原作小説『スイート・マイホーム』戦慄のあらすじと衝撃の結末

寒さ厳しい長野県で、清沢賢二は冬でも暖かい「まほうの家」を購入し、家族4人で何不自由なく仲良く生活していく…はずだった。

次々と起こる禍々しい出来事…。夢の我が家には、確かに何かがいる…。

心に負った傷がその人の精神を蝕んでいくとき、ある者は心を病み、ある者は記憶に蓋をし、ある者は妄想の世界に逃げ込んでしまう…。

人間の精神が病んでいくのは、実はそんなに珍しいことではないのかもしれない…。そう思うと怖さがどんどん増してきます。

ホラーと思いきや、ある意味どんなホラーよりも怖い衝撃のサスペンス!

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『スイート・マイホーム』戦慄のあらすじは?

スポーツジムのインストラクターをしている清沢賢二は、妻のひとみと娘のサチと寒さの厳しい長野でアパート生活をしていた。

ある時賢二の目に留まった一枚の広告。「まほうの家」と称されたその家は、冬でも家中どこにいても暖かく過ごせるのだという。

賢二とひとみは早速、住宅展示場に訪れてみることにした。展示場では本田という女性社員が対応してくれた。

本田の説明によると、床下で1台のエアコンが24時間稼働しており、温かい空気が壁と天井裏を循環して部屋を外側から温め続けるらしい。

ひとみと本田が話し込んでいる間、サチの子守をしていた賢二は甘利(あまり)浩一という男性社員に話しかけられたが、本田によると問題のある社員らしく、会っても無視するようにと言われた。

賢二がこの住宅メーカーで家を建てる意思をひとみに告げると、ひとみは賢二の母に内緒で家を建てることに苦言を呈した。賢二は怒って家を出て行った。

賢二が向かった先は、同じ職場の原友梨恵(ゆりえ)のアパートだった。8才年下の友梨恵とはサチが生まれた直後から体の関係が続いている。

結局、賢二はひとみに促され、実家に母に家を建てることを報告しに行くことになった。賢二の実家には母と兄の聡(さとる)が暮らしている。賢二は実家が嫌いだった。

賢二が東京の大学に進学し卒業も間近という時期になって、聡が統合失調症を発症し錯乱状態で病院に入院した。卒業後には実家に帰るという選択肢しかなかった。

母は聡の看病のため仕事を辞め、近所の人たちからは偏見の目で見られるようになった。3年前には賢二は聡に押入れに閉じ込められ失神して救急車で運ばれたこともあった。

自分の人生を変えてしまった兄、自分に敵意の目を向ける兄と関わりたくなくて、結婚してからは自然と足が遠のいていった。

母が賢二が家を建てることに賛成してくれたので、賢二は土地を買って「まほうの家」を建てることにした。

1年半後、希望通りの家が完成し、賢二の家族は新居に引っ越した。生まれて間もないユキという新しい家族も増えていた。

友梨恵は近々結婚すると言い、賢二との関係は終わりを迎えていた。その友梨恵から突然メールが届いた。添付されていた写真には、友梨恵の部屋に入っていく賢二の姿が写っていた。

友梨恵によると、写真は友梨恵の夫あてに送られてきたらしい。下世話な昔の友人・麗美(れみ)が送ってきたに違いないということだった。過去にもそういうことがあったからだ。

ひとみの友人が遊びに来たので、賢二は一人で家のメンテナンスのことを聞きに「まほうの家」の展示場を訪れた。

本田は不在で、賢二を見かけて甘利が近づいてきた。前回訪れた時にも甘利がしつこく「話を聞いてくれ」とひとみに付きまとって不愉快な思いをしていた賢二は、思わず甘利の胸倉をつかんだ。

「家族を大事にしないとこわいことになる」と言われ、賢二が甘利に飛び掛かろうとしたところを、他の社員が気付いて2人を引きはがした。

賢二が家に戻ると、ひとみの友人が帰るところだった。その中の子どもの1人が顔面蒼白で明らかに様子がおかしかった。

翌日、賢二が帰宅すると、本田が来ていた。本田は甘利の非礼を詫びて家のメンテナンスの説明をするために寄ってくれたらしい。一緒に夕食を食べ、サチとも仲良しになっていた。

その次の日、柏原斎藤という2人の警察官が訪ねてきた。甘利が殺されたと言う。

それから数日後、賢二は出張で東京にいくことになり、友梨恵と会った。現れた友梨恵は生気のないボロボロの姿だった。

友梨恵の元にはその後、夫、夫の職場、夫の実家にも、賢二だけではない他の男の写真も送られてきていた。夫は別れると言って出て行ったらしい。

友梨恵が調べてみると、麗美は結婚してアメリカに移住したらしい。では一体、誰が?何のために?

