
『日日是好日』『Mother-マザー-』の大森立嗣監督が芦田愛菜ちゃんと描く新しい世界。原作は今村夏子さんの小説です。
「いい」とか「悪い」とか、「正しい」とか「間違ってる」とか、そんな概念だけでくくれない家族の形。それに翻弄される娘。
原作小説と同じく、見た後の感想が大きく分かれそうな気がします。
余白の部分から、見る人が何を感じるか、もしくは何も感じないのか…。ちょっと見るのが怖い映画かもしれないと思ってしまうのは私だけかな…。
キャスト
林ちひろ:芦田愛菜
両親から深い愛情を受けて育ってきましたが、自分の両親が周りと違うと気づき始め、悩み葛藤しながら、必死で生きていこうとする中学3年生の女の子。
両親の愛に包まれて育ち、自分自身も両親を愛しているのに、募っていく違和感に翻弄される少女を6年ぶりの実写映画主演の芦田愛菜ちゃんが怪演してくれます。
天才子役から本格女優への一歩を踏み出した、記念すべき一作です。今まで信じていたものが揺らいでくる、子どもから大人へと変わっていく姿を見事に演じています!
ちひろの両親:永瀬正敏・原田知世
病弱だったちひろの病気を治した「奇跡の水」とそれを販売する「あやしい宗教団体」を妄信しています。
そこにあるのはただひたすらに娘を思う”愛”でしかないんだけど…。
親戚からも絶縁され、どんどん貧乏になっていくのに、この夫婦は幸せそうで愛にに満ちています。
実際のお揃いの緑のジャージの夫婦が間の前に現れたら、南先生のように恐怖に似た違和感を感じるかも…。
南先生:岡田将生
ちひろが一目ぼれする南先生は、物語の後半でちひろに対して牙をむきます。これがもしかしたら、怪しい宗教を目の前にした一般的な反応なんだろうか…。
映画のあらすじは?
物語は、原作通りに進んでいきます。↓こちらを参考にしてくださいね。
未熟児で生まれて病弱だったちひろを抱えて、全身の湿疹に何を試しても効き目がなく、ただ泣くことしかできなかった両親を救ったのが「金星のめぐみ」という水でした。
大好きな両親からたっぷり愛情を受けて、幸せに暮らしているように見えますが、怪しい宗教に両親がのめりこんでいくにつれ家はどんどん貧乏になり、姉のまーちゃんは出ていってしまいます。
思春期を迎えたちひろも、自分の家は何だかよそとは違う…特殊な家庭なんじゃないか…と気付き始めます。
あこがれの先生には、緑のジャージを着て頭に水をかけあっている両親を見られて「変なのが、2匹いる」と言われてしまいます。辛すぎて家に帰ることもできません。
そして、大事件が…。
映画の見どころと感想
この映画の一番の見どころは…
家族の中に”狂気”と”純粋さ”そして”優しさ”が同時に存在していることです。
ちひろは賢くていい子なんだけど、なんだかちょっと変わっています。イケメンの先生が転任してきたら、中3にもかかわらず「テニス部に入る」と言い出したり、友だちのなべちゃんの彼氏・新村くんを気に入ると「新村くんと結婚していい?」と言ってみたり。
15歳にもなるとある程度、空気を読んで「これは言ってもいいけど、これは言わない方がいいな」と言葉をチョイスできるようになってくるものですが、ちひろは思ったことをそのままに言ってしまうところがある女の子です。
でもそれは、それまで両親からあふれんばかりの愛情を受けて、否定されずにすべてを受け入れられて育ってきた証でもあるように感じます。
「水」の力を信じて疑わない両親の姿には怖ろしさすら感じますが、両親はただひたすら、ちひろのことを全身全霊で愛していて、家族としての平穏を願っているだけなんですよね…。
その部分だけ切り取ってみると、本当に幸せな仲のいい家族以外の何物でもない。だからちひろも両親のことが大好きだし、離れることなんて考えていません。
でも本当にそれでいいのかな。
小さいころは普通の家に住んでいたのが、すんごい狭いボロ家に引っ越してるし、ちひろの修学旅行のお金は親戚から借りないと出せないし、食べるものにも困っていて、人からもらってくるものに半ば頼っている状態。どこからどう見ても「貧乏!」っていう状態。
教団の幹部である昇子さんがちひろに「あなたがここにいるのは自分の意志とは関係ないのよ。」という場面があります。「神の意志」だったり「両親の意志」だったりするという意味なのでしょうが、私はそれを聞きながら「ちひろには自分の意志で選ばせてあげて!」と心の中で叫んでしまいました。
教団では禁止されているコーヒーをちひろが飲んでいるときも「そうそう!もっと自分でやりたいことを好きにやっていいよ!」って…。
たとえ、ちひろがそうしたとしても、この親子の絆ってそう簡単に揺るがないと思うのよね。ちひろはどんなことがあっても両親を捨てたりしないし、感謝しながら生きていくのだと。
だから、雄三おじさんの家に住むようになればいいなぁ。
きっと南先生のように、心ないことを言ったり攻撃してきたりする人はこれから先も現れると思うから、ちひろには一度両親と距離をおく生活をさせてあげてほしいなぁ。教団を辞める、っていう意味ではなくってね。
最後のシーンはきっと両親もそうしていいんだよってちひろに言いたかったんだと思うんだけど。
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