セカコイ続編『今夜、世界からこの涙が消えても』あらすじとネタバレ

真織の親友、綿矢泉。高校を卒業して大学生になった泉に「好きです」と告白してきた後輩の成瀬と付き合うことになった。

ただし「私を本気で好きにならないこと」という条件付き。

恋人ごっこで満足するはずが、どんどん泉を好きになっていく成瀬。だけど泉にはどうしても忘れられない過去の恋愛があるようだった。

世界を感動の渦に巻き込んだ『今夜、世界からこの恋が消えても』には、もう一つの切なすぎる恋が隠されていました。

必ず『今夜、世界からこの恋が消えても』を先に読んでね!

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『今夜、世界からこの涙が消えても』のあらすじ

大学2年生になった綿矢泉。泉には忘れられない恋がある。

親友の日野真織の彼氏だった神谷透。前向性健忘という病気のために記憶を翌日までとどめておくことのできない真織に寄り添い、真織の日記を楽しいことで埋めることだけに青春を捧げた優しい男の子。

その透は今はもうこの世にはいない。

大学生になったばかりの成瀬はどこか寂し気で凛とした美しさをまとった泉に一目ぼれしてしまったようだ。

それ以来、成瀬は大学内で泉の姿を探しては話しかけた。

成瀬が「大恋愛とかしたことなさそうですよね」と言うと、泉から返ってきた返事は「君が知らないだけだよ」と。微笑む泉はどこか悲し気だった。

優しい男は嫌いという泉に勢いで「好きです」と告白してしまった成瀬。泉は「私を本気で好きにならないこと」を条件に付き合うことにした。

恋人ごっこが始まり、成瀬と泉は映画を見に行ったり水族館に行ったりした。一見楽しそうに過ごす泉だったが、やはりこんな恋愛ごっこはやめようと言い出し、2人はそれっきりになってしまった。

夏休みに入り、大学入学を目指して予備校で頑張っている真織は、泉の大学を訪れた。用事があるという泉を真織は図書館で待つことにした。

泉と真織が歩いているのを見かけた成瀬は、真織がひとりになったのを見計らって、勇気を出して話しかけた。

真織は成瀬と泉が少しの間だけど付き合っていたことも知らなかったし、泉の高校時代の大恋愛のことも知らなかった。

自分の知らない泉の話に驚いた真織は、また時間をとって話したいと、成瀬と連絡先の交換をして別れた。

3日後、真織と成瀬は会って話をすることになった。泉と成瀬の経緯を詳しく聞いたが、真織は高校時代に泉に彼氏がいたという話も好きな人がいたという話も聞いたことがない。

真織は家に帰ってから高校時代の日記を読み返してみたが、それらしいことも何も書いていない。それとなく泉に聞いてみたりもしたけど、泉は好きな人なんていなかったというばかりだ。

真織は忘れてしまっているだけだけど、高校時代にも何度か真織は泉に「透くんのこと好きだったりする?」と聞いていた。泉の気持ちが真織は手に取るようにわかっていたのかもしれない。泉はそのたびに否定していた。

