法律家を目指しロースクールに通う久我清義。ある日、清義の過去を暴露する紙が配られた。そして織本美鈴の元には執拗な嫌がらせが繰り返されていた。
犯人はまるで清義と美鈴の「過去」を知っているかのようだ…。
時を経て、ロースクールの同級生だった結城馨が死んだ。馨のそばで真っ赤な血に染まりうずくまっていたのは美鈴だった。
ロースクール時代の「無辜ゲーム」は事件に無関係ではなく、衝撃の事実が隠されていた。
第62回メフィスト賞を受賞した驚愕の法廷ミステリー。
【主なキャスト(敬称略)】
永瀬廉:久我清義
杉咲花:織本美鈴
北村匠海:結城馨
「無辜ゲーム」とは?
「無辜(むこ)」とは、罪のないこと、また、その人。
法都大ロースクールの模擬法廷で行われる「無辜ゲーム」。裁判長席に座っているのは、このゲームを作った結城馨。
結城馨はすでに司法試験に合格しているにもかかわらず、法都大ロースクールに入学してきた異色の経歴の持ち主である。
告訴人は自分に降りかかった被害を特定し、罪を犯した人物を指定する。
様々な証拠から審判者が告訴者の主張を認めた場合、犯人は罰を受けることになる。
しかし、告訴人と犯人との主張に食い違いがあった場合、無辜の人間に罪を押し付けようとした告訴人が罰を受けることになる。告訴人も罰を受ける可能性があるということだ。
「無辜ゲーム」を仕掛ける者は刑罰法規に反する罪を犯し、そのサインとして天秤のマークを残すことになっている。
科される罰は「同害報復」を基本としている。
「無辜ゲーム」にはまた、審判者が不正を働くと審判者にも罰が下される「無辜の制裁」というルールが存在する。
小説『法廷遊戯』のあらすじ
法都大ロースクールの久我清義(きよよし)は結城馨に「無辜ゲーム」の開廷を申し込んだ。
自習室にいた清義がちょっと席をはずした間に、ビラが配られたようだ。そのビラには児童養護施設「けやきホーム」の前で撮られた写真と、「けやきホーム」に入所していた高校1年生の少年が施設長をナイフで刺した傷害容疑で逮捕された新聞記事が印刷されていた。
写真で丸を付けられた少年の横には「久我清義」と書かれていて、ビラの最後には天秤のイラストが添えられていた。
これは実際に清義が過去に犯した罪を暴いたものだ。清義に対して誰かが「無辜ゲーム」を仕掛けてきたのだ。
警察や学校に密告するか、耐え忍ぶか、ゲームを受けるか…3つの選択肢の中で清義が選んだのは「名誉棄損」で告訴することだった。
清義は自習室で隣に座っていた織本美鈴(みれい)に証人をお願いした。
ところが美鈴はビラは清義が席を外している間に配られたものではないと言う。
ビラは清義がいる間に配られており、飲み会の案内が書かれた紙を剥がすと問題の写真が現れるシール印刷になっていた。
清義は飲み会の案内の紙を配った藤方賢二を犯人として指定し、馨は勝者を清義、敗者を賢二と認定した。
清義は賢二に写真と記事の出どころを問いただしたが、賢二のロッカーに放り込まれていたと言うだけで誰がやったのかということまではわからなかった。
清義が満員に近い電車に乗っていた時のこと。スーツの男性の背後で不自然な動きをする女子高生に気付いた。
女子高生が何をしようとしているのかに気付いた清義は、停車した駅で女子高生の手首をつかんで電車を降りた。
女子高生は初め「痴漢冤罪詐欺」を認めなかったが、最後には「生きるためだ」と言った。
清義は、生きるために罪を働くのは仕方がないが無辜の人間に罪を被せることだけはやってはいけないと、強く主張した。
女子高生は清義の主張を聞き入れ、名前を佐倉咲だと教えてくれた。
清義は美鈴の部屋に向かった。実は清義と美鈴は同じ児童養護施設「けやきホーム」の出身だが、関係を周りにも隠している。
ビラに載っていた写真には当然、美鈴も写っているのだが化粧もしていない女子高生姿に誰も気づかなかったようだ。
