『ヘルドッグス』の続編『煉獄の獅子たち』あらすじとネタバレ

『ヘルドッグス 地獄の犬たち』シリーズの第2弾ですが、描かれているのは『ヘルドッグス』のその後ではなく、そこへ至る過去の物語です。

つまり兼高昭吾こと出月梧郎が潜入する前の、東鞘会と和鞘連合の決裂の経緯や全面戦争が描かれます。

もう後戻りすることは許されない。警察もヤクザも自らのプライドと威信をかけて、命懸けで戦いますが、彼らの運命は煉獄へと続いていました。

そしてその戦いはさらに地獄へと導かれていくことになります。

『ヘルドッグス』を読んだ方はもちろん、映画を見る予定の方にもぜひとも読んでおいてほしい1冊です!

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「煉獄」とは?

「煉獄」とは、カトリック教会の教えの一つで、天国と地獄の間に位置する場所のことです。

生きている限り罪を犯さない人間はいないので、天国に行くためには煉獄で「清めの火」で焼かれ清められる必要があるという教えです。

『煉獄の獅子たち』あらすじは?

関東最大の暴力団・東鞘会の会長・氏家必勝(まさかつ)が獄中死すると、東鞘会はその後継者をめぐって分裂することとなった。

必勝の息子・氏家勝一を総長とする数寄屋橋一家と神津(こうづ)太一を組長とする神津組。2大勢力による駆け引きが始まった。

神津太一が東鞘会六代目に襲名すると、反神津派は数寄屋橋一家を中心に和鞘連合を結成した。

勝一の乗る車が神津組によって襲撃されると、東鞘会と和鞘連合の冷戦は全面戦争へと変わっていった。

ところがヤクザの全面戦争が色濃くなってきたにも関わらず、組特隊(そとく・組織犯罪対策特別捜査隊)からはヤクザへの締め付けにストップがかかった。どうやら与党の大物議員・国木田義成が一枚かんでいるらしい。

警視庁組織犯罪対策第四課(組対四課)の我妻(あづま)邦彦が神津組のマンションの前で見張っていると、1人の女性が下着姿のまま悲鳴を上げて飛び出してきた。我妻は女性を追いかけてきた男を組み敷いて女性を保護した。

女性の名は八島玲緒奈。借金の形に体を売ることを強要されてきたが、借金は減るどころか利子が雪だるま式に増えていた。我妻は玲緒奈の人生のやり直しを全力でサポートした。

和鞘連合は神津太一の首を獲る作戦を決行した。関西の華岡組から派遣された凄腕のヒットマン・生駒豊中を連れて、織内鉄は神津の愛人のマンションへと向かった。

マンションに到着した神津を生駒と豊中が追い、織内は運転手を追った。運転手は織内の義理の兄・新開徹郎だった。

抵抗する新開に織内はとどめを刺した。生駒と豊岡も神津太一を仕留めていた。もう後戻りはできない…。織内は覚悟を決めた。

我妻と玲緒奈は少しずつ距離を縮めていた。2人で食事をした帰り道、我妻は暴漢に襲われた。

我妻はかつての上司である組特隊の副隊長・阿内将(あないまさる)に詰め寄り、組特隊が何を企んでいるのか聞き出そうとしたことがあったが、襲った男はその時にいた阿内の部下・奥堀泰博だった。

これ以上首を突っ込むなという組特隊からのメッセージだった。

神津太一亡き後、東鞘会は十朱(とあけ)義孝を理事長に選んだ。実質の会長のようなものだ。十朱は極道になってからの日が浅いにも関わらず、暴力と商売の天才と謳われており皆から一目置かれる存在だった。

織内は十朱の首を獲る作戦に出た。高速道路のサービスエリアで激しい銃撃戦を繰り広げたが見事に反撃され、十朱には逃げられてしまった。

満身創痍の織内はまだあきらめていなかった。しかし傷を癒していた潜伏先のホテルを出た矢先、覆面の集団に襲われた。

覆面を取った人物を見て、織内は凍りついた。姉の新開眞理子だった。夫の新開徹郎を殺されてから姿をくらましていた眞理子は、特殊な戦闘訓練を受けて夫の仇を取るための準備を進めていた。

勝一の居場所を聞かれ、もみ合った挙句、織内は姉の眞理子も葬り去った。

我妻は奥堀を尾行し、タイミングを見計らって拷問にかけた。奥堀は簡単に口を割ったが、語られた内容は驚くべき事実だった。

国木田義成の息子・謙太がモデルにコカインを過剰摂取させて死なせてしまったという証拠を神津組が握っていること。組特隊が是安総という警察官を東鞘会に潜入させたのが十朱の正体だということ…。

