大手企業に勤め営業成績はNo1、イケメンで社長令嬢との結婚が決まっているハイスペック男、川村俊介。
結婚式前夜、職場の仲間が開いてくれたパーティーからの帰り、めまいがしてマンホールに落ちてしまった。
電話をかけまくりGPSの位置情報を流して助けを呼ぶも、誰も来てくれない。俊介はSNSに投稿し、ネット住民に助けを求めた。
次々に襲い来るピンチをくぐり抜け生還への望みをつないだが、事態は思わぬ方向に…。
俊介が落ちたマンホールは渋谷ではなかった。
『#マンホール』のあらすじ
大手不動産会社CRレジデンスの営業マン・川村俊介、30歳。営業成績はトップ、イケメンで社長令嬢の中川さゆりとの結婚も決まったハイスペック男。
明日は結婚式という日の夜、渋谷のダイニングバーで職場の仲間たちがサプライズパーティーを開いてくれた。
正直そんなに乗り気ではなかったが、しかたなく驚いたふりをして出席した俊介だった。
明日は結婚式当日。早く帰らなくてはと帰路についた俊介だったが、視界がぼやけ足元がおぼつかなくなってきた。
突然、地面がなくなった感覚と落ちていく感覚がして、俊介は気を失った。
意識が戻ってきた俊介はあたりを見回した。コンクリートの壁に囲まれ、はるか上の方からわずかな光が差し込んでいた。どうやらマンホールに落ちたらしい。
出口につながる壁面には梯子があるが、中ほどが朽ちてなくなっており脱出することはできなさそうだった。しかも右腿に激痛が走った。ひどいけがをしているようだ。
出口に向かって大声で叫んでみるが誰も反応してくれない。時刻は深夜の1時を回っていたが、見つけたスマホで片っ端から電話をかけ始めた。
ところが、つながる先は留守番電話ばかり。警察に頼るしかないのかと110番にかけようとしたその時、着信音が鳴り響いた。
着歴を見て折り返しかけてきてくれたのは5年前に別れた彼女の工藤舞だった。
スマホのGPSを確認して渋谷の神泉にいることを伝え、渋る舞に助けに来てくれるように頼んだ。
舞から渋谷に来たけれどそんなマンホールは見当たらないと言われ、俊介は仕方なく警察を頼ることにした。雨が降ってきて体力も消耗してきたが、何十分経っても誰も現れなかった。
再び舞から電話があり、渋谷では雨は降っていないと言われた。一体自分はどこのマンホールに落ちたというのか?
シューというガスが漏れている音とともにガスの臭いが鼻を突いた。俊介は持っていたペンケースからセルテープを取り出し、破損個所にグルグルと巻き付けた。
こうなったら誰でもいいので助けに来てほしい。俊介はSNSサービスのpecker(ペッカー)を立ち上げた。
「マンホール女」というアカウントを作り「マンホールに落ちた、助けてください」とつぶやいた。場所の特定に一役買ってくれることを期待して、スマホを投げて撮影した動画も添付した。
ネットの住民はマンホール女のつぶやきにいち早く反応した。たびたび脱線しながらも、雨が降っている状況から場所は北関東ではないかと絞り込まれた。
また動画に一瞬映りこんだ看板から、市の上に「氵(さんずい)」が見えるということまでわかったようだ。
いずれにしても渋谷から簡単に行ける場所ではないようで、誰かの恨みを買ったのでは?という質問に対して、マンホール女は「兄の女性トラブルによる逆恨み」と返した。
兄の名前は「川村俊介」と書き込むと、俊介の個人情報は怖ろしい速さで丸裸にされていった。
過去に交際した女は50人と書かれ、捨てられた女として何人もの女性の実名が並んだ。そして、俊介のことをよく思っていなかった同期の加瀬悦郎が犯人だと思うというコメントが上がると、加瀬の個人情報までもがあっという間に明かされた。
不意に未登録の番号から着信があった。加瀬だった。ネット上に個人情報がさらされ、加瀬の元には嫌がらせの電話がかかってきているらしい。
しばらくしてアカウント名「深淵のプリンス」から「犯人確保」のレスがきた。添付された画像には流血する加瀬の姿が映し出されていた。
こんなにもボコボコにされても口を割らないということは加瀬が犯人ではないということか。
先ほどから、割れた壁面から湧いている気味の悪い泡「波の花」が降り続く雨のせいで増殖し続けている。
マンホールの蓋の画像がないかというレスに対して、一瞬スマホに映った画像を切り取って送ると、茨城県古河市青山町ではないかと誰かがつぶやいた。
アカウント名「LLL(スリーエル)」が青山町にある廃工場まで助けに来てくれると言う。LLLは”viewtuber”なので”助ける様子を生配信するつもりらしい。
LLLが廃工場にあるマンホールをのぞき込んだ。しかしそこには誰もいなかった。
「氵」が付く市、青山町…場所を特定したのは「仮面の男」だった。これも罠だったということなのか…。「仮面の男」のアカウントは削除されていた。
そうしているうちに波の花は俊介の身長近くまで達していた。俊介は泡にもぐると、先ほど応急措置をしたガス管のセロテープを剥がしてガスを放出させると、くぼみに身を潜めてライターを着火させた。
ガスは引火して爆発し、泡は一気に出口から噴き出した。
心配した舞から電話があった。もう朝の5時半らしい。話しながら土を触っていた俊介は泥の中にあるものに気付いた。
そして自分がどこにいるのか、誰が自分をここに閉じ込めたのか、全てを理解した。
事件の結末は?
ここから先は大いにネタバレを含みます。知りたくない方は【+ボタン】を開かないでね。
映画の見どころ
結婚式前夜に羽目を外してマンホールに落ちたバカな男の笑い話だと思ったら大間違い。ガチに怖ろしいサスペンスです。
匿名のネット社会は便利と危険が常に紙一重のところにあって、この「マンホール」は誰もが落ちてしまう「落とし穴」というメタファーなのかな。
2分に一度訪れるピンチにドキドキする展開も最高におもしろいですが、この映画の見どころはラストにあります。
ぜひとも多くの方に見てほしい!
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