往年の名作小説『バスカヴィル家の犬』

1901年に発表された往年の名作。60作品を数えるシャーロックホームズシリーズの中でも、数少ない長編小説の1つです。

100年以上経っても色あせない不朽の名作は”推理”のみならず”サスペンス”の色も濃い盛りだくさんな作品です。

乗り物は馬車だし、電話じゃなくて電報だし、今の若者が読んだら少しわかりにくい部分もあるかもしれませんが、ハラハラドキドキの名作であることは変わりません!

何度も映画化が試みられた名作が、日本でも独自の脚本で映画になります。

オリジナルのおもしろさもぜひ味わってみてください。

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小説のあらすじは?

シャーロックホームズの今回の依頼人は、デヴォン州の医師・モーティマー博士

彼が担当していた患者、富豪のチャールズ・バスカヴィル卿が非業の死を遂げた。

バスカヴィル家には先祖代々伝わる“魔犬”伝説が存在し、そのため不運な死を遂げたり不可解な死を迎えた者が多いと伝えられている。

モーティマー博士は、1742年にバスカヴィル家の先祖によって書かれた文書を持っていた。そこには悪名高いヒューゴー・バスカヴィルが猟犬よりもはるかに大きい怪物に襲われ、命を落とした経緯が書かれていた。

チャールズ・バスカヴィルの直接の死因は心臓発作だったが、チャールズの顔は苦痛にゆがんでおり、遺体から少し離れたところに巨大な猟犬の足跡があったことをモーティマー博士は見逃さなかった。

またモーティマー博士は、バスカヴィル家の周りに広がるムア(荒れ野)で、子牛ほどもある大きな黒い影を見たことがあると言った。

チャールズ亡き後、莫大な財産と有益な事業を引き継ぐたった一人の相続人・ヘンリー・バスカヴィルがまもなくカナダから到着する。呪われた館に新しい当主を迎えていいものかどうか、チャールズの死を調査してほしいというのがモーティマー博士の依頼だった。

翌日モーティマー博士はヘンリー・バスカヴィルを連れてシャーロック・ホームズを訪ねました。ヘンリーの元には「命と正気を重んずるならば、ムアには近づくな。」という新聞記事を切り貼りした手紙が届いていた。またホテルで靴が片方だけ盗まれていた。

ホームズは他の事件で手いっぱいで動けない自分の代わりに、助手のワトソンを一緒にデヴォン州に向かわせることにした。

デヴォン州に着くとライフル銃を持った兵士が多数いて物々しい雰囲気。聞けばノッティング・ヒルの殺人で捕まった凶悪犯セルデンが脱獄してムアに潜んでいるということだった。

近所には生物学者のステイプルトンとその妹のベリル、裁判を起こすことにすべての情熱と財産を注いできた変わり者のフランクランドという老人が住んでいた。

ヘンリーは初めて会ったときからベリルのことを好きになってしまったようで、熱心にアプローチした。しかしステイプルトンが烈火のごとく怒り、絶対に妹に近づけまいとしていた。

ある夜ワトソンは、執事のバリモアが夜中にこっそりある部屋に入っていくのを目撃した。ヘンリーと張り込んでバリモアを捕まえ問い詰めると、バリモアの妻が「脱獄囚のセルデンは私の弟です」と涙ながらに告白した。窓からろうそくの明かりで合図を送り、食べ物を運んであげていたのだった。

ワトソンとヘンリーは暗闇のムアへセルデンを捕まえに向かった。結局セルデンを捕まえ損ね帰ろうとしたその時、遠くの岩山に月を背にした男の影がはっきりと見えた。

セルデンが国外逃亡するのを見逃す代わりに、バリモアは情報を寄こした。一つはチャールズが亡くなった夜、彼はイニシャルが”L.L”の女性を待っていたこと。もう一つは、ムアにはセルデンだけではなくもう1人潜んでいる男がいるということだった。

L.Lというのはフランクランド老人の娘のローラ・ライオンズということが分かりワトソンは早速会いに行った。ローラは夫から逃げるためにチャールズに経済的な援助をお願いしていたのだった。しかし、別の方からの援助が急に決まり、チャールズには会いに行かなかったと言った。

帰り道フランクランドに偶然会い話をしていると、彼は「ムアに定期的に食料を運びこんでいる少年がいる」と言った。フランクランドは脱獄囚に運んでいると思っているようでしたが、ワトソンはバリモアから聞いたもう1人の男に違いないと確信した。

ワトソンが少年が姿を消した丘に行ってみるとそこには先史時代の石の住居があり、その一つに明らかに人が生活している痕跡が残されていた。

ワトソンが身を隠し銃を手に男が帰ってくるのを待っていると、聞きなれた声が…。なんとその男はシャーロック・ホームズだった。

ホームズは身を隠しながら独自に調査をしていたのでした。ホームズはステイプルトンの過去を調べて、ステイプルトンが”妹”と紹介したメリルは、実は”妻”だということをつきとめていた。

そのとき闇を引き裂くような凄まじい絶叫が聞こえた。ホームズとワトソンは声のした方角に走った。どさっと音がしたので行ってみると、男が倒れていた。

見覚えのあるジャケット…それはヘンリーのものだった。ヘンリーを運ぼうと仰向けにすると、なんとその男はヘンリーではなく脱獄囚のセルデンだった。

ヘンリーがバリモアに譲ったお下がりの服を、バリモア夫妻がセルデンに与えていたようで、ホテルでヘンリーの靴が片方なくなったのは、犬にヘンリーのにおいを覚えさせるためだったとホームズは確信した。

そこへステイプルトンがやってきた。招待したはずのヘンリーを待っていたら絶叫が聞こえたので心配になって出てきたと言った。

ホームズとワトソンはバスカヴィル家に向かった。ヘンリーは「1人で出歩かない」というワトソンとの約束を守ってステイプルトンの家にはいかなかったとのことだった。

ホームズは部屋の壁に並べられた先祖代々の肖像画の1枚に釘付けになった。ワトソンは気付かなかったが、ホームズに言われて驚愕した。悪名高いヒューゴ・バスカヴィルの肖像画に顎髭を付けるとステイプルトンの顔になるではないか!

