
孤高の天才と称される漫画家、大橋裕之さんの初期の名作?迷作?作品集。
竹中直人さん、斎藤工さん、山田孝之さんの3監督で実写映画化されることになり、人気急上昇中の『ゾッキA』と『ゾッキB』
古本市場で使われる特殊用語で、安い値段でひとまとめにして売られる本のことを「ゾッキ本」といいます。
この漫画と出会ったときの衝撃は、今でも忘れられません。たぶん、わかる人にはわかるけど、わからない人には全然わからない…。
それでも、2度3度…と繰り返し読んでいるうちに、噛めば噛むほど味が出るするめのように…、いやいや万人受けするとは限らない酢昆布のように…、しみてきますよ。たぶん。
私はきらいじゃないよ。こういうの。
-Introduction-
漫画家『大橋裕之 』 @osirioisosiru
代表作「#太郎は水になりたかった 」「#シティライツ 」「 #ゾッキA #ゾッキB 」。アニメーション映画「#音楽 」。2021年 映画「#ゾッキ」 全国公開予定。大橋さんのここだけの話は #artistspoken で。 https://t.co/eTs2f8Ap8h #大橋裕之 pic.twitter.com/vBuNdqiepo
— Artistspoken (@Artistspoken2) September 28, 2020
あるようでないような…あらすじ?
短編集というか、独立した作品集です。それぞれに、あらすじがあるものもあれば、ないようなものもあって…。
初期の漫画で、大橋裕之さん自身も「絵が破綻している」けど「熱い」と語っておられます。
とにかくシュールで、不思議で、ちょっと怖くて、おもしろい(←デクレッシェンド)漫画なのですよ。説明むずかしい…。
『ゾッキA』23作品+書き下ろし1作品
『ゾッキB』15作品+書き下ろし1作品
赤字が映画化された作品です
ゾッキA | ・伴くん ・父 ・秘密 ・Winter Love ・プロレス ・オサムをこんなうさんくさい道場に通わせたくありません ・犬死くん(第1話) ・日本 ・旅 ・アルバイト ・光走族について ・風習 ・プレゼント ・全部燃やせ ・37才 ・小松製パン ・朝 ・判断 ・おっぱい ・雨の日 ・偉人 ・石鹸の香り ・殺人 ・遠浅の部屋から~2006逃避~ |
ゾッキB | ・マジシャン ・カントリーボーイ ・父 ・GOLD RUSH ・犬死くん(第2話) ・東京 ・見張り台 ・ゲマンの光 ・ライブハウス ・教室 ・クマ ・後悔 ・さみしさ ・スクープ ・快適 ・遠浅の部屋から~2006上京~ |
ゾッキC | ・シーン1 ・スーパーロンリー相田くん ・世界最古の電子楽器 静子 ・平田さん ・あの部屋 ・下駄 ・イモ虫女 ・ウォーキングドランカー酒田歩 ・眠り ・コンパクトディスクファンクラブ ・再会 ・カメラ ・マスダさん ・傘 |
主な作品のあらすじ(?)は…
伴くん(ゾッキA)
ある日突然「君の姉ちゃん美人らしいな」と牧田に話しかけてきた伴くん。姉ちゃんのことを知りたがり会いたがる伴くん。「姉ちゃんのパンツ、5万円で売ってくれ」と言い出します。
実は牧田に姉ちゃんはいません。ゲーセンで取ったカプセル入りのパンツを10回洗って乾かして伴くんにあげました。さらに思いを募らせる伴くん。しかたなく牧田は姉ちゃんを死んだことにしました。
姉ちゃんの仏壇に手を合わせに来た伴くん。遺影は中学校のときに好きだった本田さんの写真を使いました。
大学に進んだ伴くんは、なんとコンビニで本田さんに出会ってしまい恋に落ちました。何度も告白しては振られ告白しては振られ、ついに付き合うことになった伴くんと本田さんは、ついには結婚してしまいました。
「今度は俺がパンツを売ってもらう番だな」という牧田に、伴くんは「ふざけるな」と言いました。
秘密(ゾッキA)
「生き物はもしかしたら秘密が無くなると死ぬんじゃないか」というおじいちゃん。おじいちゃんには秘密が230個あるんだそうな。
Winter Love(ゾッキA)
俺は980円の寝袋と道端で拾ったエロ本だけを持って自転車で旅をすることにしました。