美鈴のアパートに行ってみると、美鈴の部屋のドアのドアスコープにアイスピックが刺してあった。美鈴に聞くと、アイスピックには清義のことを書いてあったビラと同じ写真が天秤のイラスト入りで括りつけてあったらしい。
これは清義と美鈴に突きつけられた「無辜ゲーム」。犯人は誰なのかも目的もわからないが、戦わなくてはならない。
賢二が、飲み会の会費が無くなりその封筒が安住尊の机から出てきたと主張して「無辜ゲーム」が開かれることになった。
証拠不十分で賢二の負けが決まると、怒った賢二は法壇にいる馨に詰め寄っていった。その瞬間、馨は折りたたみナイフを取り出して机に突き立てた。
凍りつく模擬法廷の中で馨は言った。今朝、馨が模擬法廷に来たら机に天秤のチャームが付いた折り畳みナイフが突き立ててあったと。
明らかに馨に対する「無辜ゲーム」の申込みだと思われたが、馨は犯人が特定できない以上「無辜ゲーム」を受けるつもりはないと言い切った。
清義が美鈴のアパートに行くと、美鈴は近くの公園から自宅アパートを見張っていた。犯人は平日の一日おき、午後4時ごろに決まって同じ内容を印刷した紙を美鈴の郵便受けに入れるらしい。
15分経っても誰もアパートを訪れた様子がなかったので、清義と美鈴はアパートへと戻った。しかし、郵便受には今日も同じ紙が入っていた。
くり返される嫌がらせに、美鈴は盗聴器の有無まで調べたが、盗聴器は見つからなかった。
馨は「無辜ゲーム」の審判者をやめると清義に言った。机に突き立てられたナイフに何の意図があるのかわからないが、馨は万が自分が死ぬようなことがあったら、父親と祖父が眠っている墓にリンドウの花を持って参ってほしいと清義に頼んだ。
清義は馨に「無辜ゲーム」に告訴できない美鈴の身の回りで起こっていることを話した。馨の推測から確信を得た清義は、美鈴のアパートへと走った。
犯人は同じアパートに住んでいる…。
美鈴の上の部屋のドアが開いていて、段ボールを運んでいる男がいた。上の部屋は空き部屋だと思っていたのにいつからいたのか?
清義は男に話しかけた。のらりくらりと会話をかわす男の脇をすり抜けて部屋に入ると、思ったとおり部屋の床には穴が空いており、お椀型の集音器がはめ込まれていた。
集音器からは何本ものコードが伸びておりパソコンに繋がれていた。美鈴の部屋を盗聴していたことは一目瞭然だ。誰にも聞かれていないと思って正義と美鈴は聞かれてはいけない話をしていた。
男は誰かわからない人物から依頼を受けていたと言い、何でも屋の佐沼だと名乗った。しかしそれ以上何も聞き出すことはできなかった。
それ以降何も起きることなく、清義と美鈴はロースクールを修了し、無事に司法試験にも合格した。約1年の修習を受け、清義は弁護士として法律事務所の内定をもらった。
そんな時、馨から「無辜ゲーム」を開催するというメールが届いた。土曜日の午後1時にロースクールの模擬法廷で。
清義が時間に少し遅れて模擬法廷に着くと、証言台の前には天秤のチャームの付いた折り畳みナイフを胸に突き刺された馨が倒れていた。書記官席の陰には血まみれになった美鈴がいた。
美鈴は清義に「弁護人を引き受けてほしい」と言った。
清義は内定していた就職を蹴って「ジラソーレ法律事務所」を立ち上げた。事務員として働くのは佐倉咲。
美鈴は逮捕され、起訴されることになった。「無罪」を主張するけれど、美鈴は清義に対しても多くを語ってくれない。
美鈴は何でも屋の佐沼を探してほしいと言った。確か佐沼はホームレスに聞けば自分の居場所はわかると言っていた。
権田聡志というホームレスが墓荒らしで捕まり、清義は国選弁護士として担当することになった。権田はお墓のお供え物を食べて、花立などを盗んでは換金していたらしい。
換金した金は誰かの墓の中に骨壺と一緒に保管してあると言う。
権田に佐沼のことを聞くと「知っている」と言う。権田は佐沼の居場所を教える代わりに保管してある金を取ってきてほしいと言った。