全ては東鞘会を壊滅させるための極秘作戦だと言われ、我妻はこれ以上ヤクザどもを追うのをやめて、玲緒奈と安らかに生活する道を選ぼうと決めた。

しかし我妻はとらえられ組特隊の隊長・木羽保明と阿内の元に連れて行かれた。

我妻は組特隊に入ってほしいという意外な依頼を受けたが、ヤクザを追う仕事のやりがいよりも玲緒奈との安定した生活を選ぶことに決めたため即座に断った。

我妻は阿内からにわかには信じがたい話を聞かされた。玲緒奈の正体は東鞘会から送りこまれたノーラ・チョウという中国系アメリカ人のスパイだというのだ。

放心状態で帰された我妻。調べてみると我妻のスマホには遠隔操作も可能なスパイアプリが入っており、部屋には当然のように盗聴器が仕掛けられていた。

我妻は帰ってきた玲緒奈と格闘となった。玲緒奈はベランダから飛び降りて、下を走る車にはねられ即死した。我妻は組特隊に組み入れられることとなった。

和鞘連合、喜納組の喜納(きな)修三と織内はあるホテルに向かった。ホテルで待っていた相手は阿内と我妻だった。そこで織内は信じられない事実を知った。

十朱義孝は警察が送り込んだ、本名・是安総という潜入捜査官だということを。

潜入捜査をしていたはずの十朱は、極道として生きる道を選び警察に対して反撃ののろしをあげてきたのだった。

2日後の早朝、組特隊は十朱と取引をすると言う。その時に十朱を始末してほしいと、阿内は織内と喜納に頼んだ。

約束の日の早朝、木羽と阿内は我妻の運転で九十九里浜へと向かった。十朱が用意した国木田の息子の事件の証拠と阿内らの持つ十朱が潜入捜査官だったという証拠を交換することが目的だった。

喜納と織内は200メートルほど離れた工場の屋根の上から十朱を狙撃すべくタイミングをうかがっていた。

織内が十朱を撃とうとトリガーに指をかけた瞬間、後方から喜納と織内は銃弾を撃ち込まれた。隙を見て十朱を狙った我妻は後ろから射殺された。

十朱たちは半死半生状態の阿内たちを残して去っていった。木羽は自ら自分の頭を撃ち抜いてしまった。

半殺しの目からいくぶんか傷が癒えると、織内は数寄屋橋一家の事務所の勝一を訪ねた。

子分たちを守りたかったと言い訳し簡単に敗北を認めてしまった勝一を見切り、織内は自分が”氏家勝一”になる決意を固めていた。織内は勝一を始末した。

羽田空港で阿内から偽造パスポートを受け取った織内は、韓国へ渡ってから顔を整形し、しばらくは国外逃亡することになった。

阿内は織内に必ず活躍の場を用意すると約束した。

小説を読んだ感想

『ヘルドッグス』もなかなかえげつない話でしたが、そのえげつなさはこの過去に裏打ちされたものだったのかと、恐ろしいくらい納得しました。

悪魔に魂を売った阿内の覚悟はこの時から半端ない。いや、阿内だけじゃないな。十朱も織内も、どうせ煉獄で焼かれるなら徹底的にやりつくすことを胸に誓い『ヘルドッグス』へと続いていきます。

『ヘルドッグス』で登場する豪快な氏家勝一は実は織内鉄だったという衝撃の事実。そしてそのお膳立てをしたのは阿内だという…。

警察であろうがヤクザであろうが、目的を達成するためには手段を選ばない…。そして身内であろうと容赦なく利用し、役に立たないとわかったら始末するという徹底ぶりは『ヘルドッグス』の前から脈々と受け継がれています。

はっきり言って怖すぎた…。だけど見届けないと終われない、このゾクゾク感。

改めて、こんな世界の中で十朱のように極道として生きていくことを選ばずに、最後まで警察官としての使命を全うした出月悟朗のメンタルの強さをも再認識しました。

いやぁ~面白かった!ヤクザもの、これだからやめられない!

シリーズ続編『天国の修羅たち』

シリーズ第3弾の『天国の修羅たち』は、十朱&阿内亡き後の出月梧郎の壮絶な戦いが描かれています。

出月梧郎は、マスコミ各社に組特隊主導で行われた潜入の事実や、己の犯した罪を事細かに記したファイルを送りました。

その「兼高ファイル」が公になるや、警視庁は火消しに躍起になり、出月は警視庁とヤクザの両方から命を狙われる身となってしまいます。

警視庁の発表に違和感を感じ、真実が知りたいと立ち上がったのは、一人の女性刑事・神野真里亜でした。

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『ヘルドッグス』だけではわからなかった衝撃の過去が描かれています。必読です!
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