清水で会った漁師・ヤスさんの誕生日ケーキを一緒に食べて酒を飲んですごしました。浜松でウナギを食べて東京に帰ろうっと。
オサムをこんなうさんくさい道場に通わせたくありません(ゾッキA)
「なかよし空手」というチラシを見て息子のオサムを道場に通わせることにしましたが、来てみると「殺人空手」と書いてあります。
母は息子をやめさせることにしました。
そもそも強いのか?そんな疑問を投げかけてみると、「僕、パンダを殺したことありますよ。コアラだってありますよ。」と。
空手経験者の夫に相談すると、夫は「パンダとコアラ殺せる奴が一番あぶないんだよ」と言います。オサムも空手は楽しいと言うのでとりあえず続けることに…。
道場の前に置いてあった「パンダ殺し」の貸出用ビデオを見て、母はちょっと笑顔になりました。
アルバイト(ゾッキA)
客の来ない本屋でバイトしている僕。ある日、変な言葉を書いてレジ横に置いて帰った…。
その夜911同時多発テロが起き、世界中が大騒ぎになっていました。
次の日出勤してみると僕が置いて帰ったメモは横向きになっていました。僕はいつもより念入りに床のモップ掛けをしたのでした。
光走族について(ゾッキA)
80年代、名古屋に突如発生したヤンキームーブメント、光走族。
誰よりも強い光を放つだけで、スピード違反も無ければ爆音もない。行方不明のおばあさんを見つけたこともありました。
光走族のメンバーは、強い光を見すぎてみんな白い服を着た女の子が去っていく幻覚を見るようになって、やがて突然、光走族は姿を消してしまいました。
おっぱい(ゾッキA)
もしもおっぱいが肩に付いていたら、人ごみでおっぱいに当たる確率が上がるんだろうか?(4コマ漫画)
石鹼の香り(ゾッキA)
石鹸の香りをかぐと誘拐されたことを思い出してしまう…。(3コマ漫画)
カントリーボーイ(ゾッキB)
恋にあこがれるひきこもりの松井くん。週一でバイトに来ないかと声がかかります。おばちゃんばっかりの工場に、ある日、岡村洋子ちゃんというかわいい女の子が入ってきました。洋子ちゃんもひきこもりだと言うことです。
洋子ちゃんが男の人と歩いているところを目撃してしまった松井くん。人並みに傷つくようなことが自分に起こって、ちょっと嬉しい松井くんなのでした。
父(ゾッキB)
マサルの家は貧乏だったのでお父さんはどれだけ頼んでも遊園地には連れて行ってくれませんでした。
ある夜、お父さんはマサルを連れて母校を訪ねます。そして部室からサンドバッグを盗んできました。
夜中の学校探検はとても怖くて、見張りをしていたマサルはおしっこをもらしてしまいました。
外の水道でパンツを洗っていたら「パリン」と音がして、校舎の上の方から真っ白な幽霊が降ってきました。今度はお父さんもおしっこを漏らしてしまいました。
幽霊は「夏の終わりは切ないですね」と言って、出しっぱなしの水道の蛇口を締めてどこかへ去っていきました。
その1週間後、お父さんはお母さんとは別の女の人と出て行ってしまいましたが、10年後、サンドバッグが物干竿からちぎれて落ちた3日後に帰ってきました。
犬死くん(ゾッキA・B)
可愛い女の子が困っていたり、悲しんでいたりすると、笑顔を取り戻させなければという使命感に燃えます。なぜか顔をボコボコにされて顔面血だらけになりますが、可愛い女の子がわらってくるだけで満足なのでした。
うーん、要約して書いてしまうと単なる変態の話にしか聞こえないけど、なんか違うんよ。読んだ人にしかわからないシュールさなんです。
他の話は、とても言葉では説明できません。ぜひ読んで味わってみてください!
この漫画に惚れに惚れまくった3人の監督が、なんと実写映画化!このシュールな世界観を実際の人間で描いちゃって、しかもつながってるっていうんだからびっくり!
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A,B,Cはそれぞれ続いているという訳ではなくて、作品集という形です。
【2023年8月6日時点の情報となります。 オフィシャルサイトにて必ず最新の情報をご確認ください。】