手をかざすだけで除霊ができる冷川理人と、幼いころから視えてはいけない不気味なものが見えてしまう三角康介。2人がタッグを組んで心霊現象を解決していく、ミステリーエンターテインメント!
…ということになっていますが、これ、なかなかの怖さですよ。
でも単なる怖いだけのホラーではなく、人間をしっかり描いたドラマなので、途中からは引き込まれていってしまいます。
祓える男 視える男 呪う女…。
彼らは望んでこんな力を手にしたわけではありません。その力のせいで失ってきたものも多く、人生に大きな黒い闇をもたらしています。
【主なキャスト(敬称略)】
岡田将生:冷川理人
志尊淳:三角康介
平手友梨奈:非浦英莉可
映画『さんかく窓の外側は夜』のあらすじ
幼いころから「視える目」を持つ三角康介は、実は幽霊が怖くて怖くて…できることなら見たくないし、一刻も早くその場を立ち去りたいと思っています。
除霊師の冷川理人は三角が「視える目」を持ってることに気付き、タッグを組むことを提案します。三角は視たくて視てるわけでもないし、第一怖すぎると一旦は断りますが、冷川の「私といると怖くなくなります」という言葉に妙に惹かれてしまい、一緒に仕事をすることになってしまいました。
冷川と親しい刑事の半澤に頼まれ、難解な殺人事件の手伝いすることになりました。1年前の殺人事件の被害者となった女性の遺体の一部がまだ発見されていないのです。その部品をつなげると一体の人間の形になると言います。
勾留中に自殺してしまった犯人の霊は、冷川と三角によって除霊される際に、犯罪の記憶と「ヒウラエリカに騙された」という言葉を残していきました。
その記憶をたどり、ある廃屋でツギハギの遺体を見つけた3人。事件から1年経つというのに、その遺体は腐っていませんでした。それは、呪いの装置と呼ばれるものでした。
ここでも聞こえた「ヒウラエリカ」と言う名前。「ヒウラエリカ」とは一体何者なのか。
半澤に連れられて向かったビルの一角。この場所で死んだ人や、足取りが途絶えた人が何人もいると言います。そこにはかつて感じたことのないほど負のエネルギーが渦巻いていました。
冷川はあろうことか、この貯金箱を利用して呪いと祓いを行うと効率的に金儲けができるなどと言い出しました。普通の感覚ではない冷川に反発して三角は冷川の元を去りました。
半澤が妻の冴子と出かけているとき、問題のビルの前に女子高校生がいるのを見つけ「ヒウラエリカさんですよね」と声をかけました。危険を感じた非浦英莉可は、半澤に呪いをかけようとしましたが、「呪い」そのものを信じていない半澤にはかかりません。
そこへ、半澤を呼びに来た妻の冴子。英莉可は冴子に呪いをかけました。目から黒い血を流した冴子は、生命の危機にまで陥ってしまいました。冴子にかけられた呪いは強力で、冷川の力をもってしても祓うことはできませんでした。
冷川と三角は突然車に連れ込まれ、英莉可の元へと連れてこられました。そこでは英莉可が体中の穴から黒い血を流して意識を失っていました。呪いが自分に跳ね返ってくる「自家中毒」です。
英莉可を助ければ冴子の呪いも解けるかもしれない、と冷川と三角は英莉可の自家中毒を解きました。冴子の呪いを解いてくれるように頼みますが、英莉可は、貯金箱の穢れはエネルギーが強すぎて無理だと言いました。
貯金箱?それは「神話の光」の教祖が基盤を作り、英莉可が穢れを増幅させている「呪いの装置」でした。
どうしても冴子を救いたい三角は、1人で「貯金箱」に向かいます。そこへ英莉可が現れました。英莉可は「私が貯金箱の入口を開いてあげる」と言いました。
その部屋はたくさんの「穢れ」がうごめいていました。三角が部屋の中で力尽きて倒れているところへ冷川もやってきました。「無理だ」と止める冷川に、三角はあきらめずに進んでいき、筒のようなものを見つけました。
その筒を手に取ったとたん、冷川が黒い血を流して気を失ってしまいました。
その筒のようなものはカレイドスコープで、幼かったころの冷川の宝物でした。冷川の記憶の中へと入っていく三角。そこには孤独な少年と異様な宗教団体が存在していました。
冷川少年がかけた呪いのせいで、殺し合う信者たち。三角が、かつて半澤から聞いた話を思い出して食堂に行ってみると、そこには冷川少年がうずくまっていました。
三角は冷川少年に話しかけます。「こんな俺たちでも何かできることがあると思う。俺を見つけてくれてありがとう。」と。そして「俺と一緒にいると怖くないですよ。」と。
貯金箱は浄化され、冴子の呪いは解けました。
折り重なる秘密とは?
