小説『シグナル長期未解決事件捜査班』ラストどうなる?ネタバレ

珠玉の韓国ドラマが日本でリメイクされ、ついにその続きが劇場版として公開されることになりました。

オリジナルの韓国版でも「続きが見たいドラマ」の筆頭に挙げられる名作中の名作。

確かに終わり方が「あとはあなたのご想像にお任せします」モヤモヤ系の代表格。実際、私もドラマを鑑賞した後は「えー!そこで終わるの!?」と思った一人です。

時間が経った今では、だからこその名作なのだと理解できますが、その続きが見られるのなら見たいと思うのは当然のことでしょう。

あまりにも楽しみな気持ちが抑えられなくて、文庫本を一足早く読んでしまいました。

念のため…これは原作小説ではありません。映画の脚本をノベライズしたものです。

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小説のあらすじ(ネタバレ)

永田町、内閣情報調査室次長・三谷宗久が首相への定例報告を終えて首相官邸から出てきました。三谷が見送りに出た職員と雑談をしていると、官邸警備員の一人が三谷の公用車に近づいてきます。

警備員の手には注射器が握られていました。その注射器をフロントグリルに差し込み液体を注入して立ち去りましたが、その動きに注意を払う者はいませんでした。

首都高速に入ってしばらくすると、三谷の車は蛇行し急加速し始めました。そして猛スピードで高速道路の壁に激突し飛び出した車は、そのまま高速道路下の交差点にたたきつけられて炎上しました。

事故直前、運転手と三谷は呼吸困難に陥り口から泡を吹いて意識を失っていました。科捜研からの報告によると、使われたのは西新宿テロ事件で使われた”ヘロン”と同一とのこと。

記者会見では三谷次長と運転手が毒物によって殺害された事件性を認めましたが”ヘロン”の存在については発表されないことになっていました。しかし女性記者・小泉ミチルの「ヘロンでは?」という質問に対して、青木刑事部長は認めてしまいます。

2001年に発生した”西新宿テロ”で使用されたヘロンは全て回収され、テロリストたちは全員逮捕、主犯でヘロンの開発者である雨宮は死刑判決を受けてすでに刑が執行されています。

この世に存在しないはずのヘロンとテロリストによって引き起こされたと思われる政府高官の殺害事件は世間を震撼させました。

長期未解決事件捜査班の三枝は、2009年に法務省の加藤政務官と防衛省の中村政務官が立て続けに同じような事故で亡くなっていたことに違和感を覚え再調査を提案します。二件とも鑑識結果や検死記録が処分されて何も残っていないのも変でした。

2009年、加藤政務官の事故が起こったとき、大山はたまたま現場に居合わせました。衝突前には運転手も加藤政務官も口から泡を吹いて意識を失っているところを目撃していましたが、何度進言しても「事故」としか報道されず、警視庁本庁からも手を引くように命じられました。

ある夜久しぶりに無線機が鳴り始め、健人と大山は再びつながります。聞くとどうやら大山は加藤政務官の事件を目撃した直後のようでした。次は防衛省の中村政務官が同じような事件に巻き込まれることを大山に告げたところで無線は切れてしまいました。

健人に教えられた日付の日に、大山は休暇を取って中村政務官の行動を追っていました。議員事務所の前に車が停められ、中村政務官が出かけようとするまさにその時、ジョギングの男が通りかかりました。

大山の位置からは右手に金属製の注射器が握られているのが見え、大山は追いかけて声をかけました。男は注射器を放り捨てて逃げ出しましたが、大山に捕らえられました。

男の名は「橘修平」、前腕内側に真っ赤な蝶の刺青をしていました。何を聞いても黙秘を貫いていましたが、ついには「俺を無視するからだ」とぼそりとつぶやきました。

そして、突然「公安」がやってきたかと思うと、有無を言わさず橘を連れていってしまいました。

健人の元では中村政務官の事件が「未遂」へと書き変わっていました。しかし、三谷の事件はなくなっておらず、事件を未然に防いだはずの大山の報告書が全く存在していませんでした。

多摩川の河川敷に水死体が上がり、急行した大山は愕然とします。先日自分が捕まえた橘だったのです。公安は「事件性なし」として釈放し、その後「事故死」したと発表するつもりでした。

真正面からぶつかっても意味がないと判断した大山は、かつて公安警察官として「西新宿テロ事件」を捜査しており加藤政務官の事件直後に辞職した伊藤という男を訪ねました。

伊藤は面と向かっては何も話してくれませんでしたが、公衆電話から「たとえ話だ」と前置きした上で衝撃的な内容を教えてくれました。

加藤政務官の事件の前に、西新宿テロ事件の残党から公安に「雨宮以下12人を釈放しなければ、再びヘロンを使ったテロ事件を起こす」という脅迫があったと。しかし、西新宿テロ事件の完全解決を発表していた公安は、それを無視したと…。

