櫻いいよの胸キュン恋愛小説『君が落とした青空』あらすじとネタバレ

付き合い始めてまもなく2年を迎える実結と修弥。修弥の自分に対する気持ちに自信が持てず、実結は落ち込みすぎて笑えなくなっていました。

ある日の放課後、一緒に映画館に向かう途中で「用事ができた」と去って行こうとした修弥が、実結の目の前で交通事故に遭ってしまいます。

パニックになりながら実結が目覚めたのは、再び”今日”の朝…。

櫻いいよさんのデビュー作であり「切ない小説ランキング」で1位を獲得した胸キュンの恋愛小説

誰でもきっと一度は経験したことがあるのに、大人になるにつれて忘れてしまう、相手のことを好きになればなるほど不安になっていく気持ちや素直になれない気持ちがぎっしり詰まったラブストーリーです。

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小説のあらすじは?

その日は朝からついていませんでした。朝から雨だし、昨日の残りのカレーが朝ごはんに出てきて、手を付けなかったことでお母さんとは大ゲンカ。おまけに小テストは散々…。

昼休み、ため息をつきながら過ごす実結のもとに修弥がやってきて「放課後映画に行こう」と誘いましたが、実結はついつい不機嫌な態度で修弥に当たってしまいました。

実結と修弥は中学校2年生から付き合い始めて、もうすぐ2年になります。最近はデートの回数も減って2週間に1回くらい…。修弥にとって自分は本当に必要なのかな、と最近の実結は心穏やかではありませんでした。

その気持ちを後押しするかのように「修弥くんが同じクラスの女の子と、深夜一緒に歩いているのを見た」という話が実結の耳に届いて、もはや諦めモードに突入。

一緒にいた子は修弥と同じクラスのトモカという子で、ふわふわの髪に大きな瞳の誰が見ても可愛いとしか言いようのない女の子です。

映画の前に何か食べようということになってファーストフード店に入りました。修弥はトイレに直行してしまい、混んでいる店内で席を見つけようとした実結は、濡れた傘を思いっきり人にぶつけてしまいました。

男の子の制服がびしょ濡れになったのを見て実結は慌ててハンカチを出しましたが、男の子は優しく「大丈夫だから、もう気にしないで」と言い、トイレから戻って不機嫌な顔をしている修弥にもぺこりと頭を下げました。

店を出て足早に歩いていく修弥を追いかけながら「あの人の方が優しかったな」とついイヤミが口をついて出てしまい、修弥はますます不機嫌になっていきます。

その時、修弥の携帯電話が鳴りました。電話に出た修弥が「わかった、今から行くわ」と言うのを聞いて、実結は不安になり修弥を問いただしました。

修弥が「ごめん、ちょっと用事。映画は来週」と言ったのを聞いて悪態をつきまくった実結に、大きなため息をつきながら修弥は去っていきました。

修弥に背を向け「もうどうでもいい」と唇をかんだ瞬間…。

キイィ!ドン!

車のブレーキ音に続いて何かがぶつかる音、そして人々が叫ぶ声が聞こえてきました。

歩道に乗り上げて止まったトラックの傍らには、目を閉じた修弥が横たわっていました。雨があたりを真っ赤に染めていきます。

実結は動かなくなった修弥の名前を呼ぶ以外に何もできませんでした。

2度目の困惑

お母さんの大声で目が覚めた実結は、心臓がドキドキしていました。修弥が目の前で事故に遭ったのは夢だったの?

