小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』

42歳のボクがある日facebookで見つけた元カノの名前。初めて「自分より好きになった人」は誰かの奥さんになっているようだ。

その彼女に誤って「友達申請」をしてしまったボク…。

コンテンツ配信サイトの”cakes”で連載されると、たちまち人気となった燃え殻さんの自伝とも言える小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』

あいみょんをはじめとする様々なジャンルの著名人たちが絶賛している話題作です。

かつての恋人が忘れられない…ちゃんとお別れしていないことを引きずっている…そんな人には沁み過ぎてイタイ物語です。

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小説のあらすじは?

仕事に向かう電車の中でスマホを開いてfacebookを見ていると、「知り合いかも?」の中に彼女の名前が…。

彼女はかつてボクが初めて「自分よりも好きになってしまった」人だ。

人ごみに巻き込まれても彼女のfacebookから目が離せなかった。人の波に飲まれ、気が付くと画面には「友達リクエストが送信されました」のメッセージが…。どうやら、誤って押してしまったらしい…。

彼女、加藤かおりと出会ったのは1995年、22歳の夏のことだった。

当時エクレア工場でひたすらエクレアを箱に詰めていくという単純なバイトをしており、日本人の同僚は12歳年上の七瀬ひとりだった。

休憩室にあったアルバイト雑誌の文通コーナーを七瀬が声に出して読み上げる。「この文通コーナーから最初に読む方、ご連絡ください。20歳女、犬キャラ」というメッセージに惹かれた僕は、そのページをちぎってポケットに入れた。

「犬キャラ」とは「犬は吠えるがキャラバンは進む」という小沢健二のファーストアルバムのことだ。小沢健二が大好きだったボクは「小沢健二、好きなんですか?」と1行だけ書いて手紙を送った。

かおりからはすぐに返事がきて、手紙のやり取りをするようになった。そして思い切って「もしよかったら会いませんか?」と提案すると「私、ブスなんです」と返事が来た。

それでも僕はかおりに会いたかった。かおりの率直さの前に純粋になれた自分が嬉しかった。ボクは恋をしてしまった。

生まれて初めて頑張りたくなったボクは、エクレア工場の休憩室にあったアルバイト雑誌にあった「テレビ番組の美術制作アシスタント募集」という仕事に飛びついた。

面接に行くとボク以外にいたのは関口という金髪坊主だけで、2人はすぐに採用が決まった。社長が作るフリップやテロップをバイクでテレビ局などに届けるのがボクらの仕事。

ボクは七瀬とルームシェアして生活することになった。かおりは妹と一緒にアパートを借りて住んでいた。だからかおりと2人きりでラブホテルで過ごす週末がボクの生きがいとなった。

1999年7月、世間では「ノストラダムスの大予言」がまことしやかに議論されていた。地球最後となるはずの日もボクはいつものラブホテルでかおりと抱き合ってすごした。

新しい仕事は今日のメシもギリギリというジリ貧だった。テロップを運んでいてバイクで転んで大けがをした。その傷は今でも時々疼く。

翌年、社長が業界からの大幅値引きを飲んだために、今度は薄利な仕事で日々は埋め尽くされた。ほとんど寝ていない状態で会社で朝を迎えることもたびたびあった。

かおりから「今日一日いっしょにさぼろう」と電話があると、関口が気を利かせてボクを追い出してくれた。

目的地を決めずホームの新幹線にあてずっぽうに飛び乗り、その日の気分で降りる駅を決める、そんな思いつき旅行に季節の変わり目ごとに出かけた。

1996年の秋、かおりとデートをしていると明らかに女装とわかる男が話しかけてきた。…七瀬だった。

七瀬は和風居酒屋「BARレイニー」をやってると言い、ボクとかおりは七瀬の店で食事をした。

キャバクラの名刺やパンフレットがきっかけで業界の目に留まり、このころには会社の業績は飛躍的に伸びていた。バブル崩壊なんて嘘なんじゃないかと思うくらい人生で最も羽振りのいい時代だった。

スーという美女に出会ったののもこの頃だった。スーは六本木のクラブのバーテンダーで、介護王と呼ばれていた佐内慶一郎の女だった。スーはボクのことを「自分と同じ目をしてる人」と言った。

かおりが仕事でインドに買い付けに出かけることになった。かおりは嬉しさいっぱいで全然寂しそうじゃなかったことがボクをいじけさせた。

スーから連絡があり、ボクたちは仕事が終わった午前0時過ぎに会うことが多くなった。スーは佐内に紹介されて風俗嬢をやっていると言った。

佐内の自宅と所有物件に国税局査察部の家宅捜索が入ったニュースが流れると、スーとは連絡が取れなくなってしまった。

かおりがインドから帰ってきた。嬉しかったはずなのに何故か会話は歯切れが悪くかみ合わなかった。

それからしばらくしてボクとかおりは会わなくなってしまった。別れは突然で「さようなら」もなかった。最後に会ったのは渋谷のロフト。最後の言葉は「今度CDもってくるね」だった。

facebookにはこのころすでに旦那と知り合っていたことが書いてあった。

しばらくして”小沢かおり”から友達リクエストが承認されたという通知がきた。そしてものすごい勢いで「ひどいね」がボクのページに押されていった。

今でもかおりには「今度CDもってくるね」が最後になった訳を聞きたいと思っている。

キミは大丈夫だよ、おもしろいもん

どんな話でも最後にはそう言ってくれた。かおりに承認されることで生きがいを感じることができ、その生きがいのおかげで今日まで踏ん張ってこられたんだと思う。

ボクたちが会えたことは奇跡だと思わない?

小説の感想

「さようなら」もなく「今度CD持ってくるね」の言葉を最後にボクの元を去っていった彼女は、まさしくボクの人生そのもの。

そのことに気付くのが遅すぎたのか?なんでもっと悪あがきして彼女を引き留めなかったんだろう?

新しいことを始めるためには、ちゃんとひとつ前のことを終わらせないといけないのは恋も同じことだったんだ。

それができなかったせいで気持ちがいいくらい見事に昔の彼女を引きずりまくっているボク。

彼女がダサいくらい確かな毎日を送っていることを目の当たりにし、そのダサい彼女から無限のダメ出しをくらって、彼女とのことは過去のことだと気づけてたらいいな。

自分の人生を変えてしまうくらい好きな人に出会えたことはきっと奇跡。その延長線上に今があるのだから、彼女のこと忘れる必要はないと思うけど、もう前を向いてもいいんじゃない?

大人のラブストーリーはちょっとキュンキュンするけど、今を応援したくなる物語でした。

森山未來さんと伊藤沙莉さんのカップルははまりすぎてて映画は楽しみでしかないけど!

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青春時代の忘れられない恋愛がある人にはしみすぎます。
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