さらに橘という男が釈放されて数日後に水死体となって発見されたのも、公安によって消されたのだと。そんなことができるのは山崎警視長しかいないと言って電話は切れました。

山崎と殺された三谷は「西新宿テロ事件」を担当しており、事件を解決に導いたとして出世の階段を駆け上がっていました。終結宣言までしたテロ事件の残党がいたなどということが公にされれば、自分たちの立場が危ないと判断したものと思われます。

健人は無線機で大山に「西新宿テロ事件」の裏を探ってほしいと頼み、自分は山崎警視監に急襲をかけることにしました。

大山が中村政務官の事件を未然に防いだことや公安が橘を勝手に横取りしたことなどを突きつけると、山崎警視監は「知らない」を突き通しましたが、反応から山崎が関与していることは明らかでした。

健人は『西新宿テロ事件 雨宮竜一死刑囚の手記』と題された書籍を書いた小泉ミチルを訪ねて話を聞くことにしました。

ミチルは本には記していないけれど、雨宮は「残党が仲間を助けるために再びヘロンによるテロを起こした」と語ったと言いました。そして「残党の唯一の人間はヘロンと共に消された」とも。

ヘロンの作り方は雨宮の頭の中だけに存在し、誰にも伝えていないので、雨宮亡き今、作り出すことは不可能です。つまり、現存しているヘロンは、テロリストから押収して保管しているものということになります。

ヘロンを保管しているのは警察庁の付属機関・科警研です。しかも三谷事件の3日後に科警研の職員・吉川和夫が自殺していました。

自殺する1か月前の行動を追ってみると、2度早退しており、いずれも岡町パーキングエリアに寄っていることがわかりました。未解決班はパーキングエリアの防犯カメラを調べ始めました。

健人の携帯に山崎警視監からメールが届きます。「真実を君だけには伝えたい」という内容に「罠?」と思いながらも健人は山崎警視監に会いに行きます。

倉庫に着いた健人が目にしたものは、口から泡を吹いて息絶えている山崎警視監の姿でした。「動くな!」と制され、見ると警察車両が到着していました。

そして「車から注射器を発見」という声も聞こえました。罠だと気づいても万事休す。健人は捕らえられましたが、隙をついて逃げ出しました。

健人はミチルの部屋に逃げ込みました。しかしすぐに追手に見つかってしまい、健人はなんとか逃げましたが、ミチルが殺されてしまいました。

サイレンサー付きの銃を持った男3人が執拗に健人を追ってきます。間一髪で美咲が到着し健人を救い出しました。

美咲たちは監視カメラの映像をくまなく調べて、吉川がフードを被った男とアタッシュケースをやり取りしている映像を見つけていました。フードの男は顔が見えませんでしたが、特徴的な腕時計から青木刑事部長だとわかりました。

一方、大山は山崎警視長を追っていました。シティホテルにやってきた山崎に合流したのは三谷、そして内閣官房副長官の板垣でした。3人は「西新宿テロ事件」解決の功労者として出世街道を駆け上がった同志のようなものでした。

3人がホテルから出るときに交わしていた会話で、捜査二課刑事の青木の妻と娘が加藤政務官の事件に巻き込まれていて「青木にだけは知られてはならない」と話しているのが大山の耳に届きました。

加藤政務官の事件にたまたま居合わせたときに大山がジャンパーをかけてあげた女の子がおそらく青木刑事の娘だと確信した大山は、自分の力でなんとか青木を止めることができないかと考えましたが、いい案が思い浮かびません。娘の花ちゃんを見舞うことが精一杯でした。

青木の妻は死亡し、娘は長い間植物状態になった後に亡くなりました。初めは事故だと思っていたのが、じつは公安による隠蔽だとわかった青木は3人に復讐を果たすことを決意しました。

青木刑事部長が失踪したとの知らせが届きます。最後のターゲット・板垣を殺すのは、おそらく板垣官房長官の総裁選出陣パーティーではないかと予測されました。

帝都ホテル最上階の27階の宴会場でそのパーティーは開かれました。未解決班も現場にいます。健人は結婚式の参列者の格好をしてロビーに待機しています。

ホテルの作業用搬入口をチェックしている未解決班の小島が、退館時間を3時間も過ぎている内装業者がいることに気付きました。作業服姿の3人の男が地下1階の倉庫室に入っていく姿が監視カメラにとらえられていました。

健人は地下1階へと急ぎます。美咲からの通信によるとパーティー会場となっている宴会場は扉が遠隔操作でロックされているとのこと。コントロールセンターに行ってみると両手両足を縛られ頭から袋までかぶせられた管制官4人が床に転がっていました。