朝ごはんのカレーを見て驚きすぎて目が覚めました。電車を降りると親友の佐喜子が話しかけてきたのも夢と同じで、不安になった実結は修弥が生きていることを確かめに修弥のクラスに行ってみました。

教室をのぞいているところを修弥に見つかって、世界史の資料集を借りにきたと嘘をつくと、よりにもよってトモカが貸してくれて、複雑な気持ちで教室に戻りました。

4時間目にはやっぱり小テストがあって散々だったし、昼休みには修弥が「映画に行こう」と誘いに来るし、リアルな夢をなぞっているようで、実結は胸騒ぎが止まりません。

ファーストフード店は混んでいて、実結はトイレに行った修弥を待つ間に籍を探そうと思いましたが、誰かにぶつかるような気がして動くことができませんでした。

人がぶつかってきて倒れそうになる実結でしたが、ぶつかった人が腕をつかんでくれて何とか体勢を持ち直しました。互いに「ごめんなさい」を言い合いながら、この人は夢でぶつかった人なのかなと、記憶を手繰り寄せようとしましたが顔は思い出せませんでした。

修弥の携帯電話が鳴り、今日の終わりが近づいていることに確信を抱いた実結は「ダメ!行かないで!」と必死で懇願しましたが、修弥は「ほんっとごめん!マジでオレ急ぐから」と実結に背を向けて走っていってしまいました。

そして… キイィ!ドン!

 実結の目の前には夢と同じ光景がありました。

3度目の抵抗

お母さんの大声で目を覚ました実結。さすがに2度も同じ経験をして、もうこれは夢ではないと思えて来ました。私は“今日”をくり返している?

朝ごはんのカレーを残さず全部食べると“今日”が変わるかもしれないと、無理やり押し込んで完食し学校に向かいました。

小テストが散々なのも修弥が映画に誘いに来るのも”昨日”と同じ…。もしかしたら”結末”を変えられるかもしれない…そう思って実結は修弥の誘いを断ることにしました。

放課後、実結は友達と一緒に校門を出ていく修弥のあとをこっそりつけていきます。

修弥と友達は”昨日”実結と修弥が入ったファーストフード店に入っていきました。友達の中にはトモカの姿もありました。

トモカと楽しそうに話す修弥を店の外から見つめながら、実結は泣きたい気持ちになってきました。

さらに最悪なことに電話をするために店の外に出てきたトモカに見つかってしまいました。「修弥を呼ぼうか?」と言われても「やめて!」と怒ったように返してしまうことしかできず、実結はさらに落ち込んでいきました。

友達を店に残してトモカと2人だけで出てきた修弥を見て「うわさは本当だったんだ…」と絶望を感じた実結は、もう動けなくなっていました。

そのとき… キイィ!ドン!

聞いたことのある音が聞こえてきました。

慌てて駆け寄ってみると、倒れた修弥の隣に座りこんで修弥の名前を呼び続けるトモカの姿が見えました。

修弥の隣にいるのは私のはずなのに…。

4度目の足掻き

また同じように”今日”が始まる…。カレーは半分も食べられなかったし小テストは散々だったし、昼休みには修弥が映画に誘いに来ました。

”結末”を変えなくちゃいけない…その一心で修弥と映画に行く約束をしたけれど、何をどうすればいいのかわからない…。

映画に行きたくないだの、携帯電話を切ってほしいだのと修弥にお願いしてみるものの「お前、今日おかしいぞ」と言われ、修弥の機嫌はどんどん悪くなっていきます。

誰かとぶつかりそうになって修弥に引き寄せられてドキドキしていると、修弥の携帯電話が鳴りました。

「悪い、用事できたから、映画はまた今度」と言われ、実結は声を振り絞って「ヤダ、行かないで…今日は…」と言いました。

修弥は実結が何を聞いても「用事」の一点張りで、実結の願いを聞き入れてはくれませんでした。

トモカに会いに行くのだろうという嫉妬も手伝って、実結は「行くなら…別れる」と口走ってしまいました。修弥は「意味わかんねぇ、勝手にしろ」と怒って背を向けて去っていきました。

そして… キイィ!ドン!

