原作小説『今夜、世界からこの恋が消えても』セカコイのあらすじは?

なりゆきで付き合い始めた透(とおる)と真織(まおり)。「本気で好きにならないこと」という条件を付けて始まった偽りの恋のはずでした。

真織のことを愛おしいと感じはじめた透は、真織から衝撃の真実を告げられます。真織は「前向性健忘」という病気で、夜眠ると一日の記憶を全て失ってしまうのでした。

一日限りの恋の思い出を毎日作り直す透と真織は、それでもキラキラとまぶしい日々を紡いでいきました。

そんな日がずっと続いていくと思っていたのに…。

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小説のあらすじは?

神谷透(かみやとおる)、父と二人暮らしで家事全般なんでもする高校2年生。前の席に座る下川くんがいじめの標的になっているのを見ていじめグループに「いい加減にしろ」と異議を唱えた。

主犯格の男はいじめをやめる代わりに、透に交換条件を出した。
日野真織(ひのまおり)に告白してこい」

透は後で事情を話して謝ればいいと思って条件を飲んだ。それが、まさか受け入れられるなんて。ただし真織から条件が、3つ提示された。

1.放課後になるまではお互い話しかけないこと
2.連絡のやり取りは出来るだけ簡潔にすること
3.私のことを本気で好きにならないこと

翌日、透は正直に告白の経緯を真織に話したが、疑似恋人っていうのも面白いかもと条件付きの恋人として付き合うことになった。

真織は透の誕生日や家族構成、好きな食べ物などいろいろ質問してはスマホにメモした。2人で写真を撮ったり一緒に下校したり、放課後はまるで本当の恋人同士のように過ごすようになった。

真織の親友の綿矢泉も合流して3人で遊ぶこともあった。泉は最初、透が真織に告白したことに難色を示していたけれど、どうやら認めてくれたみたいだ。でも疑似恋愛であることは泉には内緒。

透の家で3人でお茶しながら話すことになった時には、透のいれたレディ・グレイの紅茶を2人はとても気に入ってくれた。泉が透の好きな作家・西川景子が好きだということもわかった。

付き合い始めて2度目の土曜日、透と真織は初めてデートをすることになった。透が作ったサンドイッチと紅茶を持って公園に出かけた。

透はその頃にはもう真織のことを充分好きになってしまっていて「好きになってもいいかな」と思わず口にしてしまった。

真織の答えは「だめだよ」、そして衝撃の事実を告げた。

真織は事故による前向性健忘という病気で、夜眠ると一日の記憶を全て失ってしまう。毎朝5時に起きて、日記と手帳を読んで日々の出来事を予習してから1日が始まる。

透は、自分が好きと告白したことも真織が病気について話したことも日記には書かないでほしいと言った。疑似彼氏でもいいから真織と一緒にいたかった。

真織の日記を楽しいことだけで埋めてあげたい。透はそう考えて、翌週は真織がやりたいと言っていた自転車の2人乗りを楽しんだ。

土曜日は泉も交えて3人で水族館デートをすることになった。待ち合わせの時間より早めに着いた透は本屋に向かった。そこで目にした「西川景子サイン会」のポスター。

のぞいてみると西川景子が透に気が付いた。西川景子は実は透の姉・神谷早苗だった。

早苗に話したいと言われ、透は泉に西川景子が姉であることと水族館には遅れていくことを伝えた。

母が亡くなって、中学1年生から早苗は家事をしながら小説家になる夢を追い続けていた。6歳下の透は中学生になると家事を少しずつ覚えていき、透が高校に入るタイミングで早苗は家を出た。

その半年後、西川景子は文芸界新人賞をとり、今では芥河賞候補として世間で騒がれている。

互いに近況を報告し合って、透は真織と付き合い始めたことや前向性健忘という病気のことも話した。

翌週はテストが迫っていることもあって、透と真織は図書館でお勉強デートをすることになった。真織は勉強しているふりをしながらずっと透の顔をスケッチしていた。

テストが終わって夏休み。絵を描く楽しみを再認識した真織は毎日クロッキーを続けていた。夕方には透のいる図書館に来て2人でおしゃべりをしたりショッピングをしたりして、毎日会っていた。