翌朝ホームズはヘンリーに「急用ができたのでワトソンとともにロンドンに戻る」と告げ、あれほど一人で出歩くなと言っていたのに「今日の夜は一人でステイプルトンの家に行って、歩いて帰ってくるように」と言った。

ロンドンへ帰ったふりをして、ホームズとワトソンはローラ・ライオンズの元に向かいました。ステイプルトンの妹だと思っていたメリルが妻だということを聞いたローラは全てをホームズに話した。

ステイプルトンはローラの離婚が成立したら結婚してほしいと言っていた。そしてローラが夫と離婚するための費用をチャールズに援助してもらってはどうかと提案したのもステイプルトンだった。

ところが、チャールズに会いに行くと約束していた日に、ステイプルトンが「他人の懐をあてにするのは男のメンツが立たない。一緒になれるなら無一文になってもかまわない。」と、会いに行くのを引き止めたのだった。

逮捕状を携えたストレイド警部も到着して、ホームズ、ワトソン、ストレイドはステイプルトンの家の周りに隠れた。食事をしているのはヘンリーとステイプルトンの2人だけだ。

やがてヘンリーがストレイドの家を出て帰路についた。3人の目の前をヘンリーが足早に通り過ぎた後、巨大な犬が追いかけていった。その口からは炎を吐き、鼻面から首にかけて炎を発し、この世のものとは思えないほど恐ろしい姿をしていた。

ホームズとワトソンが同時に銃を撃ち、その1発が命中したようで魔犬は荒々しい吠え声をあげたが、そのままヘンリーを追い続け、ついに追いついてしまった。

魔犬はヘンリーに飛び掛かって地面に押し倒し、まさに牙を突き立てんとしているところに、ホームズが脇腹めがけて弾倉が空になるまで銃を撃った。魔犬は断末魔の叫びをあげ倒れこんだ。

犬は小型のライオンほどもある巨大な体をもち、口元には発光塗料が塗られていた。

3人は大急ぎでステイプルトンの家に駆け戻った。2階の部屋の一つに鍵がかかっており、ホームズがその鍵の部分を蹴り飛ばしてドアを開けると、中にはアザだらけのベリルが柱に括りつけられていた。

ベリルは、ステイプルトンがムアに広がる底なし沼の真ん中にある島に隠れ家を持っており、そこで犬を飼っていたことを教えてくれた。

ベリルによると、複雑な目印をたどっていかないとこの底なし沼を渡りきるのは不可能とのこと。ホームズとワトソンは、今日のところはヘンリーを連れてバスカヴィル家にもどることにした。

翌日、ベリルの案内で底なし沼を渡ってステイプルトンの隠れ家に行った。中央の島までの複雑な道筋をたどるのは昨夜の霧では不可能だと思われた。ステイプルトンは底なし沼に消えていったにちがいない。途中、ホテルで盗まれたヘンリーの片方の靴が落ちているのも発見された。

事件の真相は?
ステイプルトンの父親は亡くなったチャールズの末弟だった。

弟は悪名をまき散らし南アメリカへ逃げ、そこで未婚のまま亡くなったと思われていたが、実は一人息子がいた。本当の名前をロジャーといい正式なバスカヴィル家の後継者だ。

ロジャーはコスタリカの美しい娘ベリルと結婚し、多額の公金を横領してイギリスに逃げてきた。その後はヴァンデルーアの名を騙って学校を経営していたが悪評にさらされ、再び名前をステイプルトンに変えてデヴォン州に逃げ込んできたのだった。

ステイプルトンはチャールズとヘンリーが死ぬと自分に莫大な財産が転がりこんでくるを知り、妻を妹と偽り囮につかい、邪魔者2人を消すための計画を綿密に練った。

バスカヴィル家に魔犬の伝説があり、チャールズが心臓が弱いことも知っていたステイプルトンは、それを利用することにした。

ローラ・ライオンズを利用してチャールズをおびき出し、そこへ魔犬を連れて行き襲わせようと考えたが結局チャールズは心臓発作で倒れ、謎だけが残ったということだ。

ヘンリーに「ムアに近づくな」と手紙を送ったのは、妻のベリルだった。

小説の感想は?

シャーロック・ホームズシリーズは全部で60編ありますが、その中で4編しかない長編。その3作目です。

長編だからということもありますが、犯人の核心になかなか迫らなくて、おまけに”魔犬”とか”脱獄囚”という存在にハラハラドキドキさせられます。

携帯電話もインターネットも自由に使える今となっては、成り立たないトリックもいっぱいあるのですが、100年以上経っても色あせない物語の展開には、やはりさすが!と思わされますよ。

1900年前後なんて”魔犬”だの”呪い”だの、今よりもっと庶民の間ではガッツリ信じられていた時代でしょう。

そんな時代の中にあっても、いつでも冷静沈着にどんな小さなことも見逃さず、目の前のことに惑わされたり騙されたりしないシャーロック・ホームズはさすがです。現代にも充分通用する名探偵!

この物語がどんなふうに現代的にアレンジされて映画化されるのか、楽しみですね!

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