友梨恵に頻繁にかかってくる非通知の無言電話がかかり、賢二が電話に出た。無言の向こうでかすかに赤ん坊が泣く声がする…。

賢二が家に帰ると、ひとみが「昨日の夜、家に誰かがいて怖かった」と告げた。起きると殺されると思って寝たふりをしていたが、明らかに誰かがいたらしい。

ジムの同僚の上林を自宅に招待すると、上林は途中から落ち着かない様子になって、早々と帰っていった。後から聞くと怖ろしい霊のようなものを見たと言う。

賢二の母と兄の聡が訪れた日には、サチがいなくなって、床下のひざ下くらいの高さしかないエアコンが稼働している地下室から発見された。

閉所恐怖症で途中で気を失ってしまった賢二を助けた聡は「アイツは家のそこいらじゅうにいて常に見張っている」と訳のわからないことを口走った。

先日来たひとみの友達の子どもは、顔面蒼白になって帰った後「お化けがいた」と言ったらしい。

そしてひとみまでもが、ユキの目に人の顔みたいなものが映っていると言い出した。

さらに数日後、再び柏原と斎藤が訪ねてきて、友梨恵が殺されたと告げた。賢二の周りで得体の知れない何かが確実に起こっていた。

不安に押しつぶされそうになりながら、賢二はひとみと子どもたちを残して職場の慰安旅行に参加した。早朝、母から聡がいなくなったと電話があり、胸騒ぎが止まらなくなった賢二は帰ることにした。

聡が自分の家に向かっている気がして、賢二は柏原とひとみに電話をかけた。柏原はすぐに自宅に向かうと言ってくれた。

ひとみはリビングに誰かいる気配がすると言って半狂乱になった。リビングのベビーベッドにはユキが1人で眠っている。

賢二の耳にはユキの鳴き声とひとみが「ユキ!」と絶叫する声だけが届いた。

祈るような気持ちで自宅にたどり着くと、家の前には救急車とパトカーが停まっていた。ひとみが警察官に抱きかかえられるように出てきた。

賢二がリビングに行くと、包丁の刺さった人の背中が見えた。サチでもユキでもないと安堵したのもつかの間…その背中は兄の聡のものだった。

事件の真相と結末は?

ここから先はネタバレを含みますので知りたくない方は【+ボタン】を開かないでくださいね。

聡が殺されたのはなぜ?
聡はユキを守るために殺されたのだった。

賢二が母に我が家での不穏な出来事を電話で話したとき、正義感の強い聡は賢二の家族の危険を察知し、守らなければと思って賢二の家に行ったのだった。

聡を殺したのは誰?
賢二の家に潜む長い黒髪の女。

女は理想の家族を求めていた。モデルのように麗しい夫と可愛い娘。やっと見つけた理想の家族。女は家に忍び込んで、地下のエアコンルームと通気口に身を潜めて家族をじっと見守っていた。

そのことに気付いた甘利も、大切な夫を奪おうとする邪魔な女も消してやった。

あといらないのは2人目の娘。可愛い娘は1人いれば充分なのだ。

夫が家を留守にするこの夜だけがチャンスだったのに、とんだ邪魔者が入った。殺すしかない。

賢二の家族のその後は?

ひとみは精神的に不安定になってユキを抱けなくなっていた。実家に帰っても、授乳中のユキの目に人の姿が映ると言う。

賢二は自宅に戻ってみた。しんとした家の中で、賢二は確かにずずず…という音を聞いた。見上げると換気口の網目から眼がこちらを見ていた。

柏原から電話があり容疑者が特定されたと言われた。賢二もよく知る人物…。鍵を持っていて自由に出入りできるのはあの女しかいない。本田…。

賢二が地下のエアコンを切って帰ろうとすると、再びずずず…と言う音が聞こえた。今度は床下からだ。

賢二は地下室にもぐった。家族をバラバラにした奴が許せなかった。閉所恐怖症の発作で薄れかけた意識を何とか奮い立たせ、賢二は地下でうごめく黒い影に拳を突き出した。

女はナイフで抵抗する。腕やふくらはぎを切り付けられ、賢二は必死で地下室から脱出しようとした。女のナイフは賢二の右胸に突き刺さった。

その時遠い昔の記憶がフラッシュバックしてきた。

賢二は胸のナイフを自ら引き抜くと、目の前の女の胸に突き立てた。

賢二の過去とは?
家族に暴力を振るい続けていた父から逃れて、母と賢二と聡は母の実家がある長野県で生活していた。

突然別れたはずの父がやってきて暴れ出し、出刃包丁で賢二を襲った。それを止めようとして聡が父に突進したが、なぎ払われて頭を強く打ち気を失ってしまった。

隙を衝いて父を殺したのは賢二だった。

優しくて正義感にあふれる聡は賢二を守れなかった事実を抱えきれずに精神を病んだ。賢二は全ての記憶に蓋をしてしまった。

聡はユキを守ることで自分の生を全うした…母はそう言った。

そして家族は?
賢二は一命を取り留め退院した。

ひとみと話をするために向かった自宅。賢二は家族4人でもう一度幸せな生活を築きたいと思った。

しかし、そこで待ち受けていたのはひとみによって光を奪われたユキの姿だった…。

映画の見どころと原作との違い

「怖い」なんていう一言では言い表せない、底知れぬ恐怖を感じる、本当に本当に怖い物語でした。

私はどんな幽霊よりもゾンビよりも「人間」が一番怖ろしいと思っているのですが、その最上級とも言えるくらいの怖ろしさ…。大げさでもなんでもなく、それくらい覚悟して読まないといけない物語でした。

それを実写化してしまうだなんて、怖さMAXです。

登場人物はそれぞれに心に大きな傷を負い、ある者は記憶に蓋をしてしまい、ある者は精神を病み、ある者は妄想の世界で生きていこうとしている…。

人間の心というものはなんと複雑怪奇で難解なのか。

原作小説では、何よりラストが一番怖かった!精神を病んだひとみがとった行動は、全身に鳥肌が立つくらい衝撃的でした。

この結末もそのまま実写化するんだとしたら怖ろしすぎる…。

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