高校生活最後の文化祭の日、真織は熱を出して欠席した。泉は透から一緒に文化祭を回ろうと声を掛けられた。

自分の恋心に蓋をするために透には近づかないと決めていたのに…泉は自分の気持ちに嘘をつくことはできなかった。

2人で催し物を回りながら、実は透は写真に興味があることを話した。

泉は「私を撮ってみてよ」と自分のスマホを透に渡した。透が撮った写真には心の底から幸せそうに笑う泉の姿が切り取られていた。

楽しかった一日が終わりを告げる。教室に戻るために階段を上りかけた泉が不振り返ったとき、泉の唇が透の頬に当たった。

透と別れたあと、泉は真織に声を掛けられた。体調がよくなって学校に出てきたのだと言う。

真織は楽しそうに話す泉と透の姿を目撃していた。「透くんのことが好きなの」と聞く真織にもう嘘はつけなかった。

泉は透のことを好きだと認めた上で、透がどれほど真織を大切に思っているか、泉にとってそんな2人がどれほど大切な存在なのかを真織に話して聞かせた。

そして高校を卒業して間もなく、透は突然この世からいなくなってしまった。

透との約束通り、真織の日記から透の存在を全て消し去った。真織の中に透の記憶は残っていないはずだ。

だけど泉には透の存在が今も大きく残り続けていた。

真織の前向性健忘が突然回復の兆しを見せ始めた。そして真織が宝物のように隠していたクロッキー帳を見つけた。そこには透が描かれていた。

泉は透の姉で芥河賞作家の西川景子と相談して、真実を真織に話すことにした。

景子と会って、泉は自分の抱えきれない想いもすべて吐き出した。

景子は小説を書くことを勧めてくれた。泉は透を忘れるために、透の物語を綴ることにした。

まずは謝ろうと思って成瀬を探すと、成瀬はアパートも引き払って休学しているとのことだった。メッセージを送ってみると、成瀬は一日中バイトをしているようだった。

泉は書き終えた小説を投稿し、真織は無事に大学に合格したと知らせがあった。

大学3年生になり就職活動にも忙しくなり始めた夏の日、泉は自分が応募した雑誌の受賞欄を見て固まった。

写真部門の佳作欄には『終氷神谷透という名前があった。

物語の感動の結末は?

ここから先は大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。

神谷透の正体は?
自分の目で確かめてほしいと、泉は景子に招待されて授賞式に出席することになった。

神谷透の名前で現れたのは、泉のよく知る成瀬透だった。

受賞するに至った経緯は?
真織と話して泉が小説を書いていることを知った成瀬は、泉が敬愛してやまない西川景子が選考委員を務める文学賞を主催している雑誌を買った。

そして小説だけでなく写真や絵も募集されていることを知った。

成瀬は小学生の頃から写真を撮ることが好きで中学校では写真部に所属していた。今ではプロの写真家として活躍している先輩の桜井から「写真は作るものだ」と教えられたが、その時は正直よくわからなかった。

成瀬は生まれて初めて、優しいだけが取り柄の自分を変えたくて、何か特別なものがほしいと本気で思った。そして桜井を訪ねた。

1年の期限付きで桜井の助手として働きながら写真を教えてもらうことになった。大学は休学した。

撮るのは「泉」、そう決めていた。凍りついた泉に朝日が差し込むことによって氷が割れる瞬間を写真に残そうと決めた。

大学受験が終わったと真織から連絡が来て、成瀬は複雑な真織の過去の事情を聞くことになった。

真織の話を聞いて成瀬は確信した。「優しい人は嫌い」と言った泉はきっと神谷透のことが好きだったのだと。

どうしても泉に気付いてほしくて、成瀬は”神谷透”の名前で応募することにした。

その後の2人は?
授賞式の会場で顔を合わせた泉と成瀬。

成瀬は全てを知った上で、神谷透のことを忘れる必要なんてないと泉に言った。そして泉を心から笑顔にしたいのだと。

2人は今でも一緒にいる。

『今夜、世界からこの涙が消えても』の感想

前作の『今夜、世界からこの恋が消えても』もそうでしたが、全体から愛があふれ出ている、そんな物語でした。

単なる男女の愛とか友情とかそんな単純なものじゃないんですよ。言葉にできないくらいの深い慈しみの気持ちとか、そういう類の大きな愛です。

この物語、ぜひ手に取って読んでほしいなぁ。いい人しか出てこないので「んな訳あるかい」と言いたくなる方もいるかもしれませんが、泉や真織や成瀬くんが語る言葉が本当に優しすぎて、心に染みわたってきます。

付き合っていたわけでもない完全な片想いだったけれど、大切な人を突然失ってしまって苦しむ泉に「忘れなくていい」と言える成瀬くん、かっこよすぎる!

死んでしまった人にはどうやったって敵わない、見えない相手に嫉妬するのが普通だと思うんだけど。それだけ成瀬くんは自分に自信をつけて、泉を笑顔にしたいと本気で思っているんだと感動さえ覚えます。

『今夜、世界からこの恋が消えても』とはまた違った大きな愛を感じてください!

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