが、良子は笹の顔色が冴えないことを見逃してはいなかった。

その日以来、笹との連絡は次第に途絶えがちになっていった。

宝くじ売り場のシフトを交代して急遽休みになったので良子は自分の部屋のベッドに転がっていた。すると鍵の開く音がして笹が入ってきた。良子がいない間に荷物を取りに来たのだと思うとやりきれなくて、笹に向かってパジャマや靴下を投げ付けた。

1月1日、笹は惑星難民Xを捕まえる夢を見ていた。正月だというのに会社に向かい郵便受を開けると、年賀状に混じって白い封筒が届いていた。

封筒の中には「惑星難民X」という切り貼りした文字と一緒に一人の初老の男の写真が入っていた。背景から場所を特定した笹はすぐさま男の身元を割り出した。柏木紀彦、75歳。良子の父親だ。笹は紀彦が良子の父だと知った上で良子に近付いていたのだ。

母親からの電話で良子は紀彦が「惑星難民X」として週刊誌に取り上げられていることを知った。しかもその記事を書いた合馬川武は笹のペンネームである。マスコミは良子の元へも容赦なく押し寄せた。

紀彦は自分でも日本人なのか「惑星難民X」なのかわからないし証明するものも何もない、ただ穏やかに生活したいだけだと記者たちに話した。妻の麻美はDV男の子を妊娠してしまった自分を受け入れ自分の娘として良子を育ててくれたことを心から感謝しており、これから先も紀彦といっしょに生きていくと涙ながらに叫んだ。

世間の矛先は出版社に向き、笹は自宅には帰ることができなかった。1週間ぶりに自宅に戻ると、アパートの前には髪を黒く染めた紀彦が立っていた。紀彦は、小さかったから記憶にないかもしれないが笹も「惑星難民X」だと明かして去っていった。

リエンはバイトの休みが続いていた良子を心配してメールをしていた。それ以来良子とは親しく付き合えるようになった。拓真は一緒に住もうと言ってくれて、今はとても幸せだ。

紗央は9月いっぱいで仕事を辞め、小説を1つ書き上げようと決心していた。長い間会っていない父親にも会いに行こうと決めた。宝くじを買おうと思って売り場に行くと、窓口の女性に見覚えがある気がした。

良子は紗央がいつも利用しているコンビニで働いていることや社員証を届けたのは自分だと話した。紗央はお礼と言ってスクラッチくじを1枚良子に渡した。

良子の元に笹から「話をしたい」と連絡があった。スクラッチが当たったら話を聞こうと、良子は決めた。

「惑星難民X」は最近になってその存在が取り沙汰されているが、実は1900年代にはすでに地球での定住を始めていた。X同士のいさかいはあっても、Xが人間に危害を加えるようなことは一度もなかった。

「惑星難民X」はそうやって人間の世界で今も穏やかに暮らしている。

映画『隣人X 疑惑の彼女』の見どころと原作との違い

自分の隣にいる人が、もしかしたら地球外からやってきた「惑星難民」だとしたら…。発想はとてもトリッキーですが、外国人や難民の受け入れという実際の私たちの生活に深くリンクしている物語です。

異なる場所で異なる価値観で生きていきた人は、果たして味方なのか敵なのか。見た目だけでは区別できないとき、何を根拠に「味方」か「異物」かを判断するのか?そんなことを判断することに意味はあるのか?

「惑星難民X」を受け入れるかどうかについて国をあげて議論し、巷でも人々の口に「惑星難民X」の話題が上る訳ですが、最後に突きつけられるのは実はもうずっとずっと昔から「惑星難民X」は地球上で暮らしていて、自分が「惑星難民X」であることも知らない世代までもがいるという事実。

原作では柏木良子の父親が「惑星難民X」という疑惑を向けられるのですが、映画では良子自身が「惑星難民X」とみなされて笹が近づいてくるようです。

そうすると物語の結末も少し違った形になるのかな?

それでも小説も映画も、どこで生まれたかとかどこで育ったかということは、人と人との繋がりに大して意味を持たない議論するに値しないことだと教えてくれるのだと思います。

リエンを抱きしめるバンドマンの彼にきっと心温まる瞬間をもらえるんじゃないかな。

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