3人組の男たちが入ってきて何やら長い時間かけてシステムの変更をしていたようだと言います。中央モニターの画面にはスプリンクラーの配管図が映し出されています。

男たちは予備タンクにヘロンを混入させてパーティー会場にスプリンクラーで散布するつもりのようです。板垣のみならずパーティー会場の全員がターゲットになっているのでした。

健人は山田と小島にシステムの復旧を頼み、ヘロンを混入すると思われる20階にある予備タンクへと急ぎました。

健人が機械室に入ると2人の男がヘロンらしき液体の入ったカプセルをセットしています。それはミチルの部屋に乱入してきた男たちでした。

健人が男たちに背後から近づこうとすると背中に銃を突き付けられました。狭い機械室の中で乱闘を繰り返しましたが、健人の抵抗むなしくヘロンは投入されてしまいました。セットされたタイマーの時間は30秒。

パーティー会場では危険を知らせようとした美咲に怒りをあらわにした板垣が声を荒げ、扉が開かないことに気付いた参加者が「扉が開かない」と叫んだことで、パニックに陥っていました。

健人は男たちと格闘しなんとかヘロンの放出を防いだと思われましたが、健人たちの知らないところでプランBが進行し始めていました。ヘロンを含んだ水が配管を満たしていきます。あとはスプリンクラーの弁を開くだけの状態です。

パーティー会場の大型モニターには青木の顔が映し出されました。板垣が国民に「テロ事件は解決した」と宣言し嘘をついたことで罪なき人々の命がうしなわれたこと、板垣が全て回収して処分したと言ったはずのヘロンが青木の手の中にあることを述べると会場は再びパニックに…。

逆上した板垣は、全ての罪を山崎と三谷になすりつけ、自分だけ助かる方法はないかと怒り始めました。捕らえられた橘もいろいろ嗅ぎまわっていた大山も殺したことを口走ってしまいます。

健人は青木がいる25階に急ぎました。

健人が思いとどまるように説得しても、青木は、こうすることでしか今の腐りきった警察組織は変わらない、妻と娘の死を無駄にすることはできないと言い切ります。そしてついにスイッチは押されてしまいました。

スプリンクラーの弁が開いてヘロンの雨が宴会場に降り注ぎます。

しかしそこにパーティー客はいませんでした。小島が26階の宴会場のスプリンクラーの弁が開くプログラムを組み込んだのと、青木がスイッチを押したのはほぼ同時でした。

青木は身柄を確保され連れて行かれました。諸悪の根源である板垣が放置されることに健人たちは納得できません。また、大山を助けるためにも、まだやらなければならないことがあるはずです。

無線機がつながった夜、健人は大山に「4月1日、公安の山崎の手によって、あなたは殺されます。」と伝えました。

大山は独自に調べ、板垣と山崎と三谷の3人の癒着を示す写真や証拠を集め、それを出版社に持ち込む手はずを整えていました。編集長と会う約束の日は4月1日です。

大山はかつて助けを求めたように、美咲に相談していました。おそらく、出版社に向かう橋の上で命を狙われるだろうと踏んで、美咲は信頼できる仲間と張り込んでいました。

狙撃犯を確保し、大山は無事に3人の悪事を出版社に持ち込むことができました。山崎と三谷は逮捕され、板垣も政治生命を絶たれました。

健人の部屋には、健人の警察学校の卒業式に突然現れた大山と一緒に撮った写真が飾られていて、あの無線機はもうありません。

テレビでは『西新宿テロ事件 雨宮竜一死刑囚の手記』がノンフィクション大賞を受賞した小泉ミチルが満面の笑顔でインタビューを受けていました。

健人と美咲は大山に会いに行くことにしました。下河原署の駐車スペースに車を停めて大山が出勤してくるのを待ち構えています。

駐車した車から大山が降りてくるのが見えました。大型車が通り過ぎて2人は駆け出そうとしましたが、そこあったはずの大山の姿が忽然と消えていました。

考えられることはただ一つ。過去が変わって大山は今ここに存在していないことになってしまった…。その瞬間に立ち会ってしまった…。

大山が乗ってきた車をのぞき込むと、そこにはあの無線機が置かれていました。

小説の感想

韓国版も日本版もこのドラマが好きすぎて、続きが映画になると聞いたときから気になって気になってしかたがありませんでした。あ~これでやっと眠れる(笑)。

いつも事件の核心に触れてしまう…、正義感と人情にあふれる熱血刑事の大山はそういう星のめぐり合わせなんでしょうね。

諦めなければ未来は変わる

大山刑事がいつも口にする言葉です。この言葉は、今を生きる私たちの胸にも説得力のある言葉として届きます。

大山と健人が顔を合わせることが叶ったのはよかったんだけど…。え?今回も美咲と大山の関係には進展なし?そしてまた行方不明?

大山さん、今度はどんなヤバい事件に首を突っ込んでしまったんでしょ。気になるわぁ。

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