『朽ちないサクラ』の続編『月下のサクラ』あらすじとネタバレ

親友の死に直面し独自に調査をしていた森口泉、真実を明らかにするためには警察官になるしかないと思い立ち、ついに警察官となった。

泉が起動分析係へ配属された初日、本部内で盗難が発覚する。調べれば調べるほど警察内部の者による犯行としか思えない。

『月下のサクラ』は『朽ちないサクラ』の続編です。『月下のサクラ』だけを読んでも物語として成り立ってはいますが、泉の心情、そして不穏な「サクラ」の影については『朽ちないサクラ』を読んでからの方がより面白さが増すと思います。

『朽ちないサクラ』を読んだ方にはもちろん続編お勧めです!

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『月下のサクラ』のあらすじ

めでたく念願の警察官となった森口泉。交番、交通課勤務を経て刑事になったのが33歳の時。県警捜査支援分析センター・機動分析係への配属を希望していが、尾行追跡テストで失敗しその夢は打ち砕かれた。

ところが機動分析係長の黒瀬仁人警部が強引に泉を推したらしく、泉は晴れて機動分析係へと配属された。配属初日、会計課の金庫にあった現金がなくなっていたという、あろうことか警察署内での盗難事件が発覚し、署内は騒然となった。

なくなったのは詐欺事件の押収品、9530万円。会計課の香取京子の職務怠慢で、事件が発覚するまでの約2か月間、箱の中の現金を全く確認していなかったことがわかり、機動分析係は2か月分の防犯カメラを解析することになった。

約1億円もの現金となると重さは約10キロ、大きさもかなりになる。内部の人物による犯行なのか、または内部に協力者がいるとしか考えられない。

署内には防犯カメラはないので機動分析係の係員は出入り口の防犯カメラを徹底的に調べた。駐車場の映像を調べていた泉は妙なことに気付いた。早期退職した前会計課長の保科賢吾が本部を訪れていたのだ。

確認してみると退職してから事件発覚までの2か月間に保科は4回、しかも土日祝日に本部を訪れていた。保科の銀行口座を調べると退職前に約3000万円あった借金が退職後にまとめて返済されていることや年老いた母親が介護付き有料老人ホームに入所していることがわかった。

刑事課も保科に張り付いているが、機動分析係も独自に保科を調べることにした。保科は母親の面会に行ったり買い物や食事に出るだけで、不可解な行動は見られなかった。

泉は保科を見張っているうちに、ベージュのセダンが保科に張り付いていることに気付いた。刑事課ではない。黒瀬に呼び出され何人かの人物の写真を見せられた。泉がベージュのセダンに乗っていた男2人を指し示した。

2人の男はソトニ(警視庁公安部外事第二課)の捜査員だった。ソトニとはアジア圏内のテロやスパイ活動の捜査を担当する組織だ。なぜ保科の身をソトニが?

翌日、黒瀬は泉と共に中央署の生活安全部少年課の林課長に会いに行った。黒瀬は林に中央署で逮捕した詐欺事件の受け子のリストがほしいと言った。林は拒否したが、黒瀬は昔の恩を持ち出しなんとか説得した。

黒瀬と泉が本部に戻ろうとすると、保科が自宅で遺体で発見されたとの連絡が入った。保科の遺体のそばにはウイスキーと睡眠薬が置かれていた。自殺?現場に真っ先に臨場したのが公安だったと聞いて、黒瀬はまた不穏な空気を感じた。

保科の司法解剖の結果、足の甲に注射痕のようなものがあり爪からは専門的な衣類にしか使用されないNBR(合成ゴム)が検出された。

黒瀬と泉が本部に戻ると、黒瀬に詐欺事件の犯人を隠避しているとの情報から謹慎処分が言い渡された。明らかに黒瀬の動きを封じ込める動きが本部にあった。一体誰が?何のために?