「別れる」と口にしても止まってくれなかった修弥。もう修弥なんてどうでもいい…実結はそんな気持ちになっていました。

5度目の諦め

また”今日”が始まってしまいました。もうどうすればいいのか実結にはわかりません。

実結がどんなに止めても修弥はきっとトモカを選ぶんだ…というあきらめの気持ちに支配されて、”今日”という日に抵抗する気力も失ってしまっていました。

そういえば付き合って1年目の記念日も修弥は覚えていなかったっけ。実結はプレゼントを用意して楽しみにしていたのに、その日は修弥と一度も顔を合わせることもなく、友達と帰っていく修弥の姿をひとり淋しく教室の窓から見ていました。

あの時からもう修弥の気持ちは冷めていて、2人の関係は狂い始めていたのかもしれない…。

放課後、修弥と映画に向かいながら頭の中はグルグル…。「すみません」と声をかけられて振り向くと、毎回出会う男の子が「これ、落としましたよ」とハンカチを差し出してきました。

修弥が不機嫌なのもいつもと同じです。そのとき、修弥の携帯電話が鳴りました。「用事ができた」という修弥に、実結は「うん」としか答えられませんでした。

「修弥、別れよう。じゃあ…バイバイ」

行かないで、一緒にいてほしいという気持ちが全く反対の言葉となって口から出てきました。

修弥から離れると少しは気が楽になるかと思いましたが、心の痛みは増すばかりです。

「待って…」と小さくつぶやいた声は、トラックのブレーキ音にかき消されてしまいました。

6度目の意識

ふたたび目覚めた朝。”昨日”別れを告げたときの修弥の辛そうな顔が頭から離れなくて、実結は動くことができませんでした。

学校を休みたくてもお母さんが許してくれなくて、実結はゆっくりと学校に向かいました。

もう遅刻間違いないという時刻。声をかけられて振り返ると、そこには修弥の姿がありました。「映画に行こう」と誘われて、実結は返事をすることができませんでした。

修弥が元気のない実結の額に手を当てようとして、実結は驚いてのけぞってしまいました。でもこんな風に修弥を近くに感じたのは久しぶりで、実結はドキドキしていました。

気分がすぐれなくて保健室で休もうと思った2時間目。佐喜子もついてきてくれて、実結と一緒にさぼることになりました。

佐喜子は元気のない実結の話を聞いてくれました。噂を笑い飛ばせるほど修弥からの気持ちに自信がないこと…壊してしまう方が楽だと思ったけれど、本当は修弥にずっとそばにいてほしいこと。

佐喜子は、中学の時に修弥と実結が仲がいいことをみんなの前で冷やかされて、そのはずみで修弥が「じゃ、付き合おっか?」と言ったときのことを、たまたまじゃなくて、修弥が仕組んだことだと教えてくれました。

修弥はずっと実結のことが好きだったんだと言います。

いつもなら待ってるだけなのに、今日は実結から修弥のクラスに迎えに行ってみました。出てきた修弥はいつになく嬉しそうに笑っています。

実結が思わず「いつも笑ってるね」と言うと、修弥は「笑ってた方が今日は楽しかったんだなーって感じするだろ。笑顔でまた明日とかいう方が、次を楽しみにしてるみたいだし」と言いました。

そんな風に思っている修弥の隣にいるのがいつも仏頂面の自分でいいのか不安になり、トモカのことを聞いてみようと思った瞬間、修弥の携帯電話が鳴りました。

「悪い」と言って立ち去ろうとする修弥に、実結は泣きながら「どこにいくの?誰の…ところに…行くの?」と聞きました。

泣きだした実結にびっくりした修弥は「お前が泣くようなことは何もないから。バイト遅れるから、悪い」と言って走って行ってしまいました。

バイト?そんなの聞いてない。バイトって何?混乱する実結の耳に聞こえてきたのは、またあのトラックのブレーキ音でした。

最後の笑顔

ふたたび”今日”が始まりました。あんな風に修弥とお別れするのは嫌だ、もしかしたらもう”今日”は来ないかもしれないと思った実結は「諦めない」という決意で”今日”を過ごすことにしました。

朝ごはんのカレーを残さず食べて家を出て、学校に着くと修弥の教室を訪ねました。

修弥を探しているとトモカが声をかけてきて「修弥くんを待ってるの」と聞かれて、完全にパニックになった実結は思わず「修弥とどういう関係ですか?」と口走ってしまいました。

