1984-85年(昭和59-60年)に実際に起きた「グリコ森永事件」は、日本中を震撼させた未解決凶悪事件です。
関西弁のふざけた脅迫文とともに用いられたのは「子どもの声で録音された」脅迫テープ。世間を恐怖に陥れた事件に子どもが使われていたことに、鳥肌がたつほど衝撃を受けた作者が、その子どもにスポットを当てつづった物語です。
実際の「グリコ森永事件」は未解決事件として、2000年に時効を迎えています。つまり犯人は誰なのかわかっていません。
この物語は、細部まで忠実に再現したフィクションです。
実話事件を再現する最強のキャスト
曽根俊也：星野源
父から受け継いだテーラーを営み、ごく普通の生活をおくっていたある日、父の遺品の中から古い黒革のノートとカセットテープを見つけます。懐かしい歌声に続いて録音されていたのは、35年前の事件の「犯行指示テープ」に使われていた自分の声でした。
まさか、自分の声が脅迫に使われていたとは…驚愕に震える俊也は、事件の真相を知らずにはおれなくなり、独自に調べ始めます。
穏やかで優しく、世の中の「事件」と呼ばれるものとは一番遠いと思われる人が、まさか昭和最大の未解決事件に加担していたなんて。そんな恐ろしい事実を一人で背負いこめるのでしょうか。
「いい人」代表みたいな星野源さんが、自分の意志ではないにせよ事件に関わってしまった罪の意識と、今まで真面目にはぐくんできた生活を守りたいと願う気持ちの狭間で、揺れ動く姿を繊細に演じてくれます。
阿久津英士：小栗旬
大日新聞の記者。昭和最大の未解決事件の特集を組むので記事を取って来いと言われ、仕方なく「ギン萬事件」の取材に出かけます。
次第に真相が見えてくるにつれ、子どもが関わっていることに強い違和感と嫌悪感を覚え、その子どもが今現在どのような生活をしているのかを知りたいと思うようになります。
時を同じくして、別々に事件の真相を調べるべく奔走し、運命に導かれるように出会った二人の男たちは、何を知り何を考えるのでしょうか。
映画のあらすじ
登場人物の名前などが若干違うものの、あらすじはほぼ原作のままなので、こちら↓を参考にしてください。
お見事と言えるくらい、映画という限られた時間の中で原作を忠実に映像化しています。これだけ盛りだくさんの情報を詰め込んだ映画なんて、あまり見たことがない気がします。
映画の見どころは？
400を超える類似事件や模倣事件を引き起こした「グリコ森永事件」は、結局犯人が検挙されず、未解決事件として時効を迎えています。
当時、警察庁の総力を結集しても解決できなかった事件とは一体どんなものだったのか。そして、犯人の目的は何だったのか。
物語は作者である塩田氏の想像による創作であるにもかかわらず、かなりのリアリティで迫ってきます。何だか歴史の重大局面に立ち会ってしまったような、そんな気にさえなります。
次から次へと、トントンと話がつながって進んでいくように見えますが、それは映画という時間に制限があるからで、原作での阿久津は、それこそ昔の資料を隅々まで読みあさり、地を這うように片っ端から聞きこみをしてしているのです。
そのどれもがカットできないエピソードなので、少ない時間で証言が次々に描かれているのですが、それが陳腐な感じを受けないのは、数分のシーンにも全てベテランの俳優たちが迫真の演技をしてくれているからでしょう。
家族、特に子どもに焦点を当てた物語。最後は涙なしには見ることはできませんでした。
作者の塩田武士さんが15年温めて執筆した渾身の一作に込めた思いを、土井裕泰監督は真摯に受け止めて丁寧に作り上げた最高傑作でした。多くの人にぜひ見ていただきたい！
主題歌 Uru『振り子』
ドラマ『テセウスの船』で話題となったUruによる書き下ろしです。
映画を何回も見て何度か書き直したという、映画の世界観を盛り上げる渾身の楽曲です！
映画『罪の声』視聴方法は？
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