清義が誰の墓に隠しているのかを聞くと、驚くべきことに”権田聡志”の墓だと言った。
墓地に行ってみると、確かに権田聡志の墓が存在していた。
犯罪をくり返し逮捕された権田が帰って来ないことを、妻は幼い娘に父親は死んだと嘘をついた。お墓まで建てて…。
出所した権田は自分のお墓に住み、離婚した妻は食べ物をお供えとして何十年も届けてくれていたのだった。
清義は権田のお墓に現れた元妻に事情を説明し、お墓の中のお金を取り出させてほしいと言った。そのお金を元妻に渡してほしいと権田に頼まれたのだが、元妻は拒否した。
元妻とのやり取りを権田に告げると、権田は佐沼の居場所を教えてくれた。
佐沼は清義のことを覚えていた。清義が鎌をかけると、美鈴に嫌がらせをしたり部屋を盗聴するのを依頼していたのは馨だったと白状した。
清義は馨の実家を訪ねた。母親の話によると、馨の父は前科があり父の逮捕をきっかけに馨は法律の世界にのめりこんでいったようだ。
母親は父親の罪が書かれた新聞記事を清義に見せた。そこには衝撃の事実が記されていた。
しかも馨の父親が亡くなったのは馨が亡くなる1か月前だったという。馨が清義に父親と祖父の墓参りをしてほしいと頼んだのは1年以上前のことだったのに…。
馨の父親は自殺だったらしい。馨は父親が死ぬことがわかっており、その後自分が死ぬことも予期していたに違いない。
美鈴の裁判が始まった。第一回公判では清義は、馨の父親がかつて有罪判決を受けたのは冤罪で、陥れたのは美鈴だと主張した。
つまり父を犯罪者に仕立て上げた美鈴を、馨は恨んでいたのだと。
第二回公判では3人の証人を請求した。法都大ロースクールのクラスメイトだった八代公平には「無辜ゲーム」について証言してもらった。
2人目の証人・佐沼には馨の依頼を受けて美鈴に嫌がらせをしたり盗聴したりしていたことを証言してもらった。
そして3人目の証人・馨の母親からは、馨が父親は冤罪だと主張していたことや、父親が精神を病んで何度も自殺未遂を繰り返していたことが述べられた。
第三回公判期日、美鈴は事件が起こる2週間前に嫌がらせや盗聴は結城馨が犯人であるという告発文を受け取ったことを述べた。
美鈴は真相を確かめるために馨にメールを送った。すると馨からは模擬法廷で会おうという返信が返ってきた。
模擬法廷で起こった一部始終は馨によって全て録画されSDカードに保存されていた。そのSDカードは美鈴から清義に手渡されていたが、美鈴は馨から聞いたパスワードを清義にさえも教えていなかった。
美鈴は公判が始まるまでパスワードは教えないと馨と約束していたと言い、法廷でパスワードを解除して映像が確かめられることとなった。
SDカードに保存されていた映像が決め手となって、美鈴は無罪の判決を受けた。
隠された真実とは?
ここから先は大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。
映画の見どころと原作との違い
物語冒頭からからいきなり主人公の清義の過去の犯罪暴露から始まり、物語には常に不穏な空気が漂い続けます。
用意周到にはりめぐらされた伏線に隠された事実。それらが複雑に入り組んだ見事なサスペンスでした。
馨は命を懸けてまで司法に一石を投じ、美鈴は罪を隠して生きていく道を選び、清義は罪を受け入れる決意をした…。
3人の決意のどれが正しくてどれが間違っているなんて言うことはできなくて、ただただ虚しさを感じえない物語でした。
事件は解決したように見えるけれど、全然ハッピーエンドなんかではありません。
登場人物の過去と現在、複雑に絡まり合った伏線。映像化するのはすごく難しい作品だと思います。
映画を見た者に何を届けてくれるのか、どんな感想をもつのか、大いに期待したですね。
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