きょとんとするトモカに、実結はさらにパニックになって「あ、いや、修弥が、バイト…」と言うと、トモカは「あれ?知ってるの?」と言いました。

実結が知らないことをトモカが知っていることにショックを受けた実結を見て、トモカかは笑顔で謝りながら、修弥は実結を驚かせるためにバイトを始めたことや、トモカが自分と同じバイト先を紹介したことを教えてくれました。

勇気を出して、深夜に修弥とトモカが一緒に歩いていたという噂のことを聞いてみると「バイトの帰りかな」という答え。それでも不安げな実結の顔を見て、トモカは「実は私、バイト先の社員さんと付き合ってるの」と教えてくれました。

そこへ修弥が登校してきて、実結は「お昼ごはん一緒に食べない?」と言いました。

雨が降っているので実結と修弥は体育館に忍び込んでお昼ご飯を食べて話をしました。

修弥は、ずっと実結のことを好きで気持ちを確かめるのが怖くてみんなの前で冷かされた勢いで付き合おうとしたことや、付き合って1年の記念日を忘れていて実結をがっかりさせたので2年目は実結を驚かせるためにバイトを始めたことなどを話してくれました。

放課後、映画に向かいながら実結から「手、繋いでいい?」と言い、修弥は歩きながら実結の笑った顔が好きで一目ぼれしたという話を聞かせてくれました。

突然人が飛び出してきて実結にぶつかりました。毎回”今日”に出てきてぶつかる優しそうな男の子です。男の子は丁寧に謝って去っていきましたが、案の定修弥はご機嫌は斜めになっている様子です。

修弥がやきもちを焼いているの?…と、実結が修弥をぽかーんと見つめていると、修弥はふいに実結を引き寄せて、頬にキスをしました。

ファーストフード店でたくさんおしゃべりをしてたくさん笑って、宝物のような時間を過ごしていると、修弥の携帯電話が鳴りました。

バイトに急に入らなくてはならなくなったと、修弥は去って行こうとします。実結は泣きそうになるのをこらえながら、笑顔で「また明日」と言って見送りました。

走り去っていく修弥に「好きだよ、修弥」と実結が叫ぶと、驚きつつも修弥は「おう、俺も好き」と笑顔で応えました。

そして、ブレーキ音が今日も鳴り響きました。

”今日”は変えられなかった…実結は修弥の元に駆け寄りました。「修弥…」と呼ぶと、修弥は少しだけ目を開けて「…み、ゆ?」と返事をしました。

”昨日”までは一切目を開けることがなかったのに。赤い血を流してはいるけれど”昨日”とは違う…。

修弥は「大丈夫だから」と言って実結を見て笑いました。実結は修弥の手を握りしめて、泣きながら精一杯の笑顔を作りました。

足元の水たまりには、きれいな青空がひろがっていました。

小説の感想

いや本当に、青い!青春真っただ中という感じの恋愛小説です。

大人になって忘れてしまっていたけれど、そういえば付き合っているのに不安で不安でしかたがなくて、こんな思いするなら片想いの方が楽しかった…っていう経験確かにあった。

一人で考えているとどんどん悪い方へ悪い方へと妄想が膨らんでいって、とんでもない結論を出してしまうことって、大人になってもあることです。

それが相手の気持ちとなると、もう本人に聞くしか本当のことはわからないのに、勝手に考えて決めつけてしまうのはどうしてなんでしょうね。

物語は実結がひたすら負のスパイラルへとはまっていって、修弥の秘密は実はこっそりバイトをしていることという、実にわかりやすいというか想像通りの展開です。

でも読んだ後、きっと清々しい気持ちになりますよ。

小説なので”笑顔”はもちろん見えないんだけど、最後は青空の下で2人が笑顔で見つめ合ってるシーンが頭の中に浮かんできて、なんだかホッとします。

明日が来ることは当たり前だと思ってるけど、実はそうじゃないこと。気持ちは口に出して言わないと伝わらないこと。

胸キュンだけじゃなくて、そんな大切なことを改めて心に刻んでくれる物語です。

若者たちにはぜひ読んでほしい1冊!

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