高校生の朔田美波。偶然、門司昭平と大好きなアニメが同じだということがわかった。急接近する2人。
門司くんの家で見つけたお札は美波が実父からもらったものと同じでした。美波は探偵をしているという門司くんの兄・明大に協力してもらって実父をさがすことにしました。
青春×部活×アニオタ×家族×父探し×教祖×兄(?)×恋愛…という、何が起こってもおかしくない状況でも、ふんわりゆるっと解決してしまう優しい物語。
てんこ盛りのテーマをミックスして出てくる答えは「優しさ」「ゆるし」です。
【主なキャスト(敬称略)】
上白石萌歌:朔田美波
細田佳央太:門司昭平
豊川悦司:藁谷友充(美波の実父)
千葉雄大:門司明大(昭平の兄)
『子供はわかってあげない』というタイトル
まず、この意味深なタイトルに心惹かれます。
有名なフランス映画「大人はわかってくれない」をもじってあるのはわかるんだけど、いったいどういう意味?ってなりますよね。
全20話の上下2巻。作者の田島列島さんが2か月こもりっきりでネーム(お話の下書きみたいなもの)を描き上げた渾身の作品!
漫画を読むと、高校生の2人の成長を描いた作品だということがわかります。
20話目のタイトルが「Children grow up by understanding」
直訳すれば「子供は理解することによって成長する」という意味です。これこそが、漫画のメインテーマ。
それに対してメインタイトルの「わかってあげない」というのは、能動的な意思を感じるというか、少し挑戦的なニュアンスも含んでいるような感じがします。いわゆる思春期にありがちな、「僕、反抗期ですけど」的な。
でも子供の場合、言葉と心の中が一致しているかというと、必ずしもそうではなくて、むしろ反対の方が圧倒的に多かったりします。ほんとめんどくさい(笑)
「わかってあげない」って悪態つきながら、実はちゃんとわかって、受け入れて、ゆるして、大人への階段を上っていく。それを成長というのかな。
盛りだくさんにいろんな問題をぶっこんでくるけど、根底に流れるテーマはただ一つ「受け入れて、ゆるす」という優しい漫画です。
『子供はわかってあげない』のあらすじ
水泳部の朔田美波。部活の練習をしていると、校舎の屋上に誰かがいるのが見えます。気になって行ってみると、そこにいたのは同級生、書道部の門司昭平。
しかも、みなみの大好きな『魔法左官少女バッファローKOTEKO』のパネルを描いているではないか!!趣味がかぶって2人は大接近。
門司くんの家に行ったときに、みなみは玄関でお札を拾ってドキッとします。なぜなら、自分もそれと同じお札を持っているからです。去年の誕生日に〈実の父〉が送ってきたものでした。
ずっと気になっていた〈実の父〉の存在。門司くんのお兄さん・明大が”探偵”だと聞き、みなみはお父さん探す決心をします。
門司くんと一緒にお兄ちゃんを訪ねると、出てきたのは女性!?門司くんのお兄ちゃん・明(あき)さんは性転換しておじいちゃんに勘当されていました。
〈実の父〉の手がかりは「藁谷(わらがい)」という苗字と、新興宗教のお札と、筆跡から左利きだろうということだけ。
みなみ達が帰ると入れ替わりにやってきた二人の男性。教団の金を持ち逃げした教祖を探してほしいといいます。その新興宗教「光の匣」の教祖の名前は「藁谷友充」といいました。
教団の資料を読んでわかった、教祖の知り合いを訪ねて歩き、明さんはついに「藁谷友充」を見つけました。みなみは水泳部の合宿に参加すると嘘をついて、明さんと一緒に〈実の父〉の元へ向かいました。
〈実の父〉は昔、指圧師をやっていたときの師匠である阿堀さんのところにいました。〈実の父〉は「人の心を読む」という不思議な力を持っていて、それを人々に教える新興宗教の教祖をしていたと話してくれました。
みなみが「教団のお金を持ち逃げしましたか」と正面切って聞くと、〈実の父〉は「お金が欲しい子がいて、その子がお金を隠した」と言いました。
一方、明さんは「光の匣」教団本部を調査していました。真犯人は教団内にいると読んだ明さんは、隠したお金と真犯人を見つけ出していました。
水泳部の合宿期間が終わっても帰ってこないし、携帯を水没させて連絡が取れないみなみのことが心配で、門司くんは〈実の父〉の元へみなみを迎えに行きます。
お母さんは、みなみが合宿に行っていないことに気付いていました。みなみが〈実の父〉のところに行っていたことを正直に話すと、お母さんは許してくれました。
最後は、みなみは門司くんに、門司くんはみなみに「好きです」と伝えて、ハッピーエンド♪
映画『子供はわかってあげない』視聴方法は?
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映画の見どころ
基本はみなみと門司くんの青春と恋愛の物語なのですが、そこに父探しや新興宗教、資金の盗難、兄の性転換…と、高校生にはハードボイルドすぎるんじゃね?レベルの試練が次々と起こります。
でもそこは、深掘りしたりこじらせたりすることなく、さらさら~っと解決していきます。そういうおもしろさは求めちゃダメダメ。
この漫画はむしろ、解決する過程より、解決した事実を受け入れるところがポイントなのです。
門司くんとおじいちゃんは性転換した明くんを、みなみは超能力を持っていて教祖なんぞをやっている〈実の父〉を、お母さんは嘘をついて〈実の父〉に会いに行ったみなみを、教団のひとはお金を盗んだ犯人を、お父さんお母さんはお金を盗んだ息子を…みんな、許して受け入れてあげるんですよ。
すご~く優しくてあったかい。こんなこんなビックリするような事件、自分の身の回りで起こるなんて考えられないけど、こんなレベルの試練でもふわ~っと受け入れることができる、懐の大きい人になれたらいいなぁ。
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漫画は上下2巻で完結。映画のノベライズ版も刊行されています。
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