泉は黒瀬に代わって、林のところへ逮捕者リストを取りに行った。黒瀬じゃないと渡さないという林をなんとか説き伏せ、リストを受け取って帰ろうとすると、機動分析係の市場哲也が泉を待ち受けていた。

泉と市場は謹慎中の黒瀬に会いに行った。黒瀬は部下の安全を最優先するために独自捜査するつもりのようだったが、泉と市場は決してそれを許さなかった。

県警本部長の大須賀定光には県内随一の進学校に通い東大を目指している光大という息子がいる。その光大が詐欺の受け子として逮捕された飛田優樹と親しくしているという噂があった。

詐欺グループの黒幕はヤクザが名前を変えたカネコ船貨整備商会であり、その裏で手を引いているのは中国人詐欺グループであることは警察官なら周知の事実だ。公安部外事第二課が出てくるということは本部内の盗難事件と詐欺グループがどこかで繋がっているということに違いない。

本部長まで関わっているかもしれないとなると、これ以上この事件に関わるのは捜査員の今後の処遇や命にも関わってくるかもしれない。それでも黒瀬を信じ黒瀬の復帰を願う機動分析係のメンバーは捜査を続けることにした。

機動分析係の執念の捜査で大須賀光大が中国人詐欺グループのメンバーの李浩宇と会っていることをつかんだ。。

事件の真相と結末

ここから先は大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。

事件の真相は
大須賀本部長は光大が詐欺グループと関わっている事実をもみ消し、口止めするために詐欺グループにも多額の金を渡していた。

保科は本部長に雇われ金庫から金を盗み、報酬として得た金で借金を返済し母親を老人ホームへ入所させた。

保科の足に残っていた注射痕と爪に残されたNBR片からも保科が殺されたことは間違いない。保科を殺したのはおそらく公安…。公安の目的は元締めである中国の詐欺グループを一斉摘発すること。目的を達成するためには個人の命などなんとも思っていないのが公安、ということを泉は千佳の事件で身に染みて知っている。

保科や大須賀本部長を逮捕できても元締めを逃すことは公安では許されないのだ。保科が死んだ現場に公安が一番に臨場したことがその証拠だ。

泉の行動は
泉は大須賀本部長と直接対話することになった。身の危険が考えられるのでGPSを装着していたが、GPSは簡単に見つけられ捨てられてしまった。

屈強な男2人が脅しながら、大須賀は泉をどこかの倉庫に連れていった。

泉がここまでの捜査でわかった事実と導き出した事件の真相について話すと、大須賀は息子の光大を将来裁判官にするためであり、そのことは日本を正しい道へと導くことになると吠えた。

断罪の機会を奪われた人間が正義を貫くことはできないと反論した泉を大須賀は殴りつけた。泉は大須賀の手に噛みついたが2人の男に羽交い絞めにされて暴行を受けた。

殺される…そう思った瞬間、重機が扉を壊して大勢の警察官が入ってきた。大須賀と2人の男は現行犯逮捕され、泉は一命を取りとめた。

泉のGPSが捨てられた後、機動分析係のメンバーは黒瀬に助けを求めた。黒瀬はカネコ船貨整備商会の倉庫に急行するように副本部長に直談判したのだった

『月下のサクラ』感想

磯川くん、出てこなかったな。『朽ちないサクラ』でかなり距離を縮めた2人のその後が気になっていたのは私だけなんだろうか。どこで出てくるかなと期待していただけに残念(ToT)

このシリーズは「正しい正義」と「間違った正義」について深く考えさせられてしまって、やっぱりモヤモヤが残ったまま読み終えることになるんですよね。どんな大義名分があっても誰かの犠牲の上になり立ってはいけないと思うんだけど、違うのかな。

それでも『朽ちないサクラ』の最後で警察官になることを決意した泉が、まさに自分の信念を全うする物語はかなりハラハラドキドキで読み応えは抜群でした。そこはさすが柚月裕子さんです!

モヤモヤは払拭されませんが(むしろ増してしまうかも?)、『朽ちないサクラ』を読んだ方はぜひ『月下のサクラ』も。泉が場面を写真のように記憶する特殊能力を得ていたり、当然ですが使命感に燃えていたりとパワーアップしてるのでおもしろさもアップしてますよ!

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