冷川理人
幼いころから、手をかざすだけで信者の病気を治すという不思議な力を持っていたため、「掌光会」という宗教団体で「大掌様」と呼ばれる教祖として生きていました。
人に死に対しても何も感じないのは、施設内だけで育ったため教育を受けておらず、人としての倫理観や道徳観などが育まれなかったためです。
学校にも行かず母親からも引き離され、さびしい思いをしていた冷川少年は、母から誕生日にもらったカレイドスコープをのぞくことだけが唯一の安らぎでした。
そんな毎日に嫌気がさし、重圧からも逃れたい一心で、信者に呪いをかけてしまいます。
信者たちは教団内で互いに殺し合い、教団内は血の海と化しました。冷川の母親も、冷川の目の前で殺されてしまいます。
異臭がするという近所からの通報で警察が踏み込んだ時に、生き残っていたのは冷川少年だけでしたが、あまりにも凄惨な事件で、冷川は記憶をなくしてしまいました。
そして、母の血を浴びたカレイドスコープは、「お母さんが死んだのは自分のせいだ」という冷川の罪の意識により、負のエネルギーを蓄えた”穢(けが)れ”となり存在することになりました。
非浦英莉可
目の前で通り魔により母を殺されて、”呪い”の力が覚醒してしまった少女は、父が「神話の光」の教祖・石黒を妄信してしまったせいで、その力を利用されることとなります。
教祖・石黒哲哉は大物政治家や裏社会と繋がっており、不利益をもたらす者を、英莉可の呪いを使って次々と排除していました。
石黒は、実は「掌光会」の虐殺事件から逃げた生き残りで、逃げるときに冷川のカレイドスコープを持って出ていました。
そしてビルの一室に、このカレイドスコープを基盤とした”穢れの貯金箱”を作りました。英莉可の力で”穢れ”は”どんどん増幅していき、呪いの装置となっていきました。
しかし、英莉可は決してそんなことをしたかったわけではありません。友達もなく、誰かを呪うだけの日々。
誰かに気付いてほしい…そう願って、呪う時はあえて名乗っていたのでした。それに気づいてくれた冷川と三角。英莉可は2人の存在にかすかな希望を抱くのでした。
三角康介
三角は幼いころから”霊”が見えて、そのせいで「嘘つき」「うざい」などと言われ、いじめられていました。
ある日の小学校からの帰り道、同級生が用水路に入っていきましたが、三角にはその先に男の霊が立っているのが見えていました。
助けようとも思いましたが、怖さと信じてもらえないだろうという気持ちに負けて見殺しにしてしまった経験が、今でも三角の心の闇として暗い影を落としています。
三角形の痣
三角くんの腰あたりに、いつの間にか三角形の痣ができています。これは契約書を交わしたときに付けられた、冷川による封印です。
他の人や霊が三角の中に入れないようにするためのもので、「三角は俺の物」という冷川の強い意思表示です。
黒い血
呪いを受けると目から黒い血を流し、最悪の場合は死に至ります。呪いを解くには、呪いをかけた時に使った”穢れ”を祓うしかありません。
呪いをかける行為は体への負担も大きく、自家中毒に陥ります。軽いものであれば黒い鼻血が出る程度ですが、半澤の妻にかけた呪いは穢れのエネルギーが大きすぎて、英莉可でさえも意識不明に陥るほどでした。
最後の場面はどういう意味?
最後、割と衝撃的なカットで終わります。あれは森ガキ監督からのメッセージ。ぜひ映画で受け取ってください!
映画の見どころは?
原作漫画を読んだだけでも少し怖かったので、これ実写化されると相当怖いかもとビビりまくって鑑賞しました。
そう思って行ったらやっぱり怖かった。でもガッチガチのホラーという訳ではありません。むしろ人間ドラマとして描かれているので、ストーリーはしっかりしていて見ごたえはありました!最後の方は引き込まれていく感じ。
それぞれの辛くて暗い過去が次第に明らかになっていくにつれて、『怖い』気持よりも3人に寄り添うような『同情』に似た気持ちが生まれてきます。
霊を祓える男、霊が見える男、呪いを操れる女…特殊な力を持つ3人が出会うのは運命だったのかもしれませんね。
自分の意志に反して巻き込まれていっただけの弱々しい三角くんが、実は一番軸がしっかりした人間で、冷川のことも英莉可のことも全部受け止めてあげる姿は、本当に美しかったです。志尊淳さんだったから余計に際立っていました。
冷たい感じの岡田将生さんも、謎めいた存在感の平手友梨奈さんも、この映画のキャスティングは最高でしたよ!
志尊淳さんが「またこのメンバーで続編やりたい!」とおっしゃっていましたが、悪の根源みたいな教祖はそのままだし、英莉可はきっとまだまだ「呪い屋」を続けていかなければならないんだろうし…、こりゃ続編ありだなぁ。
映画『さんかく窓の外側は夜』視聴方法は?
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