8月12日、芥河賞の発表の日。透と真織と泉は朝からドキドキしていた。発表が夜の7時から8時頃になりそうだと聞いて、泉の提案で真織の家に行くことになった。

もちろんご両親には内緒。泉が挨拶している間に透はこっそり真織の部屋に上がった。芥河賞の発表は3人で見た。

西川景子『残滓』
早苗は芥河賞を受賞した。

透が家に帰ると、父が「西川景子は早苗じゃないのか」と聞いてきた。早苗は父には何も言わずに家を出ていたので、今さらその事実を知ってショックを受けているようだった。

小説家になることは父の夢でもあった。でも透は知っていた。父は小説を書いてはいるけれども、出版社に送ってもいないことを。傷つくことから逃げていることを。

それでも父はちゃんと自分の弱さと向き合い、早苗に「おめでとう」を言った。

夏休み最後の日は2人で花火大会に出かけた。普通の恋人同士がするようなありきたりなことをして、真織は人生にこんなに楽しい日がくるなんて信じられなかった。

透と真織はそうやって日々を紡いでいった。

3人はそろって高校を卒業し、透は就職、泉は大学生に、真織は絵画教室に通いながらそれぞれの道を進むことになった。春休みのある日、透は泉にとても重大なことを告げた。

そして、愛しい日々は突然終わりを告げた。

2人に何が起こったのか?

ここから先はネタバレを含みますので、知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。

透が泉に話したこと
透は詳しい心臓の検査を受けることになった。母親も心臓病で亡くしている透は、万が一のことを泉にお願いした。

「僕が死んだら、日野の日記から僕を消去してほしい」

真織の記憶障害のことを考えると、透という人間は初めからいなかったことにした方がいいと考えたのだった。

そして本当に、透はその翌日「心臓突然死」でこの世を去った。

泉は透に頼まれていたことを早苗に相談した。早苗は、真織の日記と手帳の内容から透を全て消して、パソコンに真織と泉の思い出として書き換えてくれた。

たくさんの写真が残っているスマホは不具合が起こったことにして新しい物に換えた。真織の書きためたノートとスマホとクロッキー帳は泉が大切に保管することになった。

真織のそれから
事故からちょうど3年後の4月、真織の記憶障害は突然回復の兆しを見せた。丸々3年分の記憶をすっぽりなくしてしまっているものの、順調に回復し普通に日常生活を送れるようになっていった。

真織は大学を目指そうと予備校にも通い始めた。

記憶がない3年間の日記を読み返してもどこかモヤモヤする気持ちが晴れないと感じていたある日、真織は秘密の隠し場所からクロッキー帳を見つけた。

そこには優しそうな男の子が描かれていた。誰なのかもわからないのに心臓がドキドキした。

泉は包み隠さず、透とのことを全部教えてくれた。

記憶が丸々抜け落ちてしまっているはずなのに、なぜか真織には時々、透の話した言葉や一緒に見た景色の記憶がよみがえってくることがあった。

真織が新しく描き始めたクロッキー帳には優しい目で笑っている透が描かれていた。どんな写真にも映像にも残っていない、隣にいた人にしか描けない透の姿がそこにはあった。

小説を読んだ感想

こんなにも悲しくて、強くて美しくて優しい物語があるでしょうか。

毎日記憶を失ってしまう真織のために、新しい思い出と明るい未来を作ってあげることに全てを注いだ優しい優しい男の子の物語。

「忘れる」ということは人間の生活には必要なことなのだと思います。でも「忘れる」というのは、たぶん記憶から削除されることではなくて、どこかにしまわれていることなんだと改めて思いました。

音や匂いや景色で呼び起こされる記憶って、きっと誰にでも経験があることでしょう。

真織の中の透も、そんな風にどこかに大事にしまわれていて、悲しい思い出としてではなく真織の心の支えになってくれる優しい思い出として存在しているのですね。

命はもちろん、人と人のつながりもいつかは失うものであって、それがいつのことなのかがわからないのが私たちの生きている世界。

後半部分は悲しくて読めなくなるかと思いましたが、読後感はとても温かです。

きっと、大切な人には大切に思う気持ちを、感謝を伝えられていない人には「ありがとう」を、そして大好きな人には「大好きだよ」って伝えたくなりますよ!

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透と真織の愛おしい日々にぜひ触れてください!
2022年12月5日時点の情報となります。 オフィシャルサイトにて必ず最新の情